その疲れ、内臓疲労が原因かも? 改善のカギは食生活にあり

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「長く寝ても、疲れが抜けない」「食事は欠かさずとっているのに、常にだるい」。それは、内臓疲労が原因かもしれません。筋肉を酷使すると筋肉疲労するように、内臓も過度に負荷がかかると疲労を起こし、さまざまな体調不良の原因となります。この記事では内臓疲労の原因や改善、予防などを解説し、365日休みなく働く内臓と上手に付き合う方法をお伝えしましょう。

内臓の元気は健康への第一歩です。知らず知らずのうちにたまる疲労を解消して、丈夫な体を手に入れましょう。

01. 内臓疲労の基礎知識

1-1.内臓について

内臓は、動物の腹腔(ふくくう)にある器官で、胃や腸などの消化器、肺など呼吸器、腎臓や膀胱(ぼうこう)などの泌尿器、そして生殖器などがあり、それぞれ役割を分担して生命を維持しています。「内臓疲労」という時の内臓は、このうち主に消化系の臓器の疲労を指すことが多いようです。消化器は、以下のように人体に栄養を取り込むのに重要な役割を果たしています。

  • 胃:消化液によって食べ物を消化(分解)する
  • 腸:小腸で水分が、大腸で栄養分が吸収される
  • 肝臓:栄養素を分解しエネルギーに変える、アルコールや毒素を代謝する

1-2.内臓疲労とは?

内臓疲労は、暴飲暴食や食生活の乱れにより、日常的に消化吸収の動きがオーバーワークになってしまって起こります。マラソンなど長時間の運動により、内臓が物理的に刺激されることで疲労がたまることもあるのです。内臓も、ほかの体の部位と同じように筋肉でできています。過度の運動で腕や脚が筋肉痛になるように、内臓も酷使するとダメージを受け、結果として内臓の機能が低下してしまうのです。

1-2-1.おもな症状

内臓が疲労すると以下のような症状が現れます。

  • 睡眠を十分とっても疲れが取れない
  • 腹痛や下痢を頻繁に起こす
  • 食欲不振
  • 胃もたれ
  • だるい
  • 肌荒れ・口内炎
  • 手足のむくみ

1回暴飲暴食をしただけで、内臓疲労になるわけではありません。これらの症状が出ても、一過性のものとして治まることがほとんどです。症状が1週間以上続く場合は、内臓疲労を疑ってみましょう。

1-2-2.なりやすい人、性別、なりやすい季節は? 

内臓疲労は誰にでも起こりますが、特に普段から胃腸が弱い人は注意が必要です。男女とも年齢とともに代謝機能が落ちるため、中年になると内臓も疲労しやすくなります。しかし、日常的にダイエットをくりかえしている女性は、10代・20代でも注意が必要です。また、日頃から飲みに行く機会が多いサラリーマンは、30代以降になると内臓疲労を起こしやすくなります。高齢者は、噛(か)む力が衰えて消化器に負担がかかるため、内臓も疲労しがちです。

季節でいうと、冷たい飲食物を日常的に取る夏は、最も内臓に負担がかかります。忘年会や新年会・クリスマスなど、暴飲暴食の機会が増える年末年始にも注意が必要です。

1-3.最近の傾向

昨今では、内臓疲労の対策がテレビで取り上げられるなど、注目されるようになりました。効果的な体操や内臓を休めるプチ断食なども行われています。インターネット上にも多くの情報がありますが、正しい情報を入手するように気をつけましょう。

1-4.生活や社会への支障、放っておくとどうなる?

内臓疲労が進むと、体は十分な栄養を取り込めなくなります。いくら食事をとっても、胃や腸の働きが悪いので、消化や吸収ができず、肝臓が疲労しているとエネルギーも生み出せないのです。肝臓は、神経ともつながっているため、自律神経の緊張や頭痛も引き起こし、眠りも浅くなります。

こうした状態が長く続くと、疲れは体全体に及び、消化器以外の機能低下も引き起こす恐れがあるのです。

02. 内臓疲労の原因について

2-1.おもな原因

  • 暴飲暴食
  • 冷たいものの食べ過ぎ・飲みすぎ
  • アルコールの飲みすぎ
  • 不規則な食事
  • 運動のやりすぎ
  • ストレス
  • 過度なダイエット

内臓疲労のおもな原因は食生活の乱れです。たとえば、暴飲暴食により一度に大量の食事をとると、胃の消化能力を超え、未消化のものが腸内へ降りてきてしまいます。すると腸内環境が悪化し、悪玉菌が増えて毒素を出し、肝臓はこの毒素を解毒するのに疲れ切ってしまうのです。また、冷たいものの取りすぎは、胃と小腸の粘膜の血流を低下させ、消化吸収の働きを弱めます。

一方、過度な運動による物理的な刺激や、ダイエットによる胃の運動機能低下も内臓疲労の原因となるのです。

2-1-1.疲労物質について

肉体疲労においては、今まで疲労物質=乳酸と考えられてきましたが、現在ではFF(Fatigue Factor)といわれるたんぱく質が原因であることがわかってきました。体を動かしたことで活性酸素が発生し、細胞を傷つけることで、細胞の機能が低下し、疲労物質FFが発生します。このFFが脳に伝わることで疲労やだるさを感知しているのです。

2-2.関連する病気、間違えやすい病気

内臓疲労によって、腰痛や頭痛が引き起こされることがあります。また、胃や腸の疾患でも、内臓疲労と同様の症状が出ることがあるでしょう。たとえば、胃もたれや吐き気・食欲不振は、胃炎・腸炎・ポリープ・腫瘍でも起こるのです。倦怠感は、すい臓炎・年期障害でも同様の症状が現れます。

03. 内臓疲労のセルフチェック

3-1.チェック項目

  • 体がだるくて重い(特に夏)
  • 肌荒れや口の周りに吹き出物がよくできる
  • 下痢や便秘を繰り返す・または続くことがよくある
  • 風邪をひきやすくなった
  • 食欲がない・胃がもたれることがよくある
  • 睡眠時間を十分取っているのに日中も眠い
  • 気分が憂うつで頭の回転が鈍っていることが増えた
  • 冷たいものをついつい多く取ってしまう

これらのチェック項目にいくつ該当するかで、内臓疲労の可能性がわかります。該当項目が多い場合、早めに医者に診てもらいましょう。

  • 1~3個該当:要注意です。内臓疲労が始まりかけている可能性があります
  • 4~6個該当:内臓疲労を起こしている可能性があります
  • 7個以上該当:内臓疲労が進行中しています。早めの受診がおオススメです

3-2.検査方法

内臓疲労が疑われる場合、病院ではどんな検査をするのでしょう。基本的な検査は、通常の内臓疾患と同じように、レントゲン検査・胃カメラ・血液検査などが行われます。内臓疲労は、ほかの病気と症状が似たものもあるため、あらゆる可能性を想定しながら、複数の検査を時間をかけて行うこともあるのです。

3-3.注意点

セルフチェックはあくまでも簡易的なものです。気になる症状がある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

04. 内臓疲労の改善、回復法

4-1.受診すべき症状

不調を感じた後に養生しても症状がおさまらない場合や、1週間以上も症状が続く場合には、受診することをおすすめします。また、激しい下痢や腹痛・吐き気などは、ほかの病気の可能性もあるので、なるべく早く受診しましょう。

4-2.何科へ受診するか、病院の選び方

内臓疲労は、主に消化器の機能に不具合があることが多いので、消化器内科を受診しましょう。このとき、いきなり大学病院のような大きな病院に行かずに、まずはかかりつけ医に相談してください。かかりつけ医の判断により、専門医の受診や検査が望ましい場合は、設備が整った総合病院宛に紹介状を書いてくれます。

4-3.おもな改善法について

内臓疲労の改善には、まずは内臓の疲れを回復させることが大切です。運動のあとに休養が必要なように、内臓も休めてあげましょう。そうはいっても、毎日食事をする以上、内臓を完全に休めることは難しいため、なるべく胃や腸に負担をかけない食生活を心がけます。何を食べるかだけでなく、食事の質・量・時間・食べ方などを改善するといいでしょう。

食生活の改善に加えて、体を温めて血流をよくするのもおすすめです。そのほかには、体のゆがみを整えたり、ストレスを発散したりすることも内臓疲労の回復に役立ちます。

4-4.薬について

病院で処方された薬は、医師の指示通りに飲むことが大切です。少し調子が良くなったからといって勝手に薬をやめてはいけません。必ず指示に従ってください。

受診していない場合は、飲みすぎや食べ過ぎの直後には、消化を助ける胃薬や二日酔いの薬を飲んで対処しておきましょう。内臓が弱っているのに断れない飲み会がある場合には、なるべく酒量を減らすのは基本ですが、ウコンや漢方胃腸薬などをあらかじめ飲んでおくという方法もあります。

もともとお腹が弱い人は、腸内環境を整える乳酸菌やサプリメントを摂取するのもいいでしょう。

4-5.注意点

内臓疲労の改善には、日頃から食生活に気を付け、腸内環境を整えることが大切です。暴飲暴食後の不調を改善する市販薬や、内臓の機能を向上させるサプリメントなどが多く出回っていますが、「これを飲めば大丈夫」と安易に薬に頼ることなく、食生活を改善しましょう。

05. 内臓疲労のセルフケア、予防方法

5-1.生活習慣の見直し

内臓疲労をためないためには、日頃の生活習慣が大切です。内臓を冷やすと血流が悪くなるので、お腹を温めることを心がけましょう。夏でもシャワーだけで済まさず、週に何回かは湯船に入ることをおすすめします。ゆっくりと半身浴をするのもいいでしょう。また、クーラーの効いた部屋に長時間いると、お腹を触ってみると驚くほど冷たくなっていることがあります。そんなときには、使い捨てカイロや湯たんぽをお腹にあてたり、白湯を飲んで直接胃を温めてもいいでしょう。

十分な睡眠時間の確保も大切です。夜寝る3時間前には食事を終え、ゆっくりと心と体を休めましょう。

5-2.食事、栄養素

食事は、基本的に食べ過ぎないことが大切です。反対に、過度なダイエットも慎みましょう。冷たいものや極端に熱いもの・辛いものは避けて、消化・吸収しやすくバランスの良い食事を心がけます。一日3食を基本とし、よく噛(か)んで食べましょう。

必要な栄養としては、肉体疲労にはビタミンB群がよいとされますが、内臓疲労にはアミノ酸がよいようです。たんぱく質が分解されてアミノ酸になるので、良質のたんぱく質である卵・大豆・肉・魚介の中から、消化のいいものを選んで取りましょう。

5-3.ストレスケア、コントロール

食べることで、精神的なストレスを解消するという人も多いかもしれませんが、内臓疲労がある場合は、症状を悪化させてしまうこともあります。カラオケや趣味に打ち込むなど、食事やお酒以外でストレスを発散する方法をとりましょう。

5-4.運動

内臓疲労の回復に効果的な体操が「ゆる体操」です。これは全身の固まっている筋肉を解きほぐすようにゆるめる体操で、目的別にさまざまな動きがあります。内臓疲労の場合には、横隔膜を上下に動かす運動が効果的です。この動きにより固まった内臓を解きほぐし、血行を促進します。

5-4-1.ゆる体操のやり方

  1. 体の中に1本の線が通って上に伸びているようなイメージで椅子に座ってください
  2. 大きく息を吸って「ペコー」と声を出しながらお腹をへこませ、2秒保ちます
  3. 次に「ポコー」と言いながらお腹をふくらませ、2秒キープ
  4. また「ペコー」と言いながらお腹をへこませ、「ポコー」とふくらませます
  5. 最後に「ペコー」と言いながらお腹に手を当ててへこませ、息を吐き切りましょう

ここまでを1セットで、1日3セットを目安とします。

5-5.やってはいけないこと、注意点

内臓疲労にならないためには、日頃のケアと生活習慣が大切です。以下の内容はやらないように気をつけてください。

  • ダイエット目的で食事を頻繁に抜く
  • アイスやフラッペなどを食事代わりに食べる
  • お酒を飲んだ後に運動する
  • 冷たいものと脂が多いものを一緒に食べる

06. よくある質問

Q:内臓疲労は胃腸薬で治りますか?
A:胃腸薬は消化吸収を助け、内臓の負担を軽くすることができますが、症状を繰り返さないためには生活習慣の見直しが大切です。

Q:内臓疲労と夏バテは違いますか?
A:夏バテは夏の暑さによる自律神経の乱れから起こるものです。内臓疲労は、季節にかかわらず起こります。

Q:消化吸収のよい食べ物には何があるでしょう?
A:あたたかいポタージュスープやおかゆがおすすめです。豆腐や茶わん蒸し、軟らかく煮た野菜、バナナやリンゴもいいでしょう。

Q:内臓疲労は遺伝しますか?
A:遺伝はしません。しかし、食生活がかかわるので、家族の中に内臓疲労の人がいる場合は、ほかの家族もなる可能性があるでしょう。

Q:ビールが大好きです。内臓疲労になりますか?
A:毎日飲みすぎるようでは、内臓疲労になる可能性は高くなるでしょう。飲む量や回数に気をつけてください。

07. まとめ

内臓疲労の改善には、日頃の食習慣や生活習慣の見直しが必要です。暴飲暴食や冷たいものの取りすぎを避け、胃腸をいたわりましょう。ほかの病気が潜んでいることもあるので、自己判断で放置せず、医師の診察を受けることも大切です。