動脈硬化が危険な理由と治療法やセルフケア方法を紹介

動脈硬化を放置すると危険な理由とは? 治療法やセルフケア方法も!

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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動脈硬化の改善方法を知りたいと思いませんか? 動脈硬化は進行すると危険です。心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる病気を引き起こすこともあります。進行を食い止めるためには、危険因子を減らすために、自分自身で努力する必要があるのです。「サイレントキラー」の異名を持ち、初期の自覚症状がないことで知られる動脈硬化ですが、どうすれば早期発見が可能なのでしょうか。そして、進行を食い止めるためにはどうしたらよいのか、知っておくべきです。

この記事を読むことで、動脈硬化を改善する方法が分かるはずです。ぜひ参考にして実践してみてください。

動脈硬化の基礎知識

まずは、動脈硬化という病気について解説します。

1-1.どんな病気なのか?

その病名から分かるように、動脈硬化とは動脈が硬くなる病気です。動脈は、心臓から送り出される血液を全身に運ぶ役割をしています。その動脈が硬くなると、どうなるでしょうか。血管の内側がもろくなり、血液の通り道が狭くなります。そうなると、酸素や栄養が行き渡らなくなり、臓器や組織に影響を及ぼすことになるのです。この病気の怖さは「気づきにくい」という点にあります。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときにはすでに重症化してしまっているケースが多いのです。

1-2.主な症状

初期や中期の段階では、ほとんど自覚症状がありません。しかし、血流が悪くなっていることで、手足の冷えや、指の爪が割れるといった軽い症状が現れることはあるでしょう。その症状が動脈硬化のサインであることに気づく人は少ないはずです。進行してくると、動脈硬化が起こった場所によってさまざまな症状が現れるようになります。たとえば、脳で起こった場合は、頭痛やめまい・立ちくらみ・耳鳴り・手足のしびれ・不眠などが主な症状です。足で起こった場合は、足のしびれや冷え・痛みというように特徴的な症状が出るため、注意して観察しておきましょう。

1-3.関連する病気

動脈硬化に関連する病気には、さまざまなものがあります。

1-3-1.高血圧

動脈硬化と高血圧には深い関係があります。高血圧によって動脈に強い圧力がかかると、動脈硬化を引き起こすのです。その逆で、動脈硬化が原因で高血圧になることもあります。血管が狭くなり血液の流れが悪くなると、改善するために心臓が拍動を強め、血圧が上昇してしまうのです。その結果、動脈硬化がさらに進行することになります。

1-3-2.心肥大

動脈硬化が進行すると、心臓が血液を送り出す際に、大きな負担がかかる状態になります。その結果、心臓が大きくなり、ポンプ機能が十分に働かなくなるのです。血液や酸素が十分に行き渡らなくなり、動悸(どうき)や息切れなどの原因になります。

1-3-3.心不全

動脈硬化の進行により心肥大になると、心臓の機能が低下して、最終的には心不全を起こします。体が重く感じる、少しの動きでも呼吸困難になるなどの症状が起こり、病院での治療が必要です。

1-3-4.心筋梗塞

心臓に栄養や酸素を供給するのが冠動脈です。この部分の動脈硬化が進行すると、冠動脈が狭くなって血液のかたまりが詰まり、血液が完全に流れなくなってしまいます。そして、心臓の筋肉が壊死(えし)してしまうのが心筋梗塞です。詰まった場所によっては命にかかわることもあります。

動脈硬化の原因

動脈硬化の原因をまとめました。

2-1.主な原因

さまざまな要因の蓄積により、少しずつ動脈が硬くなっていく病気です。その要因には、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの疾患以外にも、生活習慣やストレス・運動不足などが挙げられます。そのほかにも、老化によって血管の内側が狭くなってしまうこと、女性ホルモンの急激な低下によって血管が守られなくなることなども原因の一つです。

2-2.なりやすい人とは?

以下のような人は、動脈硬化になりやすいため注意が必要です。

  • 肥満体質の人
  • 運動不足の人
  • 塩分や糖分をとり過ぎている人
  • ストレスがたまりやすい人
  • 喫煙の習慣がある人

女性よりも男性の方が、動脈硬化を招きやすい生活習慣の人が多いと言われています。また、女性ホルモンの影響により、若い世代の女性は動脈硬化になりにくいことが分かっているのです。現在、日本には700万人以上、動脈硬化の潜在患者がいると言われており、女性に比べて男性の患者数が多くなっています。

動脈硬化をセルフチェックしてみよう!

では、動脈硬化のセルフチェック項目や検査方法をご紹介しましょう。

3-1.チェック項目

以下の項目をチェックしてみてください。当てはまる項目が多いほど、動脈硬化を起こす可能性が高いということを覚えておきましょう。

  • 45歳以上の男性、または55歳以上の女性である
  • 喫煙習慣がある
  • 野菜よりも肉類を好んで食べる
  • 頭痛が頻繁に起こる
  • BMI値が26.5%以上である
  • 甘いものを好んで食べる
  • ストレスがたまりやすい
  • 運動をしない
  • 毎日お酒を飲む
  • 朝食を食べないことが多い

3-2.検査方法

病院では、動脈硬化を検査するために、血圧や血中コレステロール値・血糖値のほか、尿糖や血液中の尿酸値などを測定します。危険因子が見つかった場合は、動脈の硬さを調べる検査やけい動脈エコー・眼底検査・MRI検査・血管造影などの検査を行うことになるでしょう。

3-3.注意点

動脈硬化と診断されるまでは、さまざまな検査が必要になります。そのため、費用も高額になるでしょう。しかし、患者数の増加にともない、一定額を超えた場合には医療費が還付されるようになったのです。こういった制度を利用する場合は、自分で申請する必要があります。情報を集めてできる限り活用してください。

動脈硬化の治療法

動脈硬化の治療法についてまとめました。

4-1.受診すべき症状

前述したように、動脈硬化には自覚症状がない場合が多いため、受診のタイミングが難しいでしょう。高脂血症や高血圧と診断されたことがある人、動脈硬化の疑いを指摘されたことがある人は、できるだけ早めに受診することをおすすめします。

4-2.何科を受診するのか? 病院の選び方は?

動脈硬化の治療を行っているのは、循環器科です。まずはかかりつけの内科を受診し、循環器科に紹介状を書いてもらうとよいでしょう。ほかの病気である可能性も考えて、総合病院や大学病院などにしておくことをおすすめします。長期的な通院になるケースも多いため、通いやすい場所にある病院を選ぶとよいでしょう。また、薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法にも力を入れている病院を選ぶようにしてください。

4-3.主な治療法

動脈硬化の主な治療法には、食事療法・運動療法・薬物療法があります。

4-3-1.食事療法

食事療法のポイントは、以下の通りです。

  • 標準体重を維持すること
  • コレステロールや中性脂肪の原因になるものを控えること
  • 食塩の摂取を控えること
  • アルコールの過剰摂取を控えること

特に、過食を抑えて標準体重を維持することは重要です。肥満は動脈硬化の危険因子となるため、自分にとっての適正エネルギー摂取量を把握しておきましょう。1日の適正エネルギー摂取量は、標準体重(kg)×25~30(kcal)で計算できます。

4-3-2.運動療法

適度な運動は、動脈硬化の危険因子を予防することにもつながるでしょう。ただし、無理な運動は必要ありません。1日30分ほどのウォーキングを週に3~4日行う程度で十分です。ウォーキングは運動療法の中でも最もおすすめできますので、ぜひ試してみてください。

4-3-3.薬物療法

通常、食事療法や運動療法で効果が出ない場合は、薬物療法が行われます。動脈硬化に使用されるのは、悪玉コレステロール値を下げる薬や善玉コレステロール値を上げる薬などです。薬物療法を行う場合でも、食事療法や運動療法を同時に取り入れていくことで、より効果が期待できます。

4-4.注意点

動脈硬化は、初期の段階で治療を開始するのが一番です。自覚症状がなく気づきにくいため、普段からしっかりと健康診断や人間ドックを受けておくことをおすすめします。特に、高血圧症や糖尿病などの病気を持っている人は、血管ドックやけい動脈エコー検査なども定期的に受けるようにしてください。

動脈硬化のセルフケアについて

動脈硬化の改善や予防のために、普段からできるセルフケアの方法をご紹介します。

5-1.「歩く」ことが大切!

動脈硬化の改善や予防には、歩くことが一番です。わざわざ歩くための時間を作る必要はありません。通勤を徒歩にする、エスカレーターではなく階段を使う、電車やバスではできるだけ立つようにするなど、今すぐできることはたくさんあるのです。意識して歩くことは、動脈硬化だけでなくさまざまな病気の予防にもつながります。

5-2.予防に効果的な食事を!

動脈硬化を予防するためには、以下のような食事を心がけましょう。

  • 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂取する
  • 不飽和脂肪酸が含まれている大豆製品や青魚を積極的に食べる
  • 肥満を防止するために、ゆっくりとよく噛(か)んで食べる

5-3.改善したい生活習慣例

生活習慣の中で今すぐ改善が必要なこともあります。まず、禁煙することです。タバコは動脈硬化の進行を招く危険なものであるということを覚えておきましょう。ニコチンによって血管が収縮するため、高血圧症にもつながります。また、睡眠時間の質を高めることも大切です。普段から睡眠時間が短くて寝不足気味な人、毎日の起床時間・就寝時間にバラつきがある人などは、規則正しい睡眠をとるように心がけてください。

5-4.やってはいけないこととは?

ストレスは動脈硬化をすすめる原因になります。日常的に強いストレスを感じていると、自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位な状態になるのです。その結果、血管が収縮して血圧が高くなり、動脈硬化が進行します。ストレスをため続けることは、絶対にしないようにしましょう。十分な睡眠をとり、入浴やストレッチなどでリラックスする時間を作ることをおすすめします。

動脈硬化に関するよくある質問

「動脈硬化について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.動脈硬化は遺伝しますか?
A.動脈硬化には遺伝性があると考えられています。両親が動脈硬化だとその子どももなりやすいということを覚えておいてください。

Q.糖尿病は動脈硬化の原因になりますか?
A.その可能性はあります。糖尿病を発症すると高血糖状態になり、血液の流れを悪くしてしまうのです。

Q.動脈硬化で死亡することはありますか?
A.動脈硬化そのものが原因で死亡することはありません。問題は、動脈硬化によって引き起こされる心疾患や脳血管疾患で死亡する例が多いということです。

Q.動脈硬化を予防するためには、1日どのくらいの食物繊維を摂取すべきですか?
A.厚生労働省では、成人男性で20g以上、女性で18g以上を摂取目標量としています。

Q.動脈硬化を手術で治す方法はありますか?
A.血管の内側が狭くなっている場合には、バイパス手術やカテーテルによる血管拡張術を行い、血液の流れをよくする方法もあります。

まとめ

いかがでしたか? 動脈硬化の原因や関連する病気・セルフケア方法などをまとめてご紹介しました。動脈硬化は自覚症状が少なく気づきにくい病気でありながら、放置しておくと大変危険です。取り返しのつかない状態になる前に、適切な対処をする必要があるでしょう。ぜひこの記事を参考にして、改善や予防に努めてください。