浴室の寒さ対策

浴室の寒さ対策は?!
ヒートショックの怖さと
予防のポイント

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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冬になると浴室は非常に寒くなります。その寒さを我慢して、お湯に肩までつかると幸せな気分になるでしょう。しかし、日本人の入浴文化と寒い浴室が原因でヒートショックと呼ばれる症状に襲われます。そして、ヒートショックは、最悪の場合は死亡するケースがあるのをご存じですか? そのため、浴室の寒さ対策は高齢者がいる家庭では急務であり、若いからといって人事ではありません。

今回は、浴室の寒さ対策として手軽にできる方法から、費用はかかるものの浴室暖房機の導入・交換方法を紹介します。

本記事を読み、浴室の寒さ対策をするだけで、交通事故よりも死亡率の高いヒートショックを予防できます。よりリラックスして入浴をするために、さらに浴室をより快適な空間にするために、ぜひとも参考にしてください。

浴室の寒さ対策について

家庭内で高齢者が死亡する事故の4分の1は、寒さ対策を怠った浴室で起きています。この項では浴室の寒さ対策の重要性、寒さ対策をしないと起きる「ヒートショック」を説明していきましょう。

1-1.浴室の寒さは危険?

冬の間、家族が集まる部屋は暖房により暖められています。一方、浴室や脱衣所には常に人がいるわけではないため、暖房をつけて常に暖かくする必要はありません。そのため、浴室や脱衣所の温度と家族が集まる部屋の温度には差ができるのです。

日本人は肩までしっかりと熱いお湯につかる入浴文化があり、冷えた体を芯まで温めます。しかし、浴槽を出たあと浴室や脱衣所が寒いままの場合、急激な温度差によってヒートショックと呼ばれる症状が起こり、最悪の場合、死亡するケースもあるのです。

1-2.ヒートショックとは?

ヒートショックとは、急激な温度変化が原因で血圧が大きく上昇・降下することにより、失神・心筋梗塞・脳梗塞などを起こす現象です。暖房のある部屋から寒い浴室、寒い浴室から浴槽へと移動した場合、短時間の内に何度も血圧が急激に上昇・降下し、ヒートショックが起こりやすくなります。

ヒートショックが原因で年間1万人以上の高齢者が死亡しており、平成25年の統計によれば、ヒートショックによる死亡者数は、交通事故の死亡者数よりも2倍以上多いのです。また、浴槽内水死の8割以上は高齢者ですが、ヒートショックが水死の原因と考えられています。水死やそのほかのヒートショックが原因で起きる病気(心筋梗塞・脳梗塞)まで含めると、ヒートショックによる死亡者は統計より多くなるでしょう。

1-3.浴室の寒さ対策の必要性

ヒートショックが起きると、高齢者の場合は死亡にいたる可能性が高くなります。高齢者ばかりが注目されますが、生活習慣病により動脈硬化が進行している中年以降の方も、血圧の急激な上昇・降下は血管や心機能に多大な負荷がかかり危険です。

若い方でも疲労している場合や、飲酒後などには、血圧の急激な変化に体が耐え切れず失神する可能性があり、入浴中の水死事故につながるでしょう。浴室の寒さ対策をしないだけで浴室が危険な場所になってしまいます。

そのため、浴室の寒さ対策は必要不可欠です。もちろん、ヒートショックのみならず、浴室が寒ければ湯冷めをして風邪の原因にもなります。なにより、寒い浴室というのはストレスです。

浴室の寒さの原因は?

浴室はなぜ寒くなるのか、その原因を紹介します。原因がわからなければ対策も立てようがありません。

2-1.浴室の寒さの原因一覧

一般的に、下記のものが寒さの原因です。

  • 換気扇
  • 場所

2-1-1.窓

日本の窓の断熱基準は寒さの厳しい欧米諸国と比べると、基準が甘く設定されているのです。また、一昔前の浴室の窓は開口面積が大きい一枚ガラスを採用しているケースが多くなります。つまり、浴室の窓は断熱効果が低く、外の冷気を取り込みやすく暖かい室温を外へ逃がしやすいため、浴室を寒くしているわけです。

2-1-2.換気扇

浴室は一般的に日の当たらない北側に配置されます。また、湿気によりカビが繁殖しないように換気扇は必ず設置されているでしょう。そのため、寒い季節に換気扇を止めていたとしても、冷たい風がふけば通気口を逆流し、浴室を冷房のように冷やします。

2-1-3.床

浴室の床には、通常、吸水性が低いタイルなどの素材が使用されます。タイルなどは吸水性が低い反面、熱伝導率が極めて高いのです。そのため、浴室のタイルの床はすぐに冷たくなってしまいます。

2-1-4.場所

家を設計するとき、日の当たる南側にはリビングなどが置かれます。そして、日当たりなどが重視されない浴室や水まわりは北側に設置されるケースが多いでしょう。そのため、日当たりの悪い浴室が、冬場に寒くなるのは当然のことです。

2-2.浴室は通気性が重視されるのも原因

浴室は水を使う場所なので、通気性に優れた設計が重視されます。なぜなら、通気性が悪く湿度がこもりやすい浴室ではカビが大量発生するからです。体を洗う場所であり、清潔な環境にするということが何よりも重視され、カビが大量発生する浴室では問題があります。そのため、浴室は通気性が最重視されるのです。しかし、これが寒さの原因となってしまいます。

浴室の寒さ対策

この項では、浴室の寒さ対策について紹介します。ちょっとした工夫で浴室を暖めることができるでしょう。

3-1.窓の対策

寒い時期には、窓をきちんと閉めるようにしましょう。断熱窓であれば、浴室の寒さ対策に効果的です。

また、大規模なリフォームはしたくないけど窓の断熱性を上げたいというのであれば「内窓」の設置をおすすめします。内窓は二重サッシとも呼びますが、低予算で設置可能で大規模な工事も必要としません。窓が二重になることで外窓と内窓の間にできる空気層により外からの寒さ防ぎ、浴室内の温度低下を軽減します。

近年の断熱窓は一昔前よりも断熱性能が高く、掃除もしやすくなっていますので、窓自体の交換も手段としてはありでしょう。

窓枠がアルミ製の場合、樹脂製の枠に交換する手段もあります。樹脂製はアルミ製の窓枠と異なり熱伝導率が低いため、外の寒さを浴室まで伝えにくくするのです。 断熱性能の高い窓を購入できないのであれば、窓ガラス用の断熱シートが販売されていますので利用してみましょう。

3-2.換気扇

入浴中、換気扇を止めることで寒さ対策になります。また、換気扇をビニールシートで包み込んでしまう手段も寒さ対策には有効です。ただし、換気ができませんからカビが生える可能性が高くなります。

3-3.床

床の寒さ対策には、スノコを引く、マットを引くなどの方法があります。マットは保温性の高い発砲ポリプロピレンなどがいいでしょう。ホームセンターなどで購入することができます。

3-4.お風呂に入るときのひと工夫で寒さ対策

お風呂に入るときのひと工夫ですが、たとえば、お風呂を沸かすときにお風呂の蓋をしないで沸かすという方法があります。お風呂の蓋をせずにお湯を沸かすことで、湯気により浴室内を覆い寒さ対策となるのです。

最近の浴室にはミストサウナが設置されているものもありますが、お風呂の蓋をせずに沸かすことでミストサウナの代わりになります。また、入浴前に熱いシャワーで浴室全体を濡らすことも寒さ対策になるでしょう。ただ、光熱費がかかるのがデメリットです。

3-5.暖房器具の利用

費用はかかりますが、浴室暖房機の導入も浴室の寒さ対策には効果的です。浴室暖房機は浴室の寒さ対策のみならず、乾燥機能がついているものもあります。浴室暖房機に人感センサーが搭載されている機器もあり、人の動きをセンサーが感知すると自動運転するのです。

3-6.そのほかの方法は?

浴室のリフォームも選択肢の1つとなります。築年数が長期間経過している場合、ちょっとした工夫をこらしても寒さ対策としては不十分になる可能性が高いものです。また、高齢者がいる場合、旧来の浴室では転倒の危険性もあります。バリアフリーの浴室にリフォームするといいでしょう。

浴室暖房機について

この項では、浴室の寒さ対策に導入を検討したい浴室暖房機について紹介します。

4-1.浴室暖房機とは?

浴室暖房機とは、浴室暖房乾燥機とも呼ばれる浴室に設置する暖房器具です。壁掛けタイプ・天井に埋め込むタイプ・天井に取り付けるタイプの3種類に大別することができます。リフォームにより後から取り付けることも可能です。 壁掛けタイプのものよりも天井に埋め込んだ方が見た目はスッキリします。熱源は電気式とガス温水式の2種類です。一般的に暖房、衣類乾燥、換気、涼風などの機能が搭載されています。

4-2.浴室暖房機を使う目的

使う目的としては、浴室の寒さ対策・ヒートショック予防です。また、通気性の悪い浴室の乾燥、カビ防止のために導入するというケースもあり、掃除の手間がかからなくなるでしょう。

4-3.浴室暖房機の主な機能

浴室暖房機の主な機能は下記のものです。

  • 暖房
  • 衣類乾燥
  • 換気
  • 涼風

暖房機能があることで、ヒートショックを予防することができます。 衣類乾燥機能を利用すれば、雨の日に洗濯物を浴室で乾かすことが可能です。雨の日の部屋干しをする場所がない、また、来客があるので部屋干しを見られたくないのであれば導入するメリットがあるといえます。浴室内に干しますので部屋干し独特のニオイがダメという方も導入してみるといいでしょう。

換気機能がありますので、湿度が高くなる季節の浴室掃除に便利で、カビの繁殖予防になります。 涼風という機能を使えば、夏のむし暑さを解消することができるでしょう。

中には、髪を乾かすドライヤー機能を搭載したものがあり、ドライヤーの代わりとしても利用できます。両手が使えて便利で快適に髪の毛を乾かす機能です。

4-4.そのほかの浴室暖房機

そのほかの浴室暖房機の機能としては下記のようなものがあります。

  • ミストサウナ
  • プラズマイオンクラスター機能
  • うたせ湯

ミストサウナ機能を利用することで、浴室をサウナ空間にすることができます。小さな子供がいると、一緒にお風呂に入ったとしても親は子供の体を洗ったり拭いたりしていると、湯冷めすることがあるでしょう。そんな時にミストサウナを利用れば、湯冷めを防ぐことができます。

プラズマイオンクラスターとは、浴室内を浮遊するカビ菌を除菌する機能です。 うたせ湯は天井に埋め込むタイプの浴室暖房機でしか利用できません。温泉にあるうたせ湯を自宅の浴室で再現することが可能です。

浴室暖房機の
設置・交換について

浴室暖房機の設置、交換について、業者選びのポイント、注意点など紹介します。専門業者でなければ設置・交換作業はできないのでしっかりと業者を選びましょう。

5-1.業者選びのポイント

業者選びのポイントは、下記のものがあります。

  • 見積もり費用がしっかりしているか
  • アフターサービスの有無
  • 電気工事士等の有資格者であるか

基本的な話ですが、浴室暖房機の設置・交換・修理をするためには、国家資格である電気工事士などの資格が必要です。設置する浴室暖房機の熱源(電気・ガス)により必要な資格は異なります。

次に、見積もり費用がきちんと作成されているかも重要です。ここが不明確な業者は、仕事への責任もいいかげんになる傾向があります。

そして、アフターサービスの有無です。浴室暖房機は浴室という湿気の多い過酷な環境で毎日使用するものになります。取り付けたら終わりという業者ではなく、フォローもしっかりしている業者を選ぶのがポイントです。

5-2.費用について

浴室暖房機本体の費用と設置費用について紹介します。

5-2-1.浴室暖房機の費用

浴室暖房機の費用は下記のような相場となっています。

  • 電気式浴室暖房機:5万円~19万円
  • ガス温水式浴室暖房機:11万円~16万円

5-2-2.設置の費用

リフォームの際に設置した場合、設置費用はかかりません。しかし、後付け・交換の工事を依頼すると下記の費用が発生します。

  • 後付け費用:8万円~20万円
  • 天井工事費用:1万円
  • 交換費用(撤去処分費用込み):4万円~7万円

天井工事費用は、購入した浴室暖房機を天井に埋め込む際に別途発生します。

5-3.浴室暖房機の設置、交換の流れ

浴室暖房機の設置・交換の流れは、電気式浴室暖房機とガス温水式浴室暖房機で異なります。家電量販店、もしくは業者で購入して、工事を依頼しますが電気式浴室暖房機の方が設置は簡単です。基本的には、室内機を設置して終了になります。

一方、ガス温水式浴室暖房機は、室内機の設置、室外機の設置、その間を温水パイプでつなぎますので壁に穴を開けるなどの工事が必要です。さらに、ガスの配管工事もおこないますので電気式浴室暖房機よりも大がかりになるでしょう。

天井埋め込み式を後付けする場合は天井に穴を開けるなどの大がかりな工事を必要とします。交換は従来の浴室暖房機を撤去し交換するだけなので比較的早く終わるでしょう。

5-4.浴室暖房機の設置・交換の注意点

工事にかかる費用を節約するためといっても、個人がDIYで取り付けてはいけません。電気式浴室暖房機を設置するのであれば感電・漏電・ショートの危険性があります。ガスの場合もガス漏れなどもあるでしょう。国家資格の有資格者が工事をおこなわないと危険であり、場合によっては罰せられます。

浴室の寒さ対策に関する
よくある質問

浴室の寒さ対策に寄せられる質問を5つピックアップして紹介します。

Q.浴室暖房機の交換タイミングは?
A.購入して数年以上経過している状態で、起動時に異常な音が出始めたら交換のタイミングと考えていいでしょう。購入後1年~2年と、そこまで時間が経過していないのであれば修理で十分です。

Q.浴室暖房機は購入した方がいいのか?
A.個人の自由です。リフォームの際に取り付けるという方もいますし、工夫して浴室の寒さ対策をするだけで十分と断言する方もいます。ただ、高齢者が家族にいるのであれば設置を検討するといいでしょう。

Q.マンションや建売住宅でも浴室暖房機は設置可能?
A.賃貸マンションでなければ、浴室暖房機を設置することは可能です。賃貸マンションの場合は難しいでしょう。

Q.どのタイプ浴室暖房機が設置しやすい?
A.壁掛けの浴室暖房機が設置しやすく、天井埋め込みタイプの設置は困難です。壁掛けの浴室暖房機は既存の換気扇を取り外してつけることもできます。ただ、見た目がスッキリするのは天井埋め込みタイプです。

Q.浴室の寒さ対策をすればヒートショックは防げる?
A.浴室の寒さ対策をすることで、浴室でのヒートショックは防げるでしょう。ただし、急激な温度変化によりヒートショックは起きます。たとえば、暖房のある部屋からトイレへ行った際にも起きる可能性は十分にあるのです。また、夏でも涼しい部屋から外へ出た場合にも夏型ヒートショックが起きます。

浴室の寒さ対策
まとめ

いかがでしたか? 浴室の寒さ対策が、いかに重要か理解できたはずです。ヒートショックは、特に高齢者が起こしやすいものですが、若くても発症の危険はあるので、関係ないと油断してはいけません。リラックス空間の浴室であっても死亡する危険性が潜んでいます。ヒートショック予防は可能です。浴室で突然死することのないように予防と対策をしましょう。