肥満の原因って何なの? 知らないと命にかかわる7つの肥満基礎知識!

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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食生活の欧米化などにより、肥満は今や日本の国民病ともいわれています。厚生労働省の調査によれば、日本の成人男性は28.4%、女性は18.7%という肥満率です。実は、肥満はただ見た目が悪くなるだけでなく、命にもかかわるのをご存じでしょうか。さまざまな病気にかかるリスクが倍増し、死亡率も高まってしまうのです。健康に長生きしたいのであれば、早急に肥満を解消しなければいけません。そこで、今回は肥満の原因と解消法についてご紹介します。

この記事を読むことで、肥満の原因や危険性など、基本的な情報を学ぶことができます。肥満の対策法や予防法、治療法についても解説していますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

肥満の基礎知識

1-1.肥満とは?

肥満とは、過剰に体脂肪が体に蓄えられてしまっている状態のことを言います。また、日本肥満学会の定義では、BMIの値が25以上の状態が肥満です。BMI(Body Mass Index)とは日本語で体型指数という意味で、18.5以上25未満が普通体型と定義されています。ただし、BMIは筋肉量を考慮に入れていないため、必ずしも25以上だと肥満というわけではありません。BMIの計算方法については、後述します。

1-2.主な原因

主な原因には高カロリー食品の食べ過ぎと運動不足が挙げられます。片方だけでも肥満のリスクはありますが、多くの肥満体型の方は両方をしてしまっているようです。

1-3.種類、タイプ

実は、太り方にはいくつかの種類があります。普通の肥満と固太り、水太りなどです。固太りというのは、脂肪だけでなく筋肉も一定量ある状態のことを言います。イメージとしては相撲の力士やプロレスラーなどでしょう。がっちりとした見た目です。水太りとは、脂肪の中に水が多く含まれている状態を言います。筋肉が少ない方に多いので、特に女性に見られる太り方です。また、肝硬変など、病気で肝臓機能が低下すると発生することもありますので、注意しましょう。

1-4.なりやすい人とは?

基本的に、肥満というのは年齢が高いほどなりやすい傾向にあります。なぜかというと、年を取ると基礎代謝(生きているだけで消費するエネルギー)が下がっていきますし、身体機能も衰えるため運動機会が減っていくからです。ただし、高齢になると食欲が落ちてくるため、必ずしも老年の方が太りやすいとは言えません。そのため、一番太りやすいのは30~60代でしょう。この年代は飲酒の機会が多いですし、食欲も旺盛なので過食になり気味です。実際、平成27年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査報告」によれば、男性で最も肥満になりやすいのは40代で、続いて50代、30代、60代となっています。

1-4-1.男女では肥満が多い年代が全く違う

男性ではピラミッド型のグラフ図で、中年に近づくにつれて肥満率が高くなるという結果でしたが、これが女性になると変わってきます。前述した「国民健康・栄養調査報告」によると、女性の場合は70代以上が最も肥満率が高く、続いて60代、50代、20代となり、30代が最も低いのです。男性とはほぼ逆の「谷型グラフ」となっています。もちろん、男女ともに太りやすいのは中年ですが、男性に比べて女性(特に若い女性)の方が体型に対するこだわりが強い傾向にあるため、このような結果となっているようです。

1-5.最近の傾向

2000年初頭ごろが最も肥満割合が多く、現在ではやや減少傾向にあります。これは、最近の健康ブームなどで多くの方が体型に気を付けるようになったことや、インターネットの普及で肥満やダイエットに関する知識を手軽に得られるようになったことが理由です。

肥満度チェック

2-1.BMIの計算方法について

BMIの計算方法は簡単で、「体型指数(BMI)=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」となっています。たとえば、身長155センチ・45kgの場合、「45÷(1.55×1.55)=18.7」となるので、BMI18.7で標準体型です。

2-2.BMIチェック

WHOでは、BMIの基準を以下のように定義しています。自分がどのような体型に属しているのかを確認してみましょう。

  • 痩せすぎ:16.00未満
  • 痩せ:16~17未満
  • 痩せ気味:17~18.5未満
  • 普通体重:18.5~25未満
  • 過体重:25以上
  • 肥満予備軍:25~30未満
  • 肥満:30以上
  • 肥満(1度):30~35未満
  • 肥満(2度):35~40未満
  • 肥満(3度):40以上

肥満が体へ与える影響について

3-1.悪影響について

3-1-1.病気になりやすくなる

真っ先に挙げられる悪影響と言えば、病気になりやすくなるという点でしょう。国立がん研究センターが発表した「肥満指数と死亡率との関係について」によると、BMIは22~23前後が最も死亡率が低く、この数値から離れれば離れるほど10年間の死亡率は高くなっていることが分かります。BMI30の男性の場合、BMI23の男性に比べて死亡率が2倍なのです。また、死亡率が高いわけですから、病気になりやすいということでもあります。たとえば、肥満の人は標準体型の人に比べて、糖尿病では5倍、高血圧が3.5倍、胆石症が3倍、痛風が2倍と、さまざまな病気のリスクが高まるのです。このほかにも、心筋梗塞や狭心症、がんなどのリスクも高まることが分かっています。また、当然のことながら肥満になると膝や腰に負担がかかるので、関節障害のリスクも10倍まで上がってしまうことも忘れてはいけません。

3-1-2.疲れやすくなる

肥満になると体が重くなりますますし、多くの場合は運動不足のために筋肉も衰えています。そのため、少しの運動などでも疲れやすくなるでしょう。

3-1-3.見栄えが悪くなる

日本ではある程度スリムな体型の方が、男女ともに見栄えが良いとされています。そのため、肥満体型の場合、多くの人から見れば見栄えが悪いでしょう。

3-1-4.服を着られなくなる

肥満体型になると、これまで着ることができていたお気に入りの服を着られなくなってしまいます。さらに、標準体型に比べると服の種類が少なく、服を購入する際にも困ってしまうケースが多いでしょう。

3-1-5.食費がかかる

肥満になると食欲が強くなってしまいます。そのため、ついついたくさん食べてしまいがちです。標準体型の人に比べると、肥満体型の方は2倍以上の量を食べることも珍しくはありません。食費も比例して高くなってしまうでしょう。

3-1-6.眠くなりやすい

肥満が直接的な原因ではありませんが、肥満の方は食後に眠くなりやすいでしょう。なぜなら、肥満の人は普通の人よりも食事の量が多く、さらに炭水化物などの糖類が好きな傾向にあるからです。大量に糖類を取ると血糖値が急上昇し、眠くなってしまいます。ひどい場合には食後数時間にわたって眠気に襲われることもあるようです。

3-2.関連する病気について

肥満と関連する病気には、以下のようなものが挙げられます。

  • 糖尿病
  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • がん
  • 耐糖能異常
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 胆石症
  • 痛風
  • 睡眠時無呼吸症候群

肥満の対策法について

4-1.自分でできること

4-1-1.甘いものや脂っこいものを避けて、腹8分目を意識する

一番効果が高いのは、やはり食事を制限することです。糖質の多いものや脂質の多いものを避けるようにしましょう。また、糖質や脂質を避けても、おなかいっぱいまで食べていると太ってしまいます。まだ物足りない、という状態でやめておくようにしましょう。最初はつらいと思いますが、次第に体が慣れてくると食事量が少なくても満足できるようになってきます。

4-1-2.定期的な運動

定期的に運動することは、肥満を防ぐ上で非常に重要です。カロリーを消費してくれるため、脂肪が付きにくくなります。また、運動をすると筋肉の衰えを防いでくれるという点も重要です。筋肉は基礎代謝に大きく貢献しており、あればあるだけ基礎代謝が上がります。そのため、筋肉があれば太りにくいのです。

4-2.注意点

ダイエットは簡単に始めることができますが、逆に簡単にやめてしまえます。そのため、3日坊主で終わってしまうことが多いのです。おそらく、多くの方が経験してきたと思います。しかし、中途半端にダイエットをやめてしまうと、これまでと同じ食事量でも普段以上に脂肪をため込んでしまい、結果としてダイエット前よりも体重が増えてしまうことがあるのです。ですから、3日坊主で終わらないように、しっかりとした意志を持つことが重要となります。

肥満の治療法について

5-1.診断方法

基本的にはBMIによる診断方法が行われます。また、腹囲を図り、男性では85cm以上、女性の場合は90cm以上あれば、内臓脂肪を測定するために腹部CT検査を行うこともあるでしょう。ほかには、生体インピーダンス法による診断も行われます。体内に微弱な電流を流した際の抵抗値から体脂肪や筋肉の量を計測する方法です。体脂肪計や体組成計に採用されています。

5-2.主な治療法

主な治療法は以下のとおりです。一つだけを行うのではなく、いくつかを組み合わせた治療法が行われます。

5-2-1.食事療法

栄養士などの指導の下、適切な量・内容の食事を取ることで脂肪を減らす療法です。肥満治療のほとんどを占めます。運動療法と並行して進めることが求められるほか、生活習慣などの改善も必要です。

5-2-2.運動療法

運動を行うと脂肪組織に蓄積されていた中性脂肪が分解されます。この際に生じた遊離脂肪酸が筋肉で利用されることで体脂肪が減少されるわけですね。また、太りにくい体を作ることも目的の一つとなります。 運動を定期的に行うことで基礎代謝が上がるからです。また、運動を行うことでインスリンの働きがよくなるため、糖尿病の予防になるという効果もあります。ほかにも、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を予防し、脂質異常症や高血圧を改善することも目的の一つです。

5-2-3.薬物療法

食欲抑制薬などの抗肥満薬を使用する治療法を薬物療法と言います。ただし、薬物療法は高度肥満症(BMIが35以上)にならないと保険適用外です。ですから、適用されるケースはそこまで多くはありません。

5-2-4.手術

日本ではあまり行われませんが、高度肥満症の人に対して手術を行うことがあります。手術内容としては、胃の一部を切除して小さくし、物理的に食べることのできる量を減らす方法が一般的です。また、栄養吸収を抑えることを目的に腸管を縮小する方法もあります。

5-3.病院について

自分でBMIを計算してみて、肥満にあたるようであれば病院に行くことをおすすめします。とはいえ、肥満は何科へ受診すればいいのか分からないですよね。基本的には内科に行けばいいのですが、もしも内分泌代謝内科があればそちらの方が最適でしょう。内分泌代謝内科は糖尿病や高血圧症、肥満症などを専門としています。また、近年肥満の方が増えていることもあり、肥満外来(ダイエット外来)が増えてきているので、近くにあれば受診してみてください。

5-4.病院の選び方

医師のレベルや機材の充実など、病院にも良し悪しというものがあります。近いからといって適当に選ぶと後悔することもあるでしょう。ですから、まずはホームページなどで病院についてリサーチしておくことが重要です。また、口コミサイトなども積極的に利用しましょう。

肥満の予防法について

6-1.食事に気を付ける

肥満の予防法は、やはり何といっても食事に気を付けるということです。普段から脂質や糖質に気を配りましょう。おすすめの食事は鍋やスープなどの汁物です。特に鍋料理は種類がたくさんあるうえ、おいしく野菜を摂取できます。また、水分が多いため、満腹感が得られやすいのもメリットの一つです。また、白滝やこんにゃくなどを使った料理もおすすめします。白滝やこんにゃくなどは満腹感を得られやすい食材にもかかわらず、カロリーはほぼゼロです。麺類の代わりに取り入れるなどすれば、大きなダイエット効果が見込めるでしょう。

6-2.運動を行う

食事制限だけではなく、定期的な運動を行うことも重要となります。できれば、毎日運動するのが理想的です。ハードでつらい運動をする必要はありません。息が上がらない程度の強度で行う運動、いわゆる有酸素運動を行いましょう。筋肉トレーニングなどの無酸素運動よりも脂肪を燃焼しやすいからです。おすすめの運動としては「サイクリング」が一番に挙げられます。サイクリングは、水泳と並んでカロリー消費が高い運動です。しかも、膝や腰に負担がかからないので、すでに肥満気味の方や運動に慣れていない人などでも、ケガをせずに脂肪を燃焼させることができます。また、ボクササイズやダンスなどもおすすめです。楽しみながら脂肪を燃焼させることができるので、長続きしやすい運動と言えます。もちろん、ウォーキングやジョギングなども手軽なのでおすすめです。

6-3.やってはいけないこと

6-3-1.急激な減量

痩せようと思って、無理に食事量を減らす方がいます。たとえば、1日500キロカロリー程度しか取らない、などです。確かに、摂取カロリー量を極端に減らせばすぐに痩せることができます。しかし、急激に体重を落とす行為は、実は脂肪だけでなく筋肉も落としてしまうのです。前述したように、筋肉は人間の基礎代謝に寄与しています。そのため、短期的には痩せても、長期的に見れば太りやすい体になってしまうのです。

また、人間にはホメオスタシス(生体恒常性)という機能があります。環境に合わせて、体の状態を一定に保とうとする機能です。たとえば、暑くなれば汗をかいて体を冷やそうとしたり、寒くなれば体を震わせて熱を作ろうとしたりしますよね。これはホメオスタシスに関係した現象です。そして、ホメオスタシスは体重に関しても働きます。長い間、重い体重で過ごしていた場合、体にとってはその体重こそが「基準体重」です。そのため、急激なダイエットをすると危機を察知して、基準体重を維持するために脂肪を蓄えやすくします。結果としてリバウンドが起こりやすくなるのです。このように、急なダイエットは長期的に見ると逆効果となります。適切な配分でのダイエットを行いましょう。適切な配分は1か月あたり体重の5パーセント減が基本です。たとえば、体重が60kgの方でしたら、1か月に落としていいのは3kgまでとなります。

6-3-2.偏った食事

ダイエットをしようとすると、カロリーだけで考えてしまいがちです。カロリー量の多い食べ物は一切取らない食事にしてしまう人がいますが、実はやりすぎはいけません。たとえば、ごはんやパンなどの炭水化物は糖類に属し、カロリー量も多い食べ物です。しかし、炭水化物は必須栄養素の一つのため、摂取しないと筋肉量低下・頭痛・ダルさ・便秘・月経不順・口臭や体臭が強くなる、などさまざまな悪影響が出てしまいます。まったく摂取しないのは止め、「摂取量を減らす」ということが重要です。

肥満に関してよくある質問

7-1.BMIは低ければ低いほど健康ですか?

よく誤解されがちなのですが、BMIは低ければいいというものではありません。たとえば、BMIが15の方と30の方を比べると、10年での死亡率はそれほど変わらないのです。最も健康的なのは22~23前後となります。BMIが低すぎる方は、少し食事量を増やして22~23に近づけるようにしましょう。

7-2.男女で肥満のなりやすさに違いはありますか?

女性の方が男性に比べて筋肉量が少なく基礎代謝も低いので、同じ量を食べれば女性の方が太りやすいと言えます。ただし、一般的には男性の方が食事量が多いため、実際には大きな差はないでしょう。

7-3.いつもダイエットが長続きしないのですが、どうしたらいいでしょうか?

重要なのは計画性です。その日の気分で運動したり、適当なダイエット料理を作ったりするのではなく、しっかりと計画を立てるようにしましょう。1か月(もしくは1週間)のうち運動する日を決め、先の日まで食事の献立を考えてしまいます。最初に計画を立ててしまえば、あとは予定どおりに動くだけなので、毎日毎日ダイエットメニューを考えるよりも楽です。また、すでに計画が立ててあると、人間はそれに従いたくなりますので、このような意味でも長続きしやすくなるでしょう。これでもダメなようであれば、プロを頼るのも手の一つです。病院に行って医師に相談するのも良いですし、フィットネスクラブでトレーナーに相談するのも良いでしょう。

7-4.お酒を飲むと太るって本当ですか?

アルコール自体は肥満とは関係がありません。しかし、お酒を飲むと食欲が湧くため、つい食べ過ぎてしまいます。しかも、焼き鳥やフライドポテトなど、アルコールのおつまみには脂っこいものも多いため太りやすくなるのです。

7-5.市販の肥満薬は効果がありますか?

漢方薬などで、肥満症の薬が市販されています。個人差がありますが、効果が見られる方も多いようです。ただし、市販薬でも、副作用やアレルギーなどが発生するリスクはあります。ですから、できれば自己判断で服用するのは避け、事前に医師の診断を受けるようにしてください。

まとめ

いかがでしたか? 今回は肥満に関する基礎的な知識をご紹介しました。肥満とはBMIが25以上の状態のことです。肥満になると病気にかかる確率が上がってしまいます。中には、糖尿病や心筋梗塞などの重い病気もありますので、肥満はすぐにでも解消すべきです。肥満は自分で解消することもできますが、なかなか難しい部分もあります。自分ではダイエットが続かないようであれば、医師やフィットネストレーナーなどに相談してみると良いでしょう。今回ご紹介した情報を参考にして、ぜひとも肥満の予防と改善をしてくださいね。