「化学物質過敏症の疑いがあるが、原因物質にはどんなものがあるのだろう」とお考えではありませんか? 化学物質過敏症とは、身の回りの化学物質に過剰反応し、頭痛やはき気などあらゆる症状を引き起こすことです。まずは、適切な治療を受けるためにも、どんな原因でどんな症状が出やすいのか、正しく知る必要があります。
そこで今回は、化学物質過敏症の原因について詳しく解説しましょう。
この記事を読むことで、化学物質過敏症の対応方法がよく分かります。化学物質過敏症の疑いがある人やつらい症状でお悩みの方は、記事を読んでみてください。
1.化学物質過敏症の原因物質は?
最初に、化学物質過敏症の主な原因物質について見ていきましょう。
1-1.殺虫剤や抗菌剤など
化学物質過敏症と認定された人の9割が、殺虫剤や抗菌剤に反応して症状が出ます。殺虫剤や抗菌剤は、強い化学物質が使われているからです。同様に、防虫剤も化学物質過敏症の人には使用をおすすめしません。
1-2.化粧品・洗剤・防臭剤など
化粧品や洗剤の成分も、化学物質過敏症の原因になります。化粧品の香料や保存料・添加物に反応する人が多いので気を付けましょう。また、洗剤の香料や蛍光剤が原因になる人もいます。同様に、防臭剤も反応しやすいので、化学物質過敏症の人は使用を避けてください。
1-3.タバコの煙や車の排ガスなど
タバコの煙や車の排ガスもが原因で、化学物質過敏症になることがあります。タバコの煙や車の排ガスを吸い込むことで、発症するのです。タバコの煙が原因の場合、喫煙者に近づいたり会話したりしただけで症状が出ることもあります。
1-4.塗料
塗料の成分を吸引すると、化学物質過敏症をひこ起こすことがあります。特に、新築・リフォーム直後の家では、強い症状が出やすいので注意してください。場合によっては、なお、塗料の原因物質は、揮発するため、時間が経過すれば問題なく過ごせることが多いでしょう。
1-5.医薬品
人によっては、医薬品も化学物質過敏症の原因になるので気を付けましょう。たとえば、内服薬を服用して、異常を訴えることがあります。また、外用薬を塗布した部分が異変を起こしたり、成分を吸引して発症したりすることもあるでしょう。医薬品が原因の場合は、医療機関に相談して治療薬を処方してもらうことが大切です。
2.化学物質過敏症によって起こる症状
化学物質過敏症ではあらゆる症状が起こります。具体的にどんな症状が出るのか見ていきましょう。
2-1.消化器障害および循環器障害
化学物質過敏症でよく見られる消化器障害や循環器障害には、以下のようなものがあります。
- はき気
- むくみ
- 下痢
- 便秘
- 血行不良
- 心拍の上昇
- 不整脈
- ぜん息
心拍の上昇や不整脈などの循環器障害が強く出た場合、命に関わることもあるので早急な対処が必要です。
2-2.皮膚や粘膜の症状
化学物質過敏症で代表的な症状に、以下のような皮膚や粘膜の症状があります。皮膚や粘膜が化学物質に反応して、防御反応を引き起こすからです。
- 皮膚炎
- じんましん
- のどや目の痛み
- 結膜炎
- 鼻炎
2-3.内耳障害
以下のような内耳障害が出た場合、化学物質に反応していることがあります。
- めまい
- ふらつき
- 耳鳴り
内耳障害は、頭痛やはき気を伴うこともあるでしょう。内耳器官に問題がないときは、化学物質過敏症の可能性を疑ってください、
2-4.運動障害
化学物質過敏症になると、以下のような運動障害が出ることがあります。急に力が入らなくなり、脱力してしまうこともあるので注意してください。
- 筋力低下
- 筋肉痛
- 関節痛
- 筋肉のけいれん
2-5.自律神経障害
化学物質過敏症になると、自律神経が乱れて以下のような症状が現れるケースが多く見られます。
- 異常発汗
- 頭痛
- 手足の冷え
- すぐに疲れる
2-6.精神障害
化学物質過敏症では、精神障害を訴える人も少なくありません。たとえば、以下のような症状が見られます。
- 不安
- うつ状態
- 不眠
- 思考力の低下
- 怒りっぽくなる
3.化学物質過敏症の対応方法
化学物質過敏症の対応方法を詳しく解説します。
3-1.化学物質不使用の製品を選ぶ
化学物質不使用の製品を選ぶことで、症状の発症を抑えることができます。購入前に成分一覧を確認し、なるべく化学物質が含まれていないものを選びましょう。特に、以前反応したことがある化学物質が含まれるものは避けてください。また、どんな成分が含まれているか不明なのもは、購入を控えましょう。化粧品などのサンプルをむやみにもらうこともおすすめしません。
3-2.化学物質から遠ざかる
原因となる化学物質から遠ざかることも大切です。化学物質と接触しなければ、発症を抑えることができます。たとえば、タバコの煙に反応してしまう人は、喫煙者と距離を取る、喫煙場所に近づかないなどを心がけましょう。化粧品が原因の人は、化粧品売り場や洗剤売り場などに近寄るだけで、化学物質過敏症が発症する可能性があります。外出時は、マスクの着用を徹底し、化学物質の吸引を予防することも心がけましょう。
3-3.十分に休養する
化学物質過敏症の人は、十分に休養することも大切です。たとえば、睡眠不足や過労により体の免疫力が下がっていると、症状が出やすくなります。夜更かしをやめ、早めにベッドに入りましょう。眠る前にぬるめのお湯で入浴するのもおすすめです。
3-4.ストレスを解消する
ストレスが化学物質過敏症の引き金になることがあります。ストレスをためすぎないよう、普段から適度にリフレッシュすることを心がけましょう。悩みがあるときは、気の置けない友人や家族に聞いてもらうのもいい方法です。また、医療機関でカウンセリングを受けるのもいいでしょう。
3-5.周囲に知らせておく
化学物質過敏症であることを周囲に知らせておくことも重要です。たとえば、タバコの煙や化粧品などの香料に弱い場合、周囲に知らせておけば気を使って控えてもらえます。また、症状を理解してもらえば気持ちも楽になるでしょう。化学物質過敏症の理解が広がれば、誤解や偏見を防ぐことにもつながり、より楽に過ごせるはずです。
3-6.医療機関で治療を受ける
化学物質過敏症の疑いがある場合、専門の医療機関できちんと診断を受けることが大切です。まずは、化学物質過敏症の治療に力を入れている医療機関を受診し、血液検査やレントゲン検査などを受けましょう。つらい症状を改善するためにも、適切な治療を受けることが大切です。
4.化学物質過敏症の原因に関するよくある質問
最後に、化学物質過敏症の原因に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。
Q.食品が原因で化学物質過敏症になることもある?
A.はい。農薬や食品添加物が原因になることも考えられます。特定の食品を口にして発症した場合は、可能性が高いでしょう。
Q.化学物質過敏症になりやすい人は?
A.以下のような人は、化学物質過敏症になりやすいので注意が必要です。ただし、私たちの周辺には常に多くの化学物質が存在しているため、誰でも発症する可能性はあります。
- 長年化学物質に触れて生活している
- 農園・ゴルフ場などの近くに住んでいる
- アレルギー体質
Q.化学物質過敏症の特効薬はありますか?
A.現時点では、特効薬はありません。発症のメカニズムが解明されていないことから、症状の種類に応じた対症療法が基本となります。
Q.化学物質過敏症の原因が複数存在することもある?
A.はい。特定の化学物質にだけ反応する人ばかりではありません。複数の化学物質が発症の原因となる人もいます。
Q.化学物質過敏症は遺伝する?
A.いいえ。現時点では化学物質過敏症が遺伝することは確認されていません。ただし、親が発症した場合、同じ環境で暮らしている子どもも発症する可能性があります。化学物質過敏症は、住環境などの外的な要因に大きく影響を受けるからです。
まとめ
今回は、化学物質過敏症の原因について詳しく解説しました。化学物質過敏症の原因は、殺虫剤・化粧品・洗剤・塗料・タバコの煙など、ざまざまな化学物質です。人によって症状が引き起こされる原因が違うので、どんな化学物質に反応するか見極める必要があります。化学物質過敏症の疑いがあるときは、原因物質を避ける生活を送ったり、専門の医療機関を受診したりして早期に対策することが大切です。睡眠不足やストレスも大敵なので、無理をせずにゆったりと生活することも心がけましょう。