パニック障害の原因は? 家族や周囲の人が注意すべきポイント

パニック障害は、いったい何が原因なのか分からずに悩んでいる方が多いでしょう。芸能人やスポーツ選手が「パニック障害」と公表することも多くなり、名前だけ知っている方も多いはずです。パニック障害は、体の病気はないのに、呼吸困難や動機などの症状が起きるケースが多い心の病気であり、具体的な傾向や特徴を知ることが改善につながります。

本記事では、パニック障害の原因などについて詳しく説明しましょう。

  1. パニック障害の原因は?
  2. パニック障害になりやすい人は?
  3. パニック障害に気づいたら何をすべきか?
  4. 家族や周囲の人が注意すべきポイント
  5. パニック障害に関してよくある質問

この記事を読むことで、パニック障害の特徴や周囲の人が注意すべきポイントなどが分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.パニック障害の原因は?

まずは、パニック障害の原因をチェックしておきましょう。

1-1.いまだに解明されていない

パニック障害の原因は、いまだにハッキリと解明されていないのが本当のところです。けれども、多くの研究では、病気にかかりやすい体質=先天的な遺伝子要因が関係しているのではないかと報告されています。パニック障害患者の兄弟・子ども・親など第一度近親者の発症率は、約17%と報告されているように、一般人口の発症率よりも約8倍のリスクだと判明しているのです。このように、先天的な遺伝子要因が関係していると報告されていても、パニック障害の原因となる特定の遺伝子は見つかっていません。

1-2.パニック障害患者に共通する過感受性

パニック障害を発症している人に共通しているのは、中枢化学受容器という器官に過感受性があることです。中枢化学受容器は延髄にある器官で、二酸化炭素を感知する働きがあります。そのため、パニック障害患者は、睡眠中や安静時など少しの二酸化炭素の上昇でも酸素不足と捉えてしまい、呼吸促進や動悸などの身体症状が起きるのです。そして、身体症状によって危険を察知し回避する役割を担っている扁桃(へんとう)体という器官に伝わります。扁桃体はこの状態を生命に危機的な状況と誤って判断してしまい、交感神経が活性化するのです。

1-3.危険な場面に遭遇したときに働く神経機能

前述したように、パニック障害の原因はハッキリしていませんが、人が危険な場面に遭遇したときに働く神経神経が関係していると言われています。神経機能が危機的状況を感じ取り、異常をきたしてしまうのです。その結果、パニック障害が生じると考えられています。つまり、パニック障害の原因は、心理的な部分も深く関係しているというわけです。

1-4.過労・睡眠不足・ストレスなどが引き金に

パニック障害や発作の引き金になるのは、過労・睡眠不足・ストレス・風邪などです。体と心が弱っているときにパニック障害が起こりやすい傾向があり、家族歴があるとさらに発症リスクが高まると言われています。パニック障害をできるだけ引き起こさないようにするためには、日ごろから体と心のケアを行うことが大切です。

2.パニック障害になりやすい人は?

では、どのような人がパニック障害になりやすいのでしょうか。

2-1.感性がデリケートで恐怖心が強い

心が繊細な人ほど、パニック障害になりやすいと言われています。その理由は、物事に対する恐怖を人一倍強く感じてしまうからです。感性がデリケートで恐怖心が強い人は、素質的にパニック障害になりやすい傾向があります。たとえば、幼少期に1人で寝るのが怖かった・恐怖体験を時々思い出すことがある・大人になっても狭い空間が怖いと感じるなどです。

2-2.職場や家庭でストレスを抱えている

前述したように、過剰なストレスがパニック障害の引き金になることがあります。有名なスポーツ選手や芸能人がパニック障害で休んだり引退したりするのも、ストレスがほとんどです。ストレスを感じて心理的に追い詰められている際に、パニック障害が起こりやすくなります。職場で嫌な上司がいたり、寝不足が続いたりするときに、ストレスが原因で通勤中に発作を起こす人も多いのです。

2-3.過去に精神病を患ったことがある

自律神経失調症やうつ病など、過去に精神病を患ったことがある人は、パニック障害になりやすいと考えられています。普通の人よりもデリケートで心を病んでいるため、ちょっとしたことがきっかけでパニックになりがちなのです。また、精神病を患ったことがある人は、心身が疲弊するとパニック障害を引き起こす傾向があります。後々、うつ病と似た症状が現れることもあるのです。

2-4.喘息(ぜんそく)の薬やホルモン剤を服用している

喘息の薬やホルモン剤を服用している人も、パニック障害になりやすい傾向があります。喘息の薬はノルアドレナリンと呼ばれるホルモンを活性化させるため、服用していない人よりも発症のリスクが高まるからです。径口避妊薬などに使われるホルモン剤も、喘息の薬と同じ傾向があります。

3.パニック障害に気づいたら何をすべきか?

「パニック障害かもしれない……」と思ったときは、いったい何をすればいいのでしょうか。

3-1.パニック障害の自覚症状をチェック!

心疾患と似たような自覚症状はありますが、心電図やエコー検査をしても体に問題がない点がパニック障害の特徴です。前触れなく動機(どうき)がしたり、息切れ・冷や汗・脱力感などがあったりしたときには、パニック障害に陥っているかもしれません。特に、パニック障害は1回発作が起きると、「またいつか起きるのではないか」という不安が強くなりがちです。このことを予期不安と言いますが、パニック障害患者は予期不安が高まると実際に発作が起きやすくなります。自分に当てはまることがないか、振り返ってみてください。

3-2.専門医を受診する

動機・息切れ・冷や汗・脱力感・手足のしびれなどの自律神経症状や身体症状が長く続く場合は、専門医を受診してください。パニック障害かもしれないという不安があるときにすぐ受信することで、軽い症状のうちに改善できる可能性が高くなります。急性の発作なら、治る可能性が高いでしょう。予期不安が多少あったとしても、早めに受診し治療を始めることで生活に支障が出ない程度になるのです。不安な気持ちでいるよりも、専門医に相談したほうが心も安らぎます。

3-3.呼吸することに意識を傾ける

パニック発作の最中は、呼吸が浅く短くなりがちです。まずは落ち着くために、呼吸を長く深くゆっくりと呼吸するように意識を傾けてください。理想は、4秒間吸って6秒間吐くことです。パニック発作の症状が治まるまで、この呼吸を続けてみましょう。呼吸がコントロールできるようになれば、発作が起きても少しずつ治まり、頻度も少なくなります。また、呼吸がゆっくりになってきたら、「パニック発作はすぐに終わる」と自分に言い聞かせることも大切です。

3-4.自分の気を紛らわせる

自分に言い聞かせることも大切ですが、パニック発作が治まるまで自分の気を紛らわせるのが有効でもあります。たとえば、周囲に人がいる場合は、躊躇(ちゅうちょ)せずにその人に話しかけ、会話に集中することで自分の気を紛らわせることができるでしょう。人間の頭は簡単に気が紛れるものなので、ほかのことを考えるなど別のことに意識を向けてみてください。

4.家族や周囲の人が注意すべきポイント

パニック障害患者の家族や周囲の人が注意すべきポイントを解説します。

4-1.違う話を切り出して会話する

パニック発作が起きたときは、違う話を切り出して会話を続けようと努力してください。前述したように、パニック障害患者は自分の気を紛らわせることで症状が落ち着きます。自分1人ではなかなか冷静になれないため、周囲にいる人たちが関係のない話を持ちかけてみてください。たとえば、最近話題になった明るいニュースや、おいしいスウィーツのことなど、どのような内容でも構いません。

4-2.「パニック障害かもしれない」と言うのはNG

近くにいる人がパニック発作を起こした場合、「パニック障害かもしれない」と言ったり、率直に尋ねたりするのは絶対にNGです。パニック障害という言葉だけで不安が大きくなり、症状が悪化する恐れがあります。パニック発作は恐怖心からきていることが多いため、安心していられるようにしてあげることが大切です。まずは、自分自身が冷静になり、「気分はどう?」「大丈夫?」とやさしい言葉をかけてあげましょう。パニック発作を起こしていない人が慌ててしまうのも、余計に不安を煽ってしまうので要注意です。

4-3.身体症状や精神状態がひどい場合は病院へ

相手の体がひどい症状を起こしていたり、対処できないほどの精神状態になったりしているときは、すぐに治療が受けられるところを探したほうがいいでしょう。治療は早ければ早いほどいいので、面倒だからと放置しないようにしてください。最近は、パニック障害になる人が増えてきたこともあり、対応可能な病院も増えています。

4-4.心がけておきたい家族の接し方

家族にパニック障害患者がいる場合は、できるだけ普通の接し方を心がけてください。パニック障害だからと言って特別に接したり、腫れ物を扱うように接したりすると、患者にとってつらい状況となり、さらに不安な気持ちが大きくなります。いつもと変わらず普通に接してくれることが、何より気持ちが楽になる接し方なのです。調子が悪そうなときは、無理をせずにそっとしておくといいでしょう。

5.パニック障害に関してよくある質問

パニック障害に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.カフェインがパニック発作の引き金になるのは本当か?
A.事実です。カフェインはアデノシンと呼ばれる成分の分泌を滞らせる作用があります。アデノシンとは、パニック発作を引き起こすと考えられているホルモンの働きを抑制するものです。よって、コーヒーや紅茶などカフェインが入っている飲料を常に飲む人は、カフェインの作用でパニック障害を患いやすいと言えるでしょう。

Q.パニック障害の予防法は?
A.これが効果的という予防法はありませんが、心理的要因が関係していることから不安を1人で抱え込まないことが大切なポイントです。孤立してしまわない・自分を理解してくれる人がそばにいるという現実的なストレス対策が、パニック障害に有効だと言われています。できるだけ、心身ともにリラックスできる環境で生活しましょう。

Q.広場恐怖とは?
A.いつ生じるか分からない発作に備えて、助けを得られない状況を避けようとすることです。パニック発作を起こすと自分1人の力だけではどうしようもなくなってしまいます。誰かの助けを得たいと思うようになり、いつ生じるか分からない発作に備えて助けを得られない状況を避けるのです。そのため、人が多い場所にいなければ不安になったり、誰かがそばにいないと精神が不安定になったりします。

Q.パニック障害の治療とは?
A.薬物療法と認知行動療法が中心です。できるだけ薬を使いたくないという方が多いため、認知行動療法がメインになるでしょう。パニック発作の治療として有効で、これまで避けていた環境に自分自身の身を置くようにします。発作を起こすことなく行動できる範囲を少しずつ広げる方法です。

Q.パニック障害の治療で家族が心がけるべきことは?
A.生活リズムを整えること・アルコールやタバコを控えることの2点に心がけるのがベストです。この2つを家族が支えるだけでも、パニック障害の症状がやわらげるようになります。本人のペースに合わせて、少しずつ本来の生活リズムに戻す感覚で接してください。

まとめ

パニック障害の原因は、いまだにハッキリと判明していません。研究によると、先天的な遺伝や精神状態・ストレス・疲労などが原因でパニック発作を引き起こすと言われています。さまざまな原因が考えられていますが、精神状態が大きく関係しているようです。日ごろからストレスを感じない環境に身を置いたり、1人で抱え込まないようにしたりするなど、心身に負担がかからない生活を心がけるといいでしょう。「パニック障害かもしれない」と不安になったときは、できるだけ早めに専門医に相談してください。また、家族がパニック障害を患ったときは、いつもと同じ接し方を心がけることが大切です。