スギ花粉のアレルギー対策と原因や治療法について

スギ花粉のアレルギー対策を徹底解析! 原因や治療法について

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「くしゃみが止まらない」「目や鼻がかゆい」など花粉症・アレルギー性鼻炎はとてもツラいものです。通常生活がままならず、苦しい日々が続くでしょう。花粉症の原因となる花粉は、さまざまな種類があります。その中で3月ごろからやってくる花粉がスギ花粉です。毎年、春前になると花粉症の症状で悩んでいる方は多いのではないでしょうか。そこで、本記事では、スギ花粉の基礎知識やアレルギーの症状・治療方法などについて詳しく説明します。

この記事を読むことで、スギ花粉によるアレルギー症状をやわらげる方法やポイントを知ることができます。症状で悩んでいる方はぜひチェックしてください。

スギ花粉とは

アレルギー症状を抑えるためには、スギ花粉がどういうものなのか知ることが大切です。スギ花粉について詳しく説明します。

1-1.スギ花粉とは

スギ花粉は先端が突出している楕円形(だえんけい)です。大きさはおよそ30~40マイクロメートルと小さな花粉で、周囲は殻に包まれています。スギ自体が花粉を雄しべまで運ぶために風を利用する風媒花(ふうばいか)です。そのため、風が吹くと花粉が飛び、なんとその距離は数十キロメートル以上にまでおよぶといわれています。

1-2.いつごろ飛ぶのか

日本のスギ花粉は2月~4月がピークです。特に、2月下旬から3月にかけての飛散量が多く、大量の花粉が飛ぶと黄色い霧がかかったような状態になります。その状態のことを花粉雲とも呼ばれているのです。日本では春先から天気予報などでスギ花粉情報が報じられてますね。

1-3.増えている理由

スギ花粉が増えている理由はいろいろと挙げられています。中でも、最も注目されている増加理由が、スギ林の管理不足です。スギは植林後40年で成木となり、花粉を飛散し始めます。まさに今、戦後の高度経済成長期に植えたスギが花粉を飛散させているのです。さらに、輸入木材に頼りすぎているため、林業にたずさわる人が減り、スギ林の管理ができなくなっています。その結果、枝が伸び放題→多くの花粉をまき散らすというわけです。

スギ花粉のアレルギーの基礎知識

スギ花粉になりやすい人や患者数・患者数が増加している原因について説明します。スギ花粉の現状を知ることも大切です。

2-1.なりやすい人

スギ花粉のアレルギー症状を起こしやすい人は、不規則な生活習慣という共通点があります。不規則な生活習慣は免疫機能の働きが低下するため、アレルギー症状を引き起こすアレルゲンに勝てなくなるのです。また、現在の日本の食生活・住環境がアレルギーになりやすい体質をつくりだしているといわれています。肉などのたんぱく質を多く摂取するほど、異物への反応が過敏になり、スギ花粉によるアレルギー反応が起こるのです。また、気密性の高いマンションなどの住宅が増え、ダニ・ノミが大量発生→アレルゲンの発生原因となります。

2-2.患者数

日本国内で推定3,000万人以上、国民の4人に1人がスギ花粉症ではないかといわれています。実際に、第一三共株式会社が実施した耳鼻咽喉科医と患者さんのおよそ15,000人を対象とした全国調査結果を見てみましょう。スギ花粉症の患者さんは1998年でおよそ16.2%に対し、2008年では26.5%にまで増加していたのです。年々患者数は増え続けています。

2-3.患者数が多い理由

先ほども説明したとおり、スギ林の放置・食生活と住環境の変化が主な理由として挙げられます。また、心の変化がアレルギー反応を起こしている可能性もあるのです。ストレス社会といわれている現代、人間関係などの精神的負担が免疫機能を低下させていると確認されています。さまざまな原因が重なって患者数が増えている様子がわかるでしょう。

スギ花粉のアレルギー症状について

花粉症の種類は多種多様ですが、スギ花粉のアレルギー症状は一体どのようなものなのでしょうか。原因や発症時期についても説明します。

3-1.主な症状

くしゃみ・目のかゆみ・鼻水・涙目がスギ花粉の主な症状です。それらは一般的な花粉症の症状でもありますよね。花粉症は常に症状が起き続けているため、とてもツラい状態が続くのが特徴です。スギ花粉の飛散が収まらない限り、症状も続くでしょう。

3-2.アレルギー性鼻炎について

アレルギー性鼻炎は鼻づまり・連続するくしゃみ・透明のさらっとした鼻水が主な症状のアレルギー疾患です。原因は空気中に浮遊する花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因だといわれています。アレルゲンを吸いこむと、鼻の粘膜から体内に入り、アレルギー反応が起こるという仕組みです。アレルギー性鼻炎と花粉症は同じものだと勘違いしている方は多いですが、花粉症はアレルギー性鼻炎の一種となります。

3-3.原因

アレルギー性鼻炎とスギ花粉症のメカニズムは変わりません。どちらともアレルゲンによって引き起こされるアレルギー反応です。しかし、スギ花粉症のアレルゲンは花粉であり、ダニやハウスダストではありません。その違いをしっかり把握しておきましょう。また、花粉症はアレルギー性鼻炎とは違い、花粉の少ない屋内では症状がやわらぎます。

3-4.発症時期

スギ花粉症の発症時期は人によってバラバラです。人によって花粉による影響が起きる一定の水準を持っています。その水準を超えたときに花粉症としてのアレルギー反応が現れるのです。花粉にさらされる機会が多い人ほど、花粉症の発症時期が早くなるでしょう。

スギ花粉アレルギー性鼻炎とそのほかの鼻炎について

アレルギー性鼻炎の種類の1つであるスギ花粉アレルギーとほかの鼻炎について説明します。

4-1.鼻炎の種類

鼻炎はアレルギー性鼻炎・血管運動性鼻炎・萎縮性鼻炎・薬剤性鼻炎と4つの種類にわけられます。それぞれの特徴を以下にまとめたのでぜひチェックしてください。

  • アレルギー性鼻炎:花粉が原因の季節性アレルギー鼻炎とハウスダスト・ノミ・カビなどが原因の通年性アレルギー性鼻炎がある
  • 血管運動性鼻炎:特定のアレルギーが見つからない鼻の疾患。温度差や寝不足・精神的ストレスが原因として挙げられる
  • 萎縮性鼻炎:鼻の粘膜が薄く、硬くなることで起こる慢性鼻炎。鼻の中を潤す線毛が機能しなくなり、症状が悪化する
  • 薬剤性鼻炎:市販の点鼻薬など薬の過剰摂取によって起こる鼻の疾患。鼻の粘膜が腫れるため、鼻づまりが起こりやすい傾向がある

4-2.スギ花粉とそのほかの鼻炎との違い

ほかの鼻炎の特徴を見てわかるように、それぞれアレルギー反応を起こす原因が異なります。スギ花粉症は花粉が原因ですが、血管運動性は温度差・ストレス・生活習慣など、萎縮性鼻炎は鼻の粘膜の状態、薬剤性は薬の過剰摂取です。また、見られる症状も異なります。血管運動性は鼻水が止まらなくなり、萎縮性は症状が悪化するほど鼻が乾燥しやすくなるのです。薬剤性は炎症を起こすため、鼻づまりが悪化します。

4-3.スギ花粉以外のアレルゲンとは?

スギ花粉以外にもたくさんのアレルゲンが存在しています。室内でよく見られるアレルゲンは、ハウスダストです。ダニ・ノミの死がいやホコリなどがハウスダストとなり、人体に悪影響をおよぼします。愛犬・愛猫などのペットの毛やフケ、カビ、ゴキブリなどもアレルゲンの一種です。

スギ花粉アレルギーの影響とは

通常の生活が送れないほどにスギ花粉のアレルギー症状に悩まされている方は多いでしょう。症状を緩和するためにも、どんな影響をおよぼすのかチェックしてください。

5-1.日常生活への影響

スギ花粉によるアレルギー症状は1番に日常生活へ影響を与えます。たとえば、鼻水や鼻づまりは寝つきが悪くなる原因の1つです。夜中に息苦しさで目が覚め、睡眠不足になるでしょう。目のかゆみは集中力が保(たも)てず、イライラしやすくなります。また、鼻づまりによって口呼吸が増えると酸欠状態になり、判断力が低下してしまうのです。

5-2.放置するとどうなるか

アレルギー症状を放置すると症状が悪化するのは当たり前です。鼻づまりがひどくなり、常に鼻の粘膜が炎症を起こしている状態になるでしょう。その結果、治りにくくなります。症状がやわらぐまでに時間を要してしまうため、できるだけ早めに対策を立てなければなりません。

5-3.アレルギー性鼻炎から引き起こされるほかの病気

アレルギー性鼻炎が悪化すると、慢性鼻炎や難聴になる可能性が高まります。慢性鼻炎は鼻の粘膜が慢性的に赤く腫れている状態のことです。常に両側の鼻がつまっているため、鼻呼吸ができません。また、周囲の声をうまく聞き取れない難聴になる恐れもあります。

スギ花粉によるアレルギー性鼻炎の治療方法

スギ花粉によるアレルギー性鼻炎の診断方法・治療方法・薬の種類・手術が必要な症状について説明します。

6-1.診断方法

スギ花粉症の診断方法は、問診・検査が基本です。問診では医師が症状が出た時期やアレルギー歴・起きている症状について聞きます。できるだけ具体的な説明をしてください。そうすれば、ある程度原因が推測できるでしょう。検査では、皮膚の反応を調べる皮膚テストや血液検査・鼻鏡検査・鼻汁検査などをおこないます。問診と検査を踏まえたうえでスギ花粉症か判断されるでしょう。

6-2.治療方法

スギ花粉症の治療方法は、スギ花粉の除去・回避、薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法と4つが挙げられます。それぞれの特徴を以下にまとめてみました。

  • スギ花粉の除去・回避:外出時にマスクやメガネを着用する・洗濯ものを屋内に干すなどスギ花粉から徹底的に身を守り、家に持ち込む花粉を減らす方法
  • 薬物療法:アレルギー症状を抑えるアレルギー治療薬を使う方法
  • アレルゲン免疫療法:アレルゲンを少量ずつ患者さんに投与することでアレルゲンに慣らす方法。長期にわたって花粉症の症状を抑えることができる
  • 手術療法:レーザーを照射して粘膜を焼く手術方法が主流になっている

6-3.薬の種類

スギ花粉症の治療として使われる薬は多種多様です。主に、抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬・鼻噴霧用ステロイド薬・ケミカルメディエーター遊離抑制薬・点鼻用血管収縮薬があります。くしゃみや鼻汁が多い方には抗ヒスタミン薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬、鼻づまりの方には抗ロイコトリエン薬や点鼻用血管収縮薬を使うなど、症状によって薬の種類が変わるのです。

6-4.手術が必要な症状とは

手術が必要なのは、鼻づまりの症状がひどいケースです。鼻づまりは炎症を起こしている証拠となるため、粘膜を焼くことでアレルギー反応を起こしにくくします。症状が悪化している方は、手術すべきかどうか相談してみてください。

スギ花粉によるアレルギー性鼻炎対策をいくつか紹介

自分でできるスギ花粉のアレルギー性鼻炎対策があります。皆さんにおすすめの対策をいくつか紹介しましょう。

7-1.外出時は徹底的に身を守る

花粉シーズンに入るときは、外出する際に必ずマスクやメガネを着用してください。また、花粉がつきやすいウールなどの衣類は避けましょう。晴れた日や風が強い日は花粉が飛びやすくなっているため、できるだけ外出を控えたほうがいいですよ。目や鼻への侵入を徹底的に防止すれば、ある程度症状を抑えることができます。

7-2.規則正しい生活習慣を送る

睡眠を十分に確保する・喫煙や飲酒などの刺激物を控える・こまめに室内を掃除することもアレルギー性鼻炎対策の1つです。不規則な生活習慣がアレルギー症状の原因にもなるため、自分の生活を見直してみてください。不規則な生活を送っている方は、少しずつ改善していきましょう。

7-3.ストレスフリーの生活を心がける

ストレスは精神面だけでなく、身体面にも悪影響をおよぼします。免疫機能の低下と関係していることがわかっているため、できる限りストレスフリーの生活を心がけてください。もし、ストレスをためこんでしまったときは自分がリラックスできることをしましょう。大好きな音楽を聴く・アロマオイルを焚(た)く・読書をするなどどんなことでも構いません。リラックスできる環境をつくりましょう。

スギ花粉にかんしてよくある質問

スギ花粉にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。

8-1.遺伝でアレルギー症状は起こるのか?

アレルギー体質は遺伝の影響を受けるといわれています。親が花粉症になっていると子どもも症状が起きやすくなるのです。しかし、いつやってくるのかはわかりません。中には花粉症にならない子どももいます。

8-2.花粉症を悪化させるNG習慣とは?

3月~4月は謝恩会や歓迎会などお酒を飲む機会が増えるでしょう。しかし、アルコールを過剰摂取することで血管が拡張します。鼻づまりや目の充血などアレルギー症状を悪化させる原因です。飲みすぎないように注意してくださいね。

8-3.花粉カレンダーとは?

代表的な花粉の飛散時期が記載されているのが花粉カレンダーです。花粉飛散時期を把握しておけば、症状が起きる前に対策を立てることができます。協和発酵キリンのホームページに載っているのでぜひチェックしてみてください。

8-4.花粉の量で症状は違うのか?

花粉の量が多くなればなるほど症状が悪化するといわれています。ただし、花粉症の症状の強さは人によってバラバラです。花粉の影響を受けやすいアレルギー体質も存在しているため、花粉の量だけが関係しているとはいえません。

8-5.市販薬は副作用があるのか?

ドラッグストアなどで販売されている市販薬はおすすめしません。なぜなら、病院で処方されるよりも効きにくく、眠くなる・のどが渇くなどという副作用が起きる可能性があります。市販薬を使うよりも、きちんと病院で検査をしてもらい、自分の症状に合った薬を使いましょう。

まとめ

いかがでしたか? スギ花粉症は3月~5月にかけてやってくるアレルギー性鼻炎の一種です。鼻づまり・くしゃみ・鼻水・目のかゆみという症状がひどくなります。症状が悪化する前に治療を始めましょう。早期治療は症状をやわらげる大切なポイントです。人によって症状や体質が異なるため、病院できちんと検査してもらい、アレルギー症状の原因を把握してください。原因がわかれば適切な治療を受けることができます。スギ花粉症で悩まされない生活を送るためにも、基礎知識を身につけることが大切ですよ。