歯茎の痛みはなぜ起きるの? 原因と対処法・治療法について徹底解析

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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歯茎(はぐき)に痛みを感じた場合、何かしらの原因で炎症を起こしている可能性があります。そのまま放置していると、歯周病が悪化したり抜歯(ばっし)が必要になったりする可能性もあるのです。歯茎の痛みは、放置してはいけません。では、どうやって対処すればよいのでしょうか。本記事では、歯茎が痛む原因から応急処置・対処法・治療法について説明します。

  1. 歯茎の痛みについて
  2. 歯茎の痛み~応急処置・対処法
  3. 歯茎の痛み~治療法について
  4. 歯茎の痛みに関してよくある質問

この記事を読むことで、歯茎が痛むときの対処法と治療法が分かります。悩んでいる方は、ぜひチェックしてください。

01. 歯茎の痛みについて

歯茎がどんなときに痛むのか状態を自分でチェックした上で、考えられる原因を挙げていきましょう。

1-1.どんなときに痛むか

食べもの・飲みものを口に入れた瞬間に痛みを感じる方が多いのではないでしょうか。多くの方は、急な痛みを感じるようになります。一時的なものではなく、ズキズキとした痛みが止まらないというケースもあるので注意が必要です。また、歯磨きをするときにある部分だけが痛む・にぶい痛みが長く続くという方もいます。自分がどんなときに痛みを感じるのか、チェックしてください。

1-2.主な原因

歯茎が痛む原因は、人によってさまざまです。どのような原因があるのか、チェックしていきましょう。

1-2-1.ストレス・免疫力の低下など

ストレスなどの精神面・体の疲労が免疫力低下につながり、歯茎の痛みに至ることがあります。ストレスや不規則な生活習慣により、歯茎が腫(は)れ、痛みを感じる人が増えているのです。また、免疫力が低下し抵抗力が低くなったときは、歯がグラグラと感じることもあります。「歯が浮く」感覚になり、歯茎が赤く腫れあがるのです。この場合は、心身ともに十分な休息が必要となります。

1-2-2.口内炎

歯茎を含む歯の根元に、口内炎ができるときがあります。歯の根元にできやすい口内炎には、「アフタ性口内炎」と「ウイルス性口内炎」の2種類です。アフタ性口内炎は中央部が浅くくぼんだ白っぽいもの、ウイルス性口内炎は皮膚にできた水疱(すいほう)が破れて潰瘍(かいよう)になった状態を指しています。どちらとも、口腔環境が悪く、細菌が増加している証拠です。

1-2-3.親知らず

親知らずは、1番奥に生える歯です。生えるスペースが狭く、横に生えてしまうこともあります。そのため、歯ブラシをきちんと当てて磨くことができず、虫歯・歯周病になりやすくなるのです。その結果、痛みを引き起こしてしまいます。奥の歯茎に痛みを感じる場合は、親知らずの可能性が高いでしょう。

1-2-4.歯肉炎・歯周病

歯茎の痛みでよくある原因が、歯肉炎と歯周病です。歯肉炎とは、歯茎に炎症が起きている状態のことで、歯周病の初期段階となります。歯茎が腫れる・出血するなどが主な症状です。歯周病が進行し、歯周ポケット(歯と歯肉の境目)が深くなると歯槽骨(しそうこつ)が溶けることがあります。歯槽骨が溶け始めると激しい痛みを感じるようになるでしょう。

1-2-5.食片圧入(しょくへんあつにゅう)

歯と歯の間に痛みを感じた場合は、食片圧入の可能性が高いでしょう。食片圧入とは、食べものが歯と歯の間に挟まることです。「取りのぞけばいい」と考えがちですが、放置するとさまざまな悪影響が現れます。たとえば、虫歯・歯周病に発展する・さらに食べものが挟まりやすくなることです。どんどん悪循環に陥ってしまうため、注意しておかなければなりません。また、食片圧入は、歯並びの悪さが原因で起こるケースがあります。

1-2-6.根尖病巣(こんせんびょうそう)

歯の根の先にできる膿(うみ)の袋を「根尖病巣」といいます。歯の神経が死んでしまうと細菌が増え、根の先から毒素を出し骨が溶かされるのです。その結果、根の先に膿がたまった袋ができます。根尖病巣は自覚症状がなく、いつの間にかできていることが多い点が特徴です。しかし、噛むと痛みを感じる・急に歯茎が腫れる・歯がグラグラするなどの症状が現れることもあるので、注意して確認しなければなりません。

1-2-7.インプラント・ブリッジによる痛み

歯を抜いた後、ブリッジ・インプラント・部分入れ歯などの詰めものを行います。実は、この詰めものが原因で歯茎に痛みを感じることもあるのです。治療をした後でも、残っている歯の根の部分が炎症することで歯茎が腫れて痛みを感じます。インプラント・ブリッジの部分が痛む場合は、治療を受けた歯医者で再び検査してもらったほうがよいでしょう。

1-2-8.そのほか

ほかの原因としては、知覚過敏・噛み合わせの悪さがあります。知覚過敏は歯周病によって引き起こされることが多く、歯茎が敏感になっている状態です。口にものを含んだ瞬間、激しい痛みを感じるようになるでしょう。また、噛み合わせが悪い場合も歯に負担がかかり、歯茎が炎症を起こすおそれがあります。

1-3.放置するとどうなるか

歯茎の痛みを放置すると、どんどん症状が悪化して常に激しい痛みを感じるようになるでしょう。日常生活でも痛みを感じるため、仕事や家事に支障をきたすことになります。また、歯の土台となる歯槽骨が溶け始めると、歯がグラグラしたり、歯磨きをするたびに出血したりするでしょう。最悪な状態になれば、歯を抜かなければならなくなります。治療が遅くなるほど方法も限られてくるので、早めの処置が大切です。

02. 歯茎の痛み~応急処置・対処法

歯茎の痛みを感じた場合、自分でできる応急処置と対処法があります。ただし、方法を誤ると逆効果になるので注意しなければなりません。正しく処置するためにも、知識をきちんと身につけておきましょう。

2-1.鎮痛剤

「痛みを何とかしたいけど歯医者が開いていない」、そんなときは市販薬の鎮痛剤を使用してください。痛みを我慢し続けると、ストレスがかかりさらに痛みが増してしまいます。ここは我慢せずに、鎮痛剤を利用したほうが痛みを抑えることができるでしょう。ただし、鎮痛剤はあくまで一時的な処置のため、早めに歯医者を受診してください。

2-2.食事

歯茎の痛みを感じているときの食事は注意が必要です。甘いもの・辛(から)いもの・冷たいものは歯茎を刺激するため、できるだけ摂(と)らないようにしてください。歯茎が痛むときは、おかゆ・雑炊・リゾット・うどんなどやわらかい食べものがおすすめです。豆腐・茶碗蒸し・ゼリー飲料・ひき肉・白身魚もよいでしょう。また、栄養バランスが整った食事を摂ることで、免疫力が向上し口腔環境の改善につながります。

2-3.子ども・妊婦の場合

子どもと妊娠中の方は、免疫力が低下しがちで過敏になる傾向があります。できれば、早めの受診をおすすめしますが、歯茎の痛みは細菌が原因になっていることもあるので、まずは口の中を清潔にしてください。歯茎を傷つけないやわらかい歯ブラシで、やさしく磨いていきましょう。歯磨きを嫌がる子どもの場合は、洗口液を利用するのも選択肢の1つです。殺菌作用が強く、刺激が少ない洗口液を利用してくださいね。

2-4.注意点

毎日の生活が乱れている場合、応急処置をしても生活を改善しない限り痛みは治まりません。不規則な日常生活を送っている方は、規則正しい生活習慣に改善する努力をしてください。十分な睡眠の確保・栄養バランスのよい食事を心がけることで、体が休まり歯茎の痛みがよくなる可能性があります。また、アルコールの過剰摂取と喫煙はNGです。

03. 歯茎の痛み~治療法について

痛みを解消するためには、歯医者での治療が必要です。安心して治療を受けるためにも、症状の経過を具体的に伝えてください。

3-1.病院に行ったほうがいい場合

  • 1週間以上痛みが続いている
  • 激しい痛みが頻繁に起きる
  • 歯茎が腫れている
  • 歯磨きをすると出血する

以上の症状に当てはまる方は、すぐに病院へ行ったほうがよいでしょう。これらの症状に当てはまらなくても、歯茎に痛みを感じる場合は受診をおすすめします。

3-2.治療法について

治療法は原因によって異なります。たとえば、歯周病の場合、初期症状であれば正しい歯磨きで改善できるでしょう。ただし、症状が進行している場合は歯垢(しこう)の除去や歯の神経を取りのぞく根管(こんかん)治療が行われることになります。
根尖病巣の場合は、歯の根元まで穴を開けて道をつくり、細菌を取りのぞく治療法となるでしょう。キレイにするまで治療が必要なので、何度か通院することになります。

3-3.処方薬

歯茎が腫れて痛みが出ているときは、抗生剤を処方されるでしょう。抗生剤は、細菌を殺菌して炎症を鎮める効果があります。歯茎の腫れを抑えることができるため、痛みも自然と治まるはずです。ただし、抗生剤は症状を一時的に鎮めるだけなので、根本的な痛みの原因を取りのぞかなければなりません。そのためには、歯医者での専門的な治療が必要です。

3-4.注意点

治療を受ける前に、何が原因で痛みが出ているのか理由をきちんと聞くことが大切です。そして、その原因に適した治療法を受けなければなりません。「治療を受けたけどさらにひどくなった」「きちんと治療してもらえなかった」など、歯医者との間でトラブルにならないためにも、事前に確認しておきましょう。

04. 歯茎の痛みに関してよくある質問

歯茎の痛みに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.歯肉炎・歯周病は治るのか?
A.きちんと歯医者で治療を受けて、自宅でケアを行えば治ります。歯肉炎の場合は歯周病の初期段階なので、セルフケアで治ることがほとんどです。しかし、歯周病の場合は進行しているほど治療に時間がかかります。治療に時間がかかれば、費用も高くなるのです。痛みを防ぐためにも、早めの対処が必要でしょう。

Q.歯茎の痛みを防ぐポイントとは?
A.基本的なことですが、歯磨きなど毎日のケアと歯医者での定期検診が大切なポイントです。きちんと正しい歯磨きを毎日続けること、そして歯医者でのクリーニングを行えば、歯茎の腫れ・痛み・虫歯を防ぐことができます。正しい歯磨きの仕方が分からない方は、歯医者で教えてもらいましょう。

Q.根尖病巣ができやすい人とは?
A.根尖病巣ができやすいのは、過去、治療を行ったことがある人です。また、神経を抜いた歯の内部に虫歯が再発して、炎症が起きることもあります、やっかいなのが神経がないので、虫歯の症状である痛みに気づきにくいことです。そのため、知らないうちに根尖病巣になっていた……というケースもあります。

Q.外傷と歯茎の痛みは関係あるのか?
A.外傷による歯の破損で、歯茎が腫れ痛みを感じることがあります。たとえば、ボールが当たった・転倒したなどのケースです。また、神経の処置を行ってもろい状態になっている・被せものの下に金属の土台を入れている場合も、歯の破損する原因の1つとなります。

Q.歯医者の選び方が知りたい
A.まずは、丁寧な対応か、治療内容についてきちんと説明してくれるか、治療の実績があるかの3点に注目してください。治療を始める前に検査を行い、状態・原因について説明してくれる歯医者は信用できます。

05. まとめ

いかがでしたか? 歯茎の痛みは、虫歯・歯周病などの危険信号です。放置するほど状態が悪化して、さらに痛みがひどくなるでしょう。最終的に、抜歯しなければならないという最悪なケースに陥る可能性もあります。自分の歯を守るためには、痛みを感じたらすぐに歯医者へ行くことが1番です。そして、根本的な原因を突き止めて適切な治療を受けてください。また、きちんと治療を受けながら、自宅でのケアも行うことが大切です。