不妊の悩みを解消する! 不妊症の原因と治療法を詳しく解説!

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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健康な男女が結婚すれば自分たちの子どもをほしいと考えるのは、ごく自然なことです。しかし、「子どもを希望しているのになかなか妊娠しない」「妊娠しないのは自分に原因があるのだろうか」など、不妊症で悩んでいる人も多くいます。不妊症を解消するためには、原因を正しく知り、適切な対処・治療を受けるべきです。そこで、今回は、不妊で悩んでいる人のために、原因と治療法を詳しく解説します。

この記事を読むことで、不妊症の原因や対策・治療法などを詳しく知り、悩みを解消するために何をするべきか理解できます。まずは、じっくり記事を読んでみてください。早く子どもを授かるためにも、必見です。

01. 不妊症とは

最初に、不妊症に関する基本として、定義や最近の傾向を解説します。

1-1.不妊症の定義

不妊症とは、妊娠可能年齢にある男女が一定期間(1年程度)、継続した性行為をしても妊娠に至らない状態を呼びます。避妊をしている期間は含みません。

1-2.不妊症に関する最近の傾向

不妊症に悩んでいる人は、年々増加の傾向にあります。背景には、女性の晩婚化が影響していると考えてください。女性が結婚する年齢が遅くなれば、妊娠する時期としてはいわゆる「高齢出産」となる確率が高くなります。自然妊娠率は高齢になるほど下がるため、不妊症で悩む人が増えるのも当然なのです。

02. 不妊症の原因:女性の場合

不妊症の原因で、女性の場合について詳しく解説します。

2-1.年齢によるもの

女性には、妊娠にタイムリミットがあります。加齢によって不妊症になりやすいのは、下記の状態が起こるからです。

  • 卵子の老化
  • 正常な卵子の減少

妊娠を希望する場合は、母体の年齢が若いほど有利になることは否定できません。

2-2.卵管障害

卵管障害とは、卵管に腫れや炎症・癒着などが起きていることで卵子が精子と出会いにくく、結果的に不妊症になっている状態です。軽度の場合は、カテーテルをとおして検査する段階で自然に改善することもありますが、重度の場合は手術が必要となります。

2-3.排卵障害など

排卵障害とは、卵巣機能の低下により正常な排卵が行われない状態です。多くの場合で、無月経や無排卵月経を見ることができます。また、性ホルモンの一種であるプロラクチンの分泌異常によって、無排卵状態になることもあるでしょう。さらに、多嚢包(のうほう)性卵巣で卵巣を覆う被膜が厚いことで、排卵障害が起きている場合もあります。

2-4.子宮の問題

子宮は、受精卵が着床して妊娠するために欠かすことができない臓器です。しかし、何らかの原因により子宮に問題があるときは、不妊症になりやすくなります。子宮の問題で不妊症になっている場合、以下のような原因を考えてみましょう。

  • 黄体機能不全
  • 子宮内膜の炎症や癒着
  • 子宮筋腫やポリープの存在
  • 子宮奇形

2-5.女性の不妊症でそのほかの原因

そのほかにも、女性の不妊症になる原因としては、男性の精子を異物として拒絶する「抗精子抗体」を持つことを挙げることができます。また、ストレスも大きく影響している可能性もあるでしょう。不妊症は、女性に大きなストレスを与えます。できるだけ思い詰めず、適度にストレスを発散するようにしてください。

03. 不妊症の原因:男性の場合

不妊症の原因で、男性の場合について詳しく解説します。

3-1.造精機能障害

造精機能障害とは、男性の精巣で精子を作る機能に何らかの異常がある状態です。造精機能障害には、無精子症・乏精子症・精子無力症・精子奇形症の4つがあります。それぞれの詳細については、下記をご覧ください。

  • 無精子症:精子を作ることがまったくできない(精液中に精子が存在しない)
  • 乏精子症:精液中の精子の数が極端に少ない
  • 精子無力症:精子の数は正常だが、精子の動きが悪い
  • 精子奇形症:精子に奇形が多くあるため、受精しにくい

3-2.精路通過障害

精路通過障害とは、精子は正常に作ることができているのに、何らかの理由で精液に混じることができない状態をいいます。たとえば、精子の通り道である精管が炎症や詰まりを起こしていることが主な原因です。また、尿道炎や外傷、射精管閉塞症なども精路通過障害の原因となります。

3-3.副性器機能障害

精巣以外(副こう丸・精管・精のう・前立腺・尿道腺・陰茎のいずれかの部分)に機能障害が起きていることで、不妊症になっている状態です。主な原因としては、細菌の感染による炎症などにより、いずれかの部分で精液が通過しにくくなっていることが考えられます。

3-4.性機能障害

男性の性機能障害には、性交障害・射精障害・逆行性射精の3つがあります。それぞれについては、以下を参考にしてください。

  • 性交障害:男性のペニスが勃起できない状態で、EDと呼ばれることもある
  • 射精障害:女性の膣(ちつ)内での射精ができない
  • 逆行性射精:射精が正常に行われず、精液が尿道から膀胱(ぼうこう)に逆行する

3-5.男性の不妊でそのほかの原因

そのほか、検査の結果で異常を見ることができない場合でも、大きなストレスを抱えていることが不妊の原因になっていることがあります。また、受精障害と呼ばれる、精子が卵子にたどり着くことができても受精に至らないケースも原因として考えられるでしょう。なお、受精障害の場合は、顕微鏡受精などの治療で妊娠の可能性を探ることができます。

04. 不妊症の原因をもっと詳しく

不妊症の原因についてもっと詳しく学びましょう。男女の不妊の割合や、原因がはっきりしない場合・不妊症になりやすい人の特徴などを解説します。

4-1.不妊症の原因の割合について

不妊症の原因は、長らく女性が圧倒的に多いと考えられていた時代がありました。しかし、不妊症検査の技術が向上した結果、現在では41%が女性側・24%が女性と男性の両方・24%が男性側・残りの11%が原因不明となっています。数字では女性が多くなっているものの、男性の不妊率にも注目すべきであるといえるでしょう。不妊症は、夫婦2人の問題なのです。

4-2.不妊症の原因がはっきりしない場合

実は、どんな検査をしても不妊症の原因がはっきりしない場合もあります。男女ともに生殖機能などに問題なく、性行為も正常に行っているのにもかかわらず妊娠に至らないケースです。タイミングが悪い・たまたま妊娠しなかったなどもあるでしょう。しかし、原因がはっきりしないのでは的確な治療を受けるのも困難です。しかし、あきらめる必要はありません。体質改善などで体調を整え、現在よりも妊娠しやすい状態に整えることも可能です。

4-3.不妊症になりやすい人の特徴

不妊症になりやすい人には、下記の特徴が当てはまるものです。自分でもチェックしてみて、該当する場合は積極的に改善してください。

  • 基礎体温が一定のリズムになっていない:排卵日が分からない・低温期と高温期の区別をしにくいなど
  • 生活習慣が乱れている:不規則な生活をしている・栄養が偏った食事(極端なダイエットを含む)・睡眠不足・運動不足など
  • ストレスが溜(た)まっている:職場もしくは家庭で大きなストレスを抱えている
  • 飲酒・喫煙の習慣がある

05. 不妊症の検査について

不妊症の検査について、男女別に解説します。検査を受けるときの注意点についても理解しておきましょう。

5-1.不妊症検査の方法を男女別に解説

不妊症検査について男女別にどんな方法で行われるのか理解しておきましょう。

5-1-1.女性の不妊症検査の方法

女性に不妊症の疑いがある場合は、以下の方法と流れで検査を進めます。

  • 医師による問診で受診理由・生活習慣・性生活の状況・既往症などの確認
  • 触診による子宮や卵巣の状態の確認
  • 超音波検査による子宮や卵巣の状態の確認
  • 血液検査によるホルモン数値や感染症の有無の確認

5-1-2.男性の不妊症検査の方法

男性の不妊症検査の方法と流れは、以下を参考にしてください。

  • 医師による問診で受診理由・生活習慣・性生活の状況・既往症などの確認
  • 精液検査による精子の量・状態の確認
  • 泌尿器科的検査によるこう丸や外陰部の診察・勃起の状態や既往歴を含めた確認
  • 血液検査によるホルモン数値や感染症の有無の確認

5-2.不妊症検査に関する注意点

不妊症検査は、男女そろって行うことが大切です。不妊の原因がどちらにあるか分かるだけでなく、適切な治療を受けるためにも必要不可欠と考えましょう。自分には不妊の原因はない、と言い張る人もいます。しかし、実際に不妊で悩んでいて、子どもを持つことを希望するのなら、原因を正確に突き止めることが必要です。適切な治療は、適切な検査があってこそだということを忘れないようにしましょう。また、不摂生の後の検査は数値が異常に悪く出ることがあるので気をつけてください。

06. 不妊症治療について

不妊症治療について解説します。実際に受けるタイミングや一般的な治療のほか、漢方による治療と体質改善も参考にしてください。

6-1.不妊症を治療するタイミングについて

不妊症の定義は、1年程度避妊なしに性行為をして妊娠しない状態です。そのため、妊娠を希望してから1年経過した時点で治療を開始することをおすすめします。いつか妊娠できるだろうと考えているうちに、より妊娠が難しい年齢・状況になってしまう可能性もあるのです。できるだけ早めに医師に相談しましょう。

6-2.一般的な不妊症の治療について

一般的な不妊症の治療としては、以下をご覧ください。まずは、タイミング法を行い、次に薬物療法・不妊手術と進む場合が多くなります。

  • タイミング法:女性の排卵日に性交をする
  • 薬物療法:排卵誘発剤の使用により排卵を促す
  • 不妊手術:子宮筋腫の切除・卵管癒着の剝離(はくり)・精路通過障害の解消などの手術

6-3.漢方による体質改善について

不妊症で悩んでいる人には、漢方による体質改善をおすすめします。まずは、信頼できる漢方薬局に出向き、不妊の悩みを相談してみましょう。できれば、夫婦そろって相談してください。漢方では、ひとりずつ体質や症状に合った生薬を配合し、妊娠しやすい体作りのサポートを行うことができます。漢方は体に負担が少ない方法ですが、効果の出方が穏やかなため、数か月以上は飲み続けてください。

6-4.不妊症治療に関する注意点

不妊症治療は、いつ終わるか分かりません。治療を続けていれば必ず妊娠するとも限らないのです。そのため、途中で挫折したりあきらめたりする人も多くいます。しかし、妊娠の可能性がある限り、さまざまな方法を試してみてください。不妊治療の技術はどんどん進化しています。また、漢方などでの体質改善と併用することも、妊娠への希望を高めることになるでしょう。もちろん、いつまで治療を受けるかについては、夫婦の問題です。しかし、子どもを持ちたいという希望があるうちは、あきらめないことが肝心といえます。

07. 不妊の悩みに関するよくある質問

最後に、不妊の悩みに関するよくある質問に回答します。ほかの人が抱えている悩みの内容にも目をとおしておきましょう。

7-1.最初の子どもを出産後、なかなか妊娠しない場合も不妊症なのでしょうか?

いわゆる「2人目不妊」で悩んでいる人もいます。初めての子どもを妊娠・出産したときは特に問題がなくスムーズだったものが、次の子どもをなかなか妊娠できない状態です。原因は、人によってさまざまなため、医師に相談してください。以前の出産で、卵管や子宮などに何らかの障害が起きている可能性もあります。早めに受診をし、適切な治療を開始して悩みを解消しましょう。

7-2.不妊症は遺伝しますか?

不妊症自体は、遺伝しません。しかし、親子で似たような体質や生活習慣を送っているなどの影響はあるものです。まずは、親が不妊で悩んだことがあるか聞いてみるといいでしょう。実際にどんな対策をしたのかなど、詳しい話を聞くことができます。いずれにしても、現状をきちんと把握して治療に取り組むことが大切です。

7-3.不妊症の治療は健康保険が使えるのでしょうか?

不妊症は、妊娠できない状態を呼びますが病気ではありません。そのため、人工授精や体外受精など、実際に妊娠を実現するための治療には健康保険を適用することができないのです。しかし、不妊症の原因として、卵巣や子宮・精巣などの病気の治療を行う場合は、健康保険は適用できます。ただし、どんな治療が健康保険適用となり、適用外となるのかは医療機関の判断にもよるのです。詳しくは、受診先に確認してください。

7-4.不妊治療をやめるタイミングは?

不妊治療は、無事に妊娠・出産できたときがゴールです。しかし、必ずしも治療の結果希望がかなうとは限りません。また、女性には妊娠・出産のタイムリミットがあるのも事実です。もしも、どんな治療を受けても効果を感じないときは、夫婦2人でよく話をしてください。不妊治療は、金銭的な負担も大きいものです。今後も継続するかどうかについては、慎重に決めましょう。あきらめるタイミングにかんしても、夫婦2人で結論を出してください。

7-5.完全にセックスレスの状態ですが子どもを持つことはできますか?

性行為がなくても、受精および妊娠は可能です。セックスレスの状態でも子どもを持つ夢をあきらめることはありません。たとえば、体外受精などの方法なら、セックスレスの夫婦であっても子どもを持つこともできるでしょう。ただし、夫婦2人とも生殖機能などに問題がないことが前提です。まずは、医師によく相談してみてください。

08. まとめ

今回は、不妊の悩みにかんして、対策や治療法などについて詳しく解説しました。愛する人との子どもを持ちたいと希望する人にとって、不妊症はとてもつらい状態です。少しでも早く悩みを解消するためには、原因をきちんと知り、適切な治療を受けてください。まずは、医師に相談し、検査を受けてみましょう。不妊の原因は、女性だけにあるとは限りません。男性もきちんと検査を受け、問題があるときは治療を受けることが大切です。なお、原因がよく分からない不妊にかんしては漢方で体質改善をし、妊娠しやすい体作りをすることもできます。子どもを持つことをやめる前に、さまざまな方法を試してみてください。