膝痛を予防する効果のあるストレッチ

膝痛を予防する効果のあるストレッチとは? おすすめを紹介します。

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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膝は、人体の関節の中で最もよく動かす場所の一つです。膝関節が動かなくなれば、歩く・立つ・座るなどといった動作もできなくなります。また、よく動かす関節だからこそ、膝関節は故障も多い場所です。高齢になるほど、膝の痛みを感じたり膝の疾患を抱えたりする人は増える傾向にあります。

そこで、今回は膝の痛みや疾患の予防効果が期待できるストレッチをご紹介しましょう。

この記事を読めば、膝関節に負担をかけない方法や膝の痛みを予防する方法も分かります。膝の痛みや違和感に悩んでいるという方は、ぜひ読んでみてくださいね。

膝関節に関する基礎知識

膝関節は、太ももの骨である大腿骨・すねの骨である脛骨・半月板、骨をつなぐ関節包(かんせつほう)・関節膜・関節軟骨などで構成されています。立つ・歩く・座るといった動作は、膝関節の柔軟な動きによってスムーズに行うことが可能です。

膝関節の組織が何らかの原因で破損したり、年を取って摩耗や硬化が起こったりすると、膝痛が出るでしょう。老化による関節の劣化は避けることができません。しかし、破損を予防して劣化を最小限にとどめることはできます。その方法の一つが、ストレッチなのです。

ストレッチと膝関節

ストレッチは筋肉を引っ張ったり伸ばしたりすることにより、筋肉の柔軟性を高め、可動域を広げる効果が期待できる運動です。運動の前後に筋肉をほぐすため、ストレッチを行っている方も多いことでしょう。

膝関節の周辺には、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)・ハムストリングス・腓腹筋(ひふくきん)・縫工筋(ほうこうきん)という4つの大きな筋肉があります。これらの筋肉が柔軟に広い可動域で動くことができれば、膝関節の負担も減るでしょう。逆に、これらの筋肉が硬くなってしまうと膝関節の可動域まで狭まり、膝の違和感や運動後の痛みの原因となることもあります。

ストレッチを行い続けることで、筋肉の柔軟性を高め可動域を広くしていれば、膝痛や膝の違和感といった不調を予防することも可能です。また、筋肉の柔軟性を高めておけば、年をとっても運動能力が落ちにくいでしょう。
ストレッチはウォーキングやジョギングなどとは異なり、家の中でも行えますし体への負担も軽い運動です。ケガの回復期や高齢者でも行えるストレッチもたくさんあります。

膝に効果的なストレッチと注意点

この項では、膝関節や膝周りの筋肉に効果的なストレッチや、ストレッチを上手に行うコツなどをご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

3-1.ストレッチの種類

ストレッチには、筋肉の柔軟性を向上させて体温を上げる動的ストレッチと、筋肉や関節の可動域を広くし、筋肉内の老廃物を排出する効果が期待できる静的ストレッチがあります。動的ストレッチは、反動を利用して行い、血行を良くして交感神経を活発にするため、運動前に行うとケガの予防にもなるでしょう。静的ストレッチは、反動を利用せずに行い、リラックス効果も期待できるため、運動後や就寝前におすすめです。

動的ストレッチは、関節や筋肉をいろいろな方向へ動かします。ですから、心身共に健康で運動が問題なく行える方向けのストレッチです。準備運動にも最適ですので、ウォーキングやジョギングなどを行う前に行ってみてください。特に、寒い日は筋肉も固くなりがちです。ストレッチを行えば前述したように筋肉内の血行がよくなって柔軟性も高まり、可動域がより広くなります。

静的ストレッチは筋肉や関節を一方方向にだけ動かし、負荷もほとんどかかりません。ですから、使用した筋肉をクールダウンさせる効果が期待でき、筋肉の損傷を回復する効果もあります。また、筋肉を緩めますから、前述したようにリラクゼーション効果も期待できるでしょう。運動後に行ったり就寝前に行ったりするのがおすすめです。

3-2.ストレッチを行うのにおすすめの時間とは?

動的ストレッチは、ジョギングやウォーキングなどを行うまでの準備運動として行いましょう。また、寒いときに体を温めたいときもおすすめです。
静的ストレッチは、就寝前や入浴後などに行うとよいでしょう。特に、入浴後は筋肉があたたまって柔らかくなっていますので、ストレッチも行いやすいのです。

3-3.ストレッチを行う際の注意点

立ったり座ったりするだけで膝が痛む方は、ストレッチを行ってはいけません。まずは整形外科を受診し、痛みの原因をつきとめましょう。また、ケガなどで治療中の方も、医師の許可を得てからストレッチを行ってください。自己判断でストレッチを行うと、ケガが悪化する可能性があります。

また、ストレッチを行う際、痛みを感じ続けるまで無理に筋肉を伸ばしてはいけません。これをオーバーストレッチといいます。オーバーストレッチを行い続けると、かえって筋肉は損傷してしまうのです。動的ストレッチは反動を利用して行い、静的ストレッチは痛みを感じない程度まで筋肉を伸ばしましょう。

3-4.おすすめの動的ストレッチ

  1. 片膝を曲げ、もう片方の足を後ろにまっすぐ伸ばしてアキレス腱を伸ばしながら、踵を地面につけたり離したりする。1秒に1回くらいの速さがおすすめ
  2. 歩きながら片足を大きく振り上げ、振り上げた足と反対側の手でつま先をつかむ。背中をまっすぐに伸ばしながら行い、つま先をつかめないからといって、背中を丸めてはいけない。反動を利用してもよい
  3. ゆっくりと走りながらお尻に両手をつけ、かかとを手のひらにタッチするように足を大きく曲げる。走りながら交互にかかとを手のひらにタッチし続けること

1番のストレッチはアキレス腱と共に、腓腹筋や大腿四頭筋を伸ばす効果があります。2番はハムストリング、3番は大腿四頭筋を伸ばす効果があるストレッチです。これらのストレッチは足を大きく動かすので、膝の屈伸などの準備運動をストレッチ前に行いましょう。

3-5.おすすめの静的ストレッチ

  1. 足を伸ばして開脚した状態で座り、片方の膝を曲げる。伸ばした方の足の方向へ上体を背筋を伸ばしたまま傾けて行く。これ以上倒せない場所まで上体を倒し、そのまま5~10秒止める。これを5~10回くり返して、足を入れ替えてもう一度行う
  2. 仰向けに寝て、片方の膝を足で抱えてできるだけ胸へひきつける。そのままの姿勢で5秒間静止し、元に戻す。これを5~10回くり返し、もう片方の膝も行う
  3. いすを2つ用意し、向かい合わせに置く。片方のいすに座り、もう片方のいすへどちらか一方の足を伸ばして踵を乗せる。両手でいすをしっかりとつかみ上体をまっすぐに倒す。5~10回行ったら足を変える

1~3のストレッチはどれも座ったり寝たりしてできるものです。反動をつけずにゆっくりと体を動かして行いましょう。痛みがあるなら無理をしてはいけません。

膝のストレッチに関するよくある質問

Q.ストレッチは準備運動になりますか?
A.動的ストレッチは準備運動にもなるでしょう。ただし、動的ストレッチは足の筋肉や膝の関節を大きく動かすものもあります。気温が低くて筋肉が固くなっていたり、運動を久々に行ったりする場合は膝の屈伸運動などを行って体を慣らしてから動的ストレッチを行いましょう。

Q.ストレッチは何分ぐらい行えばよいでしょうか?
A.それぞれのペースで行えばよいのです。高齢者の場合は、30分ほどかけて1つのストレッチを行うとよいでしょう。

Q.ラジオ体操はストレッチにもなりますか?
A.ラジオ体操は動的ストレッチの一種ですので、準備運動には最適です。

Q.ストレッチを行うと痛みを感じます。
A.筋肉が引っ張られると痛みを感じることもありますので、ストレッチをやめれば痛みが消える場合は問題ありません。ただし、ストレッチの最中に激しい痛みを感じ、それが消えない場合は整形外科を受診してください。

Q.ストレッチを行う場合は、痛みを感じるくらい筋肉を伸ばすのがよいのでしょうか?
A.筋肉に痛みを感じ続けるまでストレッチを行うと、筋肉は損傷してしまいます。これをオーバーストレッチといい、ケガの原因となるので注意しましょう。痛みを感じない程度に筋肉を伸ばしてください。

おわりに

いかがでしたか? 今回は膝痛を予防するためのストレッチをご紹介しました。膝の周囲にある筋肉が柔軟に動けば、膝の関節の負担も減るでしょう。静的ストレッチでも筋肉を柔らかくする効果は期待できます。毎日続けていれば、膝が柔らかくなり動きやすくなったと感じることもあるでしょう。運動をする方は、運動前と運動後はストレッチを行い、筋肉をほぐすとケガ予防にもなります。