低血糖を改善したい! 主な症状や原因・治療法などについて徹底解析

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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低血糖は、糖尿病患者に多い症状です。健康体の場合、空腹時は80~110未満・ピーク時(食後45~60分)は140mg/dl以上になることはありません。しかし、低血糖の方は、血糖値が60mg/dl以下と低い数値を示します。低血糖は体からの危険信号として、手足の震えや動悸(どうき)などが現れるのです。放置すれば、意識障害や昏睡(こんすい)状態に陥る危険があるため、早めに対処しなければなりません。本記事では、低血糖の基礎知識や症状・原因・セルフチェック・対処法・治療について説明します。

この記事を読むことで、低血糖に関する知識を身につけ、正しい方法で対処することができます。治療したい方はぜひ参考にしてください。

01. 低血糖の基礎知識

低血糖を改善するためには、どのような病気か把握しておかなければなりません。原因やなりやすい人・患者数、子どもの場合、恐ろしさ、関連する病気について説明します。

1-1.どんな病気か

低血糖は、血糖値が50mg/dl以内になり、脳などの中枢神経がエネルギー(糖)不足に陥っている状態のことです。一般的に、血糖値が70mg/dlになると、人の体は血糖値を上げようとする働きを持っています。しかし、その機能が正常に作動せずに、低血糖状態になるのです。人によっては、血糖値が70mg/dl以下になっても症状が現れない方もいるので、注意しておかなければなりません。

1-2.原因について

低血糖の原因は、外因性と内因性の2つがあります。外因性としては、抗不整脈薬やインスリン注射、空腹時のアルコール摂取などです。糖尿病患者でインスリン投与を受けている方は、低血糖を起こしやすいといわれており、糖質の少ない食事や激しい運動をすることで血糖値が下がります。
内因性としては、長時間の過剰な糖質摂取によって、インスリン分泌のコントロール機能が低下することです。胃下垂の人やインスリン感受性の高い人などに多い傾向があります。

1-3.なりやすい人・患者数

低血糖になる人の多くは、糖質の多い食生活が原因となっています。また、たんぱく質を燃やしてエネルギーをつくることが得意な人は、糖の燃焼速度が速いため、低血糖になりやすいといわれているのです。不規則な食生活を送っている・血糖のコントロールができない人ほど、なりやすい傾向があります。また、低血糖の患者数は明らかになっていませんが、糖尿病と密接に関係していることから、今後も増え続けると考えられているのです。

1-4.子どもについて

低血糖は、大人より子どものほうが発症しやすいといわれています。なぜなら、糖分の過剰摂取や食事量の少なさ・ビタミン不足・ストレスが主な原因で、現代の環境が強く関係しているからです。食生活の欧米化やゲーム機の発達・進展による運動不足が深刻化しているため、今後も、子どもの低血糖が増えるでしょう。

1-5.低血糖の恐ろしさ

低血糖は軽い症状と思われがちですが、とても怖い病気です。ブドウ糖が摂取できない環境が長く続くほど、最悪の場合、痙攣・昏睡(けいれん・こんすい)から死に至ることがあります。重篤化すると、突然意識を失う可能性もあるため、症状をあまくみてはいけません。

1-6.関連する病気について

低血糖と関連する病気は、糖尿病です。糖尿病は、インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われずに、血糖値が高くなる状態を指しています。生活習慣病の1つであり、糖尿病を患っている人が糖分の摂取を控えることによって、低血糖になるケースが増えているのです。

02. 低血糖の症状

低血糖の主な症状や症状の現れ方・無自覚性低血糖について説明します。

2-1.主な症状

低血糖の主な症状は、自律神経症状と中枢神経症状の2種類があります。それぞれよく現れる症状を以下にまとめましたので、ぜひチェックしてください。

<自律神経症状>

  • 発汗
  • 手足の震え
  • 動悸
  • 不安感
  • 空腹感
  • 悪寒(おかん)
  • 熱感

<中枢神経症状>

  • 頭痛
  • かすみ目
  • 眠気・脱力・生あくび
  • めまい
  • 集中力の低下や錯乱
  • 疲労感
  • ものが二重に見える
  • ろれつがまわらない

2-2.症状の現れ方

初期症状は、空腹感や生あくびなど、日常生活でも現れる内容です。そのため、最初は自分が低血糖に陥っているとはなかなか気づかないでしょう。そこから状態が進行すると、集中力の低下や倦怠感(けんたいかん)・手足の震え・動悸などが出てきます。さらに、悪化すると、意識の消失や昏睡状態に陥ることになるのです。異変が起きたときは、すぐに対処しなければなりません。

2-3.無自覚性低血糖について

血糖値が低下しても、代表的な低血糖の症状が現れずにそのまま下がり続けることを、無自覚性低血糖といいます。意識障害や昏睡状態に陥ってから初めて、低血糖だと自覚できるのです。無自覚性低血糖の原因は、低血糖や夜間低血糖をくり返していることが考えられています。体を守るための自律神経が機能しないため、血糖値を上げようとする反応が出にくくなるのです。

03. 低血糖のセルフチェック

低血糖かどうか分からないときは、セルフチェック項目に当てはまるか確認してください。自分でチェックする方法や診断方法について説明します。

3-1.セルフチェック項目

以下の項目に当てはまることが多いほど、低血糖になっている可能性があります。

  • 空腹感を覚えることが多く、おやつの量が増えた
  • 夜中に目が覚めて、間食することがある
  • 体重の増減が激しい
  • 甘いもの・スナック菓子・清涼飲料水を摂取する機会が多い
  • 甘いものを食べることで、イライラや不安感がなくなる
  • 甘いものを摂ったら、頭痛・動悸・しびれが良くなったことがある
  • 血縁者に糖尿病の人がいる
  • 抗うつ薬などを服用しても、症状が改善しない

3-2.診断方法について

まず、血糖値を測定することになります。血糖値が70mg/dlの場合は、低血糖の疑いがあるとみなされるでしょう。また、血糖値が正常でも、低血糖の症状が起きている場合は疑いがあると判断されます。
診断は、血中のインスリン値やインスリン抗体を測定し、インスリン自己免疫症候群の診断で判断する方法や、絶食試験を行ってインスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)の診断を行うこともあるでしょう。ほかにも、ブドウ糖負荷試験・インスリン負荷試験・超音波画像診断・CT・選択的血管造影など、さまざまな検査・診断方法があります。

04. 低血糖の対処法

低血糖が起きたとき、どのような対処法を取れば良いのでしょうか。ここでは、起こりやすいときや対処法・緊急時の対応・注意点について詳しく説明します。

4-1.起こりやすいとき

薬や注射で補ったインスリンの量が、必要量を上まわったときに起こる傾向があります。また、以下の項目に当てはまる状況も、低血糖の症状に注意しておかなければなりません。

  • 薬の効果を高めるほかの薬を併用したとき
  • 食事の量が少なかったとき
  • 過剰に運動をしたり、力仕事をしたりしたとき
  • 早朝など、空腹時に運動をしたとき
  • 飲み薬やインスリンの量を間違えたとき
  • 食事の間隔があいてしまったとき

4-2.対処法とは

代表的な対処法は、ブドウ糖の摂取です。ブドウ糖10gまたは、ブドウ糖を含む飲料水(150~200ml)を摂取してください。砂糖を20g摂取するのもOKです。ほとんどの方は、15分後症状が改善するでしょう。改善しない場合は、もう一度、ブドウ糖を同じ量摂取してみてください。症状が改善したら、食事を摂っても構いません。しかし、ひどい症状が現れている場合は、ブドウ糖の摂取が困難な場合があります。その際は、すぐに病院へ行きましょう。

4-3.緊急時について

ブドウ糖を持ち合わせていないときは、コンビニで売っているもので代用できます。たとえば、ゼリー系飲料や野菜・果物ジュース・スポーツドリンク・粒状のラムネがおすすめです。本人が倒れた場合は、周囲にいる人がすぐに救急車を呼んでください。糖尿病などの持病を持っている場合は、その旨をきちんと医療関係者に伝えなければなりません。

4-4.注意点

低血糖の症状が現れたときは、パニックにならず、すぐにブドウ糖を摂取してください。症状が良くなったから、と激しい運動をしたり、食事を摂ったりしてはいけません。完全に症状がなくなるまで、安静にすることが大切です。急に意識を失ったときでも適切な対応ができるように、家族にきちんと説明してください。自分だけでなく、家族の理解も得ることで自分で対処できないこともできるようになります。

05. 低血糖の治療について

低血糖の治療方法は、どのような内容なのでしょうか。

5-1.病院へ行くべき症状

症状が何度も現れる・ブドウ糖を摂取しても症状が改善しない場合は、病院へ行ったほうが良いでしょう。低血糖の症状は、放置するほどひどくなるので早めの対処が必要です。きちんと自分の状態を把握しておけば、体の異変を示す症状が自覚できます。

5-2.何科へ行けばいいか?

低血糖の疑いがある場合は、内科を受診してください。血液中の血糖値を検査すれば、ほとんどが低血糖と分かるので内科で大丈夫です。受診の際は、現れている症状やどのようなときに現れるのかなど、できるだけ具体的に伝えてください。

5-3.治療方法

代表的な治療方法は、ブドウ糖の静脈注射・グルカゴンの筋肉注射または皮下注射です。注射は、直接ブドウ糖やグルカゴンを体内に入れることができます。食生活も重要なポイントとなるため、日常生活を改める必要があるでしょう。治療法は、その人の症状や状態によって異なります。きちんと検査を受けて原因を突き止めてから、適切な治療法を選択してください。

5-4.薬について

ブドウ糖を摂取して、血糖値を上げることが1番の薬となります。低血糖を改善するための薬を処方されることもありますが、その際は、どのような薬なのか、どのような効果があるのか具体的に把握しておいてください。すでに、糖尿病を患って薬を飲んでいる方は、飲み合わせの問題もあるので要注意です。

5-5.食事について

食生活を改善することも、低血糖を改善する大切なポイントです。お菓子やジュース・清涼飲料水などの過剰摂取を控えて、野菜や果物を中心に摂取してください。食品添加物は体内のミネラルを減少させてしまう恐(おそ)れがあるため、添加物が多く含まれているコンビニ弁当やレトルト食品も控えましょう。また、菓子パンやマーガリンなど、脂質が多く含まれている食品もNGです。これからは自炊を心がけて、バランスの良い食事を摂りましょう。

5-6.注意点

低血糖の症状が現れたときは、日常生活や食生活を見直さなければなりません。血糖値は運動量・食事の量や質と深く関係しています。この機会に、自分がどのような生活を送っているのか振り返ってみてください。また、ダイエットのために、食事制限をして低血糖になる方が増えています。食事の量を少なくしたり、食べなかったりするのは危険なので、1日3食きちんと摂りましょう。

06. 低血糖に関してよくある質問

低血糖に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

6-1.夜間低血糖とは?

動悸や冷感で目が覚める・寝汗をかいてうなされる・起床時に頭痛が起こる・朝食後の血糖値が高い方は、夜間低血糖になっている可能性があります。夜間低血糖は、睡眠中に血糖値が下がることです。自覚症状が現れにくいため、予防と早めの対策が必要となります。

6-2.日常生活でできる予防法が知りたい

低血糖にならないための工夫は、日ごろの生活でできます。最も効果的なのが、食事療法と薬の量です。服用中の薬があれば、医師と相談しながら量を調節してください。食生活が荒れている方は、規則正しい時間に、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。また、毎日血糖値を測ることも予防法の1つです。

6-3.自分で低血糖を測定する方法はあるのか?

自分で血糖値を測定することは、低血糖対策につながります。簡単に測定する方法としては、血糖自己測定器の利用です。現在、針を使わずに血糖値が測定できる商品や、手軽な値段で購入できるものも発売されているので、ぜひチェックしてみてください。

6-4.血糖をコントロールするポイントとは?

低血糖を未然に防ぐためには、血糖コントロールがポイントです。血糖コントロールをするためには、日常生活スタイルを見直すことが大切となります。最近は、新しいインスリン薬も登場しているので、医師と相談しながら適したインスリン薬を使用してください。

6-5.糖尿病患者用IDカードとは?

糖尿病を患った人が低血糖の症状が現れた際、治療前に、糖尿病になっている旨をきちんと伝えなければなりません。もし、倒れた場合、自己申告ができなくなるでしょう。そんなときに、役立つのが糖尿病患者用IDカードです。糖尿病患者であることを示す糖尿病患者用IDカードを財布などに入れて持ち歩けば、いざというときに安心できます。

07. まとめ

いかがでしたか? 糖尿病患者で発症するケースが多い低血糖は、自律神経症状と中枢神経症状が特徴です。初期症状は生あくびや倦怠感となりますが、状態が悪化すると、意識障害や昏睡状態に陥る傾向があります。そのまま死に至るケースもあるため、早めに対処しなければなりません。状態が悪くならないうちに改善するためにも、医療機関で治療しながら、日常生活や食生活を見直してくださいね。