ベッドやマットレスが腰痛の原因になる理由

ベッドやマットレスが腰痛の原因になる? 理由や対策法を紹介します。

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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腰痛は、若い年代の方から高齢者まで、たくさんの方が悩んでいる体のトラブルです。人によっては、朝起きた時から腰に痛みを感じている、というケースもあります。腰痛の原因はさまざまですが、ベッドやマットレスが腰痛悪化の原因になることも珍しくありません。正しいマットレス選びが、腰痛緩和と防止には大切です。

そこで、今回は腰痛とベッドやマットレスの関係や、腰痛を和らげたり防止したりするマットレスの選び方をご紹介しましょう。

この記事を読めば、腰痛防止や緩和に効果的なマットレスがどのようなものか分かります。毎朝腰の痛みに悩まされているという方や、腰が痛むことが増えたという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

腰痛の基礎知識

はじめに、腰痛が起こる原因や腰痛の種類、腰痛が起こりやすい人など腰痛の基礎知識をご紹介します。腰痛はなぜ起こるのでしょうか?

1-1.腰の構造と腰痛の関係

腰は、頭から骨盤まで続く脊椎(せきつい)という骨と、それを取り囲む筋肉と血管から成り立っています。脊椎は24個の椎骨(ついこつ)の集合体であり、腰の部分にあたる5個の椎骨は特に大きく緩やかに前へ曲がるようになっており、腰椎(ようつい)とも呼ばれているのです。椎骨と椎骨の間には椎間板という水分の多い軟骨が挟まっており、クッションの役割を担っています。

腰痛というのは、この腰椎・椎間板・筋肉・血行に異常が起きて痛みを感じるようになることです。

1-2.腰痛の種類

1-2-1.骨や神経の異常

椎間板ヘルニアや坐骨神経痛・脊椎分離症・骨粗しょう症など、腰椎や腰椎の中を通っている神経に異常が起きると、腰痛が起こります。特に、椎間板ヘルニアは腰に過度な負担がかかると発症しやすいため、若い年代の方でも苦しんでいる人が多い病気です。骨や神経の異常が原因の腰痛は、整形外科を受診して適切な治療を受けない限り改善しません。ですから、早めに病院を受診することが大切です。なお、ぎっくり腰は腰の捻挫のようなもので、骨には異常がありませんが靭帯や椎間板が傷つきます。こちらも早急な治療が必要です。

1-2-2.内臓の病気由来の腰痛

腰周辺にはたくさんの内臓があります。この内臓が病気になると、症状の一つとして腰痛が起こることもあるでしょう。この場合は内臓の病気が原因と気がつくのが遅れることも多いのです。しつこい腰痛が何か月も続くのに骨や神経に異常がない場合は、内科を受診しましょう。特に、ガンの場合は腰痛が出るケースが多いのです。

1-2-3.筋肉由来の腰痛

筋肉のこわばりが原因でも腰痛は起こります。立っていても座っていても同じ姿勢を長時間続けていると腰の筋肉が強張り、痛みを感じるのです。中腰などの腰に負担がかかる姿勢を続けていると、短時間でも腰が痛くなることもあるでしょう。

1-2-4.生活習慣が由来の腰痛

運動不足になると体の筋肉が弱まって、体を支えていられなくなります。猫背の方も筋力が弱い方が多いのです。筋力が弱くなると姿勢が悪くなり、腰に余計な負担がかかります。そのため、腰が痛くなりやすいのです。

1-2-5.女性の腰痛

女性は毎月に一度月経があります。月経中はリラキシンというホルモンが分泌され、骨盤周辺の靭帯がゆるむのです。これにより骨盤に収納されている子宮から経血が体外へ排出されやすくなります。その反面、靭帯がゆるむと骨盤周辺の骨が不安定になり、それを支えるために筋肉に無理な負荷がかかって腰痛が起こるのです。

また、妊娠すると赤ちゃんが子宮内で育っていくため、体がどうしても反り気味になるでしょう。これも腰の周りの筋肉への負担となり、腰痛の原因となります。

1-3.腰痛の症状

腰痛は、長時間同じ姿勢を続けていると起こりやすくなります。また、運動不足の方が無理に運動をしたり、逆に激しい運動をしすぎても腰痛になるのです。腰痛は文字どおり腰の痛みですが、体勢を変えて安静にしていても腰痛が治らない場合や、激しい腰痛で動くことができない場合は、すぐに整形外科を受診しましょう。

1-4.腰痛になりやすい方の特徴

  • 姿勢が悪い
  • 運動不足
  • 中腰の姿勢を取ることが多い
  • 重い荷物を運ぶことが多い
  • 骨密度が低い
  • 激しく長時間体を動かすことが多い
  • 同じ姿勢を長く取り続けることが多い
  • 女性

このような方は、腰痛になりやすいのでより注意が必要です。

腰痛とベッド・マットレスとの関係

この項では、腰痛とベッド・マットレスとの関係をご説明します。どのような関係があるのでしょうか?

2-1.腰痛と寝姿勢の関係

脊椎というのは、頭から尾てい骨にかけて緩くS字カーブを描いています。ですから仰向けに寝た際、背中全体へ均等に体重が分散するわけではありません。試しに硬い床の上に仰向けに寝てみれば分かるでしょう。仰向けになって眠っている場合、この体重の分散具合が腰痛の原因になることがあります。

また、横向きになって眠るという方も、寝返りをうって仰向けになることもありますので、ベッドのマットレスに寝た場合、腰やお尻などどこか一点だけに集中して体重がかからないか、などマットレスと体の相性は大切です。

2-2.ベッドやマットレスが腰痛の原因になる?

体が沈み込みそうな柔らかいベッドは、高級品というイメージがあります。しかし、柔らかすぎるベッドやマットレスは体重がかかるところだけが沈みやすく、腰に負担がかかりがちです。そのため、腰痛もちの方が柔らかいものを使用すると、余計に腰痛が悪化することがあります。

では、硬いベッドやマットレスならよいのかというと、それも腰痛の原因となるでしょう。硬すぎるものは硬い床に寝ているのと同じように、腰部分が浮き上がってしまい筋肉が緊張するのです。すると、一種の筋肉痛となってこれも腰痛が悪化しやすいでしょう。

2-3.布団なら腰痛にならないの?

では、布団ならば腰痛は起こりにくいのか、といえばそうともいえません。布団も柔らかすぎ・硬すぎ問題があります。また、布団はマットレスに比べて寿命が短いため、長く布団を使っているとどうしても敷布団内の綿などが劣化して薄くなり、腰痛が起こりやすくなるでしょう。布団の上げ下ろしも腰の負担になります。特に、フローリングの上に長年使った布団をしいて眠っている方は特に要注意です。

2-4.枕の高さも重要

マットレスと共に腰痛と密接な関係があるのが枕です。枕にはたくさんの種類と硬さがあります。枕が高すぎても低すぎても腰に負担がかかるのです。

腰痛の緩和や防止に有効な寝具の選び方

この項では、腰痛の緩和や防止に有効な寝具の選び方をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

3-1.寝る姿勢を変えてみる

仰向けで眠る方は横向きに寝てみましょう。仰向けでずっと眠るよりはまだ腰痛防止になります。

3-2.ベッドパッドやタオル・腰枕などを使う

ベッドパッドというのはマットレスの上に敷いて使うもので、ベッドのマットレスなどの硬さを調節できます。柔らかすぎるベッドの場合は、ベッドパッドを使うことで調節可能です。
硬すぎるベッドの場合は腰枕をあてて腰を支えましょう。腰枕とは腰の下に敷く専用枕のことで、小さいマットレスのようなものから腰に巻くタイプまでさまざまな種類があります。インターネット通販でも購入可能です。

3-3.枕を変えてみる

枕を変えて首や腰に負担がかからないようにしましょう。今は枕をオーダーメイドできる店も増えています。市販品は今ひとつという場合は、オーダーメイトにしてみてもよいでしょう。寝具のオーダーメイド品の中では一番お手ごろ価格です。

3-4.ベッド・マットレス・布団を変えてみる

ベッドやマットレス・布団がそろそろ寿命という場合は、交換を考えましょう。ベッドの中にはマットレスだけが交換できるタイプのものもあります。今は低反発や高反発などいろいろな種類のマットレスが販売されていますが、体圧を分散してくれるマットレスが、最も腰痛防止や腰痛緩和に効果的といわれているのです。

マットレスはいろいろなメーカーから発売されていますので、値段だけでなく体に合っているかどうか実際に確かめ、相談に乗って購入しましょう。値段と寝心地が正確に比例するわけではありませんが、やはり良い寝具はそれなりの値段がします。

ベッドのマットレスと腰痛に関するよくある質問

Q.体圧分散式のベッドにすれば腰痛は起こりにくくなりますか?
A.ベッドや寝姿勢が原因の腰痛は起こりにくくなりますが、完全に予防できるわけではありません。運動や普段の姿勢にも気を配りましょう。

Q.うつぶせ寝はどうでしょうか?
A.うつぶせ寝は腰が反りかえってしまいますので、やはり負担がかかりがちです。

Q.子どもの仰向けも矯正した方がよいのでしょうか?
A.子どもの場合は寝返りをたくさんするので、特に問題はありません。椎間板ヘルニアを発症している場合だけ注意しましょう。

Q.タオルが眠っている間にずれてしまい、あまり腰を支える意味がないように思えます。
A.バスタオルを折って入れると、ずれにくいでしょう。またベッドパッドを使用する方法もあります。

Q.腰痛対策は他にどんなものがあるでしょうか?
A.腰痛体操をしたり、起きあがる際に一度肘で体を横に支えて起きあがったりするとよいですね。

まとめ

いかがでしたか? 今回は、腰痛とベッドやマットレスとの関係についてご紹介しました。特に原因が思い当たらないのに腰痛が起こりがちという方は、一度ベッドやマットレス・布団の状態を見直してみましょう。ベッドやマットレス・布団は安いものではありませんが、約10年~15年は持ちます。長年同じベッドやマットレス・布団を使っている方は、買い替えや打ち直しを検討してみてください。