現代型栄養失調のリスクとは? 改善法から予防法まで一挙公開!

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「現代型栄養失調」についてご存じでしょうか? この豊かな時代に栄養失調とは、考えられない人も多いと思います。しかし、現代人の中には知らず知らずのうちに栄養失調に陥っている人が多いのが現状です。この「現代型栄養失調」は、食べものを食べていないことで起こるものではありません。従って、栄養失調とは思えないような肥満体型の人でも、この病気と診断されることが多いのです。この記事では、現代型栄養失調の原因や症状・改善方法などをまとめてご紹介しましょう。

この記事を読むことで、現代型栄養失調について知ることができます。この病気が気になる人、症状に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

現代型栄養失調とは?

まずは、現代型栄養失調について解説します。

1-1.定義

現代型栄養失調は「新型栄養失調」とも呼ばれ、現代の若者に多いことが分かっています。人間が健康に生きる上で必要な栄養素が足りていないこの症状は、カロリーは足りていることから太っている人にも起こるのが特徴です。十分な栄養を摂取しているように見えても、実は栄養不足の状態に陥っており、さまざまな悪影響が体に及びます。栄養不足によって「何となく体調が悪い」という人が増えているのが現状です。

1-2.メカニズム

現代型栄養失調は、カロリーの高いものを摂取しすぎること、そして、たんぱく質やビタミン・ミネラル・植物繊維などが不足することで起こります。たんぱく質やビタミン・ミネラルは体の機能を正常に働かす上で必要な栄養素であり、不足すると心身ともにさまざまな問題が生じてしまうのです。ただし、カロリーとなる栄養素は過剰に摂取している傾向にあります。そのため、代謝のための栄養素がさらに不足状態となり、代謝しきれなかったカロリーが体内に蓄積されてしまうという仕組みです。

1-3.なりやすい人と患者数

厚生労働省の栄養調査によると、現代型栄養失調と診断される患者の人数は全体の約15%、潜在的な栄養欠乏状態にある人は75%以上ということが分かっています。気づいていないだけで現代型栄養失調に当てはまる「隠れ栄養失調」の人もたくさんいるのです。現代型栄養失調になりやすい人には以下のような特徴があるため、注意してください。

  • 食事を1日3食とらない
  • 食事代わりにお菓子を食べることが多い
  • 無理なダイエットをしている
  • 野菜嫌い
  • 加熱した野菜を好まない
  • 外食が多い

現代型栄養失調の原因

では、現代型栄養失調の原因について詳しくご紹介しましょう。

2-1.主な原因

現代型栄養失調の主な原因は、食生活にあります。カロリーが多くビタミンやミネラルが少ない加工食品を摂取すること、ダイエットで食事の量を極端に減らすなどの行為が、現代型栄養失調のリスクを高めるのです。きちんと食事をせず、スナック菓子などを多食する子どもたちの間にも、現代型栄養失調が増えてきています。

2-2.なぜ増えているのか?

なぜ現代型栄養失調が増えてきているのか、その背景にはさまざまなものがあります。農地の劣化や化学肥料の多用により、農作物の栄養価が低下していることもその一つと考えられるでしょう。そのほかにも、加工食品や精製食品が増加していること、保存技術が進歩したことで栄養素が減少したことなども関係しています。加えて、食生活や生活習慣が乱れがちになったことも、現代型栄養失調が増えた原因の一つです。私たちはそのリスクをしっかりと理解し、予防するための努力をしていかなければなりません。

2-3.女性・高齢者・子どもの現代型栄養失調

現代型栄養失調は女性や高齢者、子どもにも多いと言われています。それぞれの特徴をご紹介しましょう。

2-3-1.女性の場合

若い女性は無理なダイエットをする人も多いため、深刻な栄養不足に陥りやすいのが特徴です。特に不足しがちなのが、鉄分や亜鉛・ビタミンB群などの栄養素と言われています。この3つが不足すると、だるさや疲れやすさ・冷え・頭痛などの症状が現れやすくなるのです。

2-3-2.高齢者の場合

現在、65歳以上の高齢者の20%以上が栄養不足に陥っていると言われています。特に不足しがちなのが、たんぱく質です。「粗食が長生きの秘けつ」と思い込んでいる高齢者は、肉や魚などのたんぱく質を避ける傾向にあります。その結果、筋力低下や脳梗塞の増加などの影響が出てきているのです。

2-3-3.子どもの場合

現代型栄養失調は、子どもにも増えているのが現状です。成長期の子どもにとって、ビタミンやミネラル・たんぱく質などの栄養素は、骨や筋肉・臓器を作る原料となります。そういった栄養素が不足することは、子どもの脳にも大きな影響を及ぼすことになるのです。集中力がない、暴力的な子どもになってしまう心配があります。

現代型栄養失調の症状とは?

現代型栄養失調の具体的な症状をまとめました。

3-1.肥満気味になる

現代型栄養失調では、特にミネラルやビタミン・食物繊維などの栄養素が不足しがちです。こういった栄養素はエネルギーの消費に必要なものであり、不足することでカロリーが消費されないまま体に蓄積されてしまいます。その結果、脂肪が増え続けて肥満気味になるのです。栄養失調と聞くと痩せているイメージがあると思いますが、現代型栄養失調の場合、見た目はふっくらした人が多くなっています。

3-2.アレルギー体質になる

体の組織や粘膜を作る栄養素が不足すると、アレルギー症状を起こしやすくなると言われています。特に子どもは、健康な皮膚を形成できなくなるため、アレルギー体質になりやすいという説があるのです。

3-3.死亡率が高くなる

現代型栄養失調によって肥満になると、生活習慣病にかかりやすくなります。心臓にも負担がかかるため、死亡率が高くなることが分かっているのです。がんの発症率も高くなるため、十分注意しなければなりません。

3-4.女性の生理不順が増える

特に女性は、ミネラルやビタミンが不足することで冷え性になりやすく、その結果、生理不順を起こすことが多くなっています。栄養が不足することで起こる生理不順は、放置しておくと危険です。不妊症の原因になる可能性もあるということを覚えておきましょう。

3-5.うつ病になる

脳に必要な栄養素が不足し、うつ病の症状が現れる場合もあります。精神的に不安定になり、集中力が低下してしまうこともあるでしょう。また、神経が過敏になって怒りやすくなるという特徴もあります。

現代型栄養失調の経過と影響

現代型栄養失調を放置する影響や関連する病気などをまとめました。

4-1.放置するとどうなるのか?

現代型栄養失調に気づかず、放置しておくとどうなるのでしょうか。その影響については、不足する栄養素によって変わってきます。

  • カルシウム不足:高血圧・動脈硬化・免疫異常・糖尿病・腫瘍・変形性関節症など
  • マグネシウム不足:吐き気・眠気・脱力感・骨粗しょう症・心疾患など
  • 鉄不足:貧血・運動機能の低下・無力感・食欲不振など
  • ビタミンA不足:成長阻害・骨の発達抑制・皮膚の乾燥・免疫機能の低下など
  • ビタミンC不足:壊血病による貧血・筋肉減少・心臓障害・呼吸困難など
  • 食物繊維不足:心筋梗塞による死亡率上昇など

4-2.注意すべき症状

原因不明の不調が長引く場合は、現代型栄養失調の可能性があります。特に、筋肉のひきつけやふるえ・食欲不振・脱力感などが続くようであれば、病院を受診する必要があるでしょう。重大な病気が関係している可能性も考えられます。

4-3.関連する病気

現代型栄養失調と関連が深いのが、生活習慣病です。糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、特定の栄養素を摂取しすぎることに原因があると考えられています。しかし、特定の栄養素が不足することでも起こる病気なのです。また、うつ病などの精神疾患とも密接な関係にあるということを覚えておきましょう。

現代型栄養失調をセルフチェックしよう!

自分が現代型栄養失調に陥っていないか、セルフチェックしてみましょう。以下の項目でいくつ当てはまるものがあるか確認してください。

  • 皮膚の乾燥や肌荒れがある
  • 手足のひきつけがある
  • 足がつりやすい
  • 疲れやすい
  • 動悸(どうき)や息切れがある
  • 集中力が続かない
  • 風邪を引きやすい
  • 生理が不順である
  • 食欲不振が続いている
  • 情緒不安定である
  • 肥満気味である

当てはまる項目が多いほど、現代型栄養失調の可能性が高くなります。

現代型栄養失調の改善方法

現代型栄養失調はどのように改善すればよいのでしょうか。病院での治療法や注意点などをご紹介します。

6-1.病院へ行くべき症状

気になる症状が長く続く場合や、日常生活に支障が出る場合などは、早めに病院を受診しましょう。現代型栄養失調は、軽度であれば食生活の見直しだけで改善可能です。しかし、栄養剤の投与やカウンセリングが必要な場合もあるため、自己判断はおすすめできません。専門医に相談してみましょう。

6-2.何科を受診するのか?

栄養不足の有無や程度を調べることは、一般的な内科でも可能です。しかし、原因を突き止めて症状に合った治療を受けるには、やはり専門の科を受診することをおすすめします。最近は摂食障害を専門とする病院も増えてきており、どんな栄養が不足しているかを調べることも可能です。また、心療内科を併設している病院であれば、精神的な問題も含めたケアを受けることができるでしょう。

6-3.検査・診断方法

現代型栄養失調は、一般的に血液検査によって診断されます。血液中に含まれるたんぱく質の数値を調べることで、栄養状態を確認できるのです。もちろん、何らかの要因で一時的にたんぱく質の数値が低くなることもあります。そのため、血液検査の結果と問診の内容を照らし合わせながら、診断していくことになるでしょう。

6-4.治療方法

現代型栄養失調の治療には、栄養指導や栄養剤の投与が行われるのが一般的です。精神的な問題が原因になっている可能性がある場合は、心療内科や精神科でカウンセリングを受け、精神安定剤や抗うつ剤などの投与が行われます。

6-5.注意点

病院で治療を受けても、日常生活で行うべきケアを怠ると現代型栄養失調はよくなりません。普段から何をどのように気をつけるべきなのかをしっかりと把握し、セルフケアを行っていきましょう。そうすることで、早期に現代型栄養失調を改善することができるはずです。

現代型栄養失調のセルフケア

現代型栄養失調のセルフケアについてご紹介しましょう。

7-1.不足しがちな栄養素とは?

現代型栄養失調で特に不足しがちな栄養素と、それぞれの働きをまとめました。

  • ビタミンA:粘膜を守る・視力のもとになる・肝機能の正常化
  • カルシウム:骨や歯を形成する・血液凝固・筋肉収縮・神経の興奮を抑制する
  • ビタミンB1:エネルギーを作る・神経機能の正常化

7-2.改善のための食事、食材

現代型栄養失調を補う食材には、以下のようなものがあります。

  • ビタミンA:レバー・うなぎ・にんじん・ほうれん草・かぼちゃ
  • カルシウム:牛乳・しらす・ごま・木綿豆腐・チーズ・小松菜
  • ビタミンB1:胚芽(はいが)米・玄米・豚肉・ピーナッツ

自分の体にどの栄養素が足りていないのかを知り、必要な食材を積極的に取り入れていきましょう。

7-3.サプリメントも活用しよう!

食事だけで必要な栄養素を補うのが難しい場合は、サプリメントを活用しましょう。毎日の食事にプラスするだけで、効果的に栄養を補給することができます。最近は子ども用のサプリメントも増えてきているため、ぜひチェックしてみてください。

7-4.生活習慣で気をつけること

食生活の見直しと同時に、普段の生活習慣でも注意が必要です。できるだけストレスをためないように、規則正しい生活を送るように心がけましょう。質のよい睡眠を十分にとり、疲れをためこまないことです。心の問題が原因で現代型栄養失調に陥る人もたくさんいます。一人で抱え込まずに、家族や友人・専門の医師などに相談することも必要でしょう。

7-5.NG行為とは?

体調の悪さを感じている人は、無理なダイエットをしないようにしてください。特に、食事量を減らすダイエットや特定の食材を抜くダイエットは危険です。必要な栄養素が摂取できず、現代型栄養失調に陥る原因になるでしょう。できるだけ食事制限をせず、運動などでダイエットする方法を考えてください。

現代型栄養失調に関するよくある質問

「現代型栄養失調について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

8-1.インスタント食品やコンビニ食が多いと、特にどのような栄養素が不足しがちですか?

A.インスタント食品やコンビニ食にはリンが多量に含まれているため、食べ過ぎるとカルシウム不足を招きます。できるだけ摂取量を減らしてヨーグルトや小魚などでカルシウムを補給しましょう。

8-2.妊婦が栄養不足に陥りやすいのはなぜですか?

A.つわりによって食欲が低下すること、食べものの好みが変化することなどが関係しています。特に、鉄分や葉酸・カルシウムなどが不足しやすいため注意しましょう。

8-3.めまいがすることが多く、疲れやすくなりました。栄養失調の可能性はありますか?

A.鉄分が不足して貧血状態になっていることが考えられます。鉄分不足は結核や肺炎の原因になる可能性もあるため、十分注意しましょう。

8-4.現代型栄養失調を予防する上で理想的なのはどのような食事ですか?

A.主食と主菜・副菜・乳製品・果物をバランスよく食べることです。毎日意識して食事をとっている人は、そうでない人に比べて死亡率が低いことが分かっています。

8-5.高齢者が栄養不足になりやすいのはなぜですか?

A.加齢とともに栄養素の吸収率が悪くなるためです。以前と同じものを同じだけ食べていても、自然と栄養が不足してしまいます。

まとめ

いかがでしたか? 現代型栄養失調の原因や症状・改善法をまとめてご紹介しました。飽食の時代と呼ばれる今、栄養失調とは無縁の生活を送っている人がほとんどだと思います。しかし、現代型栄養失調は一般的な栄養失調とは違うものであり、誰にでも起こり得る可能性があるということを覚えておきましょう。ぜひこの記事を参考にして、改善法や予防法を知ってください。