坐骨神経痛の原因は? 症状を引き起こす病気やセルフケアをご紹介

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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坐骨神経痛は、足や腰にジンジンした痺(しび)れるような痛みが特徴です。坐骨神経痛を引き起こす病気はいろいろあります。痛みは継続して起こるため、辛(つら)い症状に悩まされることが多いものです。症状を緩和するため、原因となる病気や予防法などを覚えておきましょう。また、受診すべき症状や、治療法なども併せてご紹介します。坐骨神経痛に悩んでいる方は必見です。

この記事を読むことで、坐骨神経痛についてよく分かるでしょう。原因となる病気によって、対処法やセルフケアの仕方も変わります。しびれるような痛みを感じる場合は、症状の改善に役立ててください。

01. 1. 坐骨神経痛の基礎知識

坐骨神経痛とはどのようなものか、注意点などを見ていきましょう。

1-1.坐骨神経痛とは?

坐骨神経痛は腰痛症状の1つです。人体の腰から爪先には、坐骨神経という太く長い神経が伸びています。この坐骨神経が何らかの原因によって圧迫されたり、刺激を受けたりすることで、足や腰にジンジンした痛みを感じるのです。坐骨神経痛は、原因となる疾患が特定する場合は、症状の1つとして捉えます。ただし、原因が分からないときには、坐骨神経痛が病名になるのです。また、神経痛と呼ばれるものの中でも坐骨神経痛を訴える人は多くなっています。

1-2.どんな症状?

ビリビリ・ジンジンした痺(しび)れるような痛みが、坐骨神経痛の特徴です。坐骨神経痛は腰痛の1つですが、腰痛だけに留(とど)まらず、下半身全体に痛みやしびれが広がります。横になっても、座っていても痛いという症状が続くものです。

1-3.坐骨神経痛の怖い点・注意点

坐骨神経痛は、痛いと訴える人の8割ほどが、原因となる疾患の特定に至らないのが怖い点です。疾患名がはっきりすれば、病気の治療をして回復することが見込めます。しかし、原因が分からない場合は、痛みへの対症療法を行うことになるのです。また、坐骨神経痛が長引くときは、整形外科などを受診し、診断してもらうようにしてください。

02. 2.坐骨神経痛の原因は何?

坐骨神経痛を引き起こす疾患をご紹介します。

2-1.椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは、クッションの役目のある椎間板に強い圧力がかかることによって、その一部が飛び出し神経を圧迫することで痛みを引き起こす病気です。立ち仕事やデスクワークに関係なく、同じ姿勢を取り続けることが多い人は発症リスクが上がるため、注意してください。

2-2.腰部脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、脊柱管(背骨の中にある空洞)が狭くなり、神経を圧迫することにより痛みを生じる病気です。狭窄が腰部に起こると、坐骨神経痛の症状を下半身全体に引き起こします。先天的な原因で起こる場合もありますが、多くは加齢によるものです。

2-3.梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)

梨状筋症候群は、お尻から足にかけて走っている梨状筋という筋肉が、坐骨神経を圧迫し、痛みを引き起こす病気です。お尻の痛みや、座っているときに痛みが増すといった特徴があります。外傷がきっかけで梨状筋症候群を発症することもあるでしょう。

2-4.変形腰椎症

腰椎の変形で起こる腰痛を、変形腰椎症と呼びます。変形した腰椎が坐骨神経を圧迫し、下半身のしびれを引き起こすのです。立ち仕事・長時間のデスクワーク・激しい運動などで腰への負荷がかかると、変形腰椎症を発症する可能性があります。脊柱管狭窄症を引き起こす原因の1つとして、変形腰椎症が関連しているともいわれているのです。

2-5.そのほか

記述した病気以外にも、坐骨神経痛を引き起こす原因があります。帯状疱疹(ほうしん)・がん・ストレス・糖尿病なども、お尻から足にかけてのしびれや痛みを感じやすいものです。また、特に原因が見あたらない場合でも、加齢や運動不足による筋力低下で、坐骨神経の痛みを感じることもあります。

03. 3.坐骨神経痛の治療方法

坐骨神経痛があるときは、どのような治療がなされるのでしょうか? 受診すべき症状なども併せて見ていきます。

3-1.受診すべき症状

ストレッチなどを行い、痛みを和らげる動作をしても改善がない場合は、病院を受診しましょう。また、筋肉以外に、内臓などほかの部分にも痛みや違和感を抱く場合は、症状を軽視してはいけません。なぜなら、何らかの病気が潜んでいる可能性もあるからです。病気の早期発見と早期治療のためにも、速やかに診察を受けるようにしてください。

3-2.どのような治療方法があるのか?

坐骨神経痛の治療では、第一アプローチとして、薬物療法が選ばれます。なぜなら、痛みを抑えることが優先されるからです。対症療法にはなりますが、痛みがなくなることで体を動かしやすい状態になり、ストレッチなどで筋肉をほぐすことができるようになります。薬物療法を行うことで痛みをブロックし、血流促進も期待できるでしょう。
薬物療法で一定の効果を見ることができない場合には、神経ブロック療法という注射を使った痛み止めを行います。局所麻酔による痛み止めで、神経に痛みが伝わるのを阻止する目的があるのです。
薬物療法と神経ブロック療法を行いながら、リハビリを並行して行います。しかし、どちらを行っても改善がなく、重度の坐骨神経痛と診断された場合は、外科的処置も検討されるでしょう。

3-3.坐骨神経痛の治療における注意点

治療を開始したからすぐに改善するわけではありません。なぜ坐骨神経痛の症状が出たのかを理解し、生活習慣の改善や、普段からストレッチなどで自分なりに体を動かす工夫も大切です。薬物療法や神経ブロック療法に頼りきらず、自分でも改善する方法を取り入れてください。

04. 4.坐骨神経痛のセルフケア

坐骨神経痛のセルフケアについてまとめました。自分なりにできることから始めてみてください。

4-1.姿勢

猫背や前屈(かが)みの姿勢を取ることが多い方は、坐骨神経痛を発症するリスクが高まります。なぜなら、姿勢が崩れることで、神経が圧迫されるからです。長時間のデスクワークや立ち仕事をしている方も、時々休憩を挟んで、軽いストレッチを行うようにしてください。1日に1回、背骨のS字カーブを意識して姿勢を正すようにするだけでも、坐骨神経痛の症状を和らげることができます。

4-2.温める

神経痛の場合、冷えが大敵になります。なぜなら、足先まで血流が十分に行き渡らず、痛みをより感じやすくなるからです。体を温めるように工夫し、冷たいものをなるべく取らないようにしてください。入浴時にゆったり湯船に浸(つ)かり、体を温めるのも効果的です。

4-3.運動・ストレッチ

軽い運動を取り入れるようにしましょう。しかし、激しい運動は避けてください。なぜなら、体に負荷がかかりすぎることで、坐骨神経痛の症状がひどくなる場合があるからです。軽いランニングやウォーキングなど、できることから始めましょう。自分のペースでできるストレッチなら、体への負荷も少なく、筋肉も十分にほぐれます。痛みの緩和にはおすすめです。

4-4.やってはいけないこと

日常生活で気をつけることは、肥満の防止です。肥満はさまざまな病気発症リスクを上げるだけではなく、肥満による坐骨神経圧迫も懸念されます。適度な運動と食事制限で、適正体重を維持するようにしてください。
急な動作を取ることも危険でしょう。なぜなら、重たいものを持ち上げる動作がきっかけとなり、外傷を招く恐れや、腰への急激な負荷で痛みが現れるからです。ゆっくりと安全に配慮した動作で行うようにしてください。

05. 5.坐骨神経痛でよくある質問

坐骨神経痛に関する疑問を集めました。参考にしてください。

Q.坐骨神経痛を発症しやすい年代とは?
A.中高年に多い症状です。記述した病気を発症した方や、腰痛持ちの方は特に注意してください。

Q.足のどこに痛みを感じるもの?
A.坐骨神経は、お尻から足の先まで広がる神経です。そのため、脚やお尻など、一部に痛みを感じる場合もあれば、下半身全体にしびれを感じる場合もあるでしょう。

Q.肥満解消を解消すれば、坐骨神経はなくなるのか?
A.無理なダイエットはおすすめできませんが、肥満解消は重要です。体が軽くなることで動かしやすくなり、ストレッチや軽い運動を取り入れることができます。肥満解消がすぐに坐骨神経痛の緩和につながるというわけではありません。しかし、肥満は病気の発症リスクを上げるため、体重を落とす努力はするべきです。

Q.運動不足の場合も、坐骨神経痛になりやすいのか?
A.運動不足のせいで、筋力が低下することは避けられません。そのため、腰を支える筋力が衰え、腰痛を引き起こすことがあります。運動不足が直接的な原因で坐骨神経痛になるわけではありませんが、筋力低下には注意しましょう。

Q.なぜストレスが原因で坐骨神経痛になるのか?
A.ストレスを感じると、自律神経が乱れます。自律神経と坐骨神経は深い関連があり、ストレスによって痛みやしびれを感じるとされているのです。ストレスは適度に発散するようにしましょう。

06. 6.まとめ

いかがでしたか? 坐骨神経痛はしびれや痛みといった症状が特徴です。椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの病気が原因となり、症状を感じることがあります。また、ストレスなども関連し、痛みやしびれを誘発することもあるのです。症状を緩和するためには、正しい姿勢・適度な運動・ストレッチ・冷えの解消などを取り入れてください。セルフケアのポイントを覚えておき、症状を和らげる工夫をしてみましょう。痛みが続く場合は、早めに病院を受診してください。