不眠の原因から対処方法

眠れない方必見!不眠の原因から対処方法までを解説します。

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
免責事項について

疲れているはずなのに眠れない、眠りが浅くすぐに目が覚めてしまう。こんな悩みを抱えている方はいませんか? 睡眠は体を休めて疲労を回復させる大切なものです。眠れない日々が続けば、日常生活にも深刻な影響が出てくるでしょう。厚生労働省の調査によれば、現在5人に1人が睡眠に関する悩みを抱えているという結果が出ています。

そこで、今回は眠れない原因や不眠を改善する方法をご紹介しましょう。

この記事を読めば、眠れない原因が分かり改善方法も見つかるかもしれません。眠れなくて悩んでいるという方や睡眠の質を改善したいと思っている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

不眠に関する基礎知識

はじめに、眠れないとはどういうことかという定義や不眠の種類などをご紹介します。どのような状態が不眠なのでしょうか?

1-1.眠れないとはどういうこと?

眠れない、というと多くの方が寝つきが悪い状態を想像すると思います。眠りたいのに眠気がやってこないというのは、とてもつらいことです。長期間このような状態が続けば、日常生活にも悪影響が出るでしょう。しかし、眠れないという状態は「寝つきが悪い」だけではありません。眠りが浅かったり朝早く目が覚めてしまったりするのも、眠れないという症状の一種なのです。眠れない状態が長く続くと、不眠症と診断されることもあります。

1-2.不眠症の種類

不眠症には大きく分けて以下のような4つの種類があります。

  • 夜になかなか寝つけない(入眠障害)
  • 眠りが浅く、何度も目が覚める(中途覚醒)
  • 朝早く目が覚めて、以後寝つけなくなる(早朝覚醒)
  • 睡眠時間は長くてもぐっすり眠れたという充実感がない(熟眠障害)

不眠症というのは、単に眠れないだけではありません。睡眠時間は長くても熟睡できず、日中頻繁に強い眠気に襲われるようでしたら、不眠症と診断される可能性があります。

1-3.不眠症は国民病?

不眠症は決して珍しい病気ではありません。前述したように日本人の5人に1人は「寝つきが悪い」「よく眠れない」といった睡眠に対する悩みを抱えています。また、高齢になるほど不眠に悩む方は増えていき、60歳以上では3人に1人が不眠に悩まされており、20人に1人が睡眠薬の処方を受けているのです。ですから、不眠症は特別な方がかかる病気ではありません。むしろ国民病ともいえる病気です。

1-4.不眠症の診断基準

夜眠れなかったり眠りが浅かったりすること自体は、よくあることです。誰しも一度は経験したことがあるでしょう。不眠症は、このような状態が1か月以上続き、倦怠感や食欲不振・集中力の低下・抑うつなどの症状が現れる状態のことです。
たとえ睡眠時間が短くても、日中に不調が感じられなければ不眠症ではありません。逆に、何時間眠っても眠気が取れないという場合は、不眠症とは異なる睡眠障害である過眠症の可能性もあります。
睡眠時間に関係なく、すっきりと目覚められず日中の生活に支障が出るようならば、一度病院を受診してみましょう。

眠れない原因

この項では、眠れなかったり眠りが浅かったりする原因の一例をご紹介します。どのような原因があるのでしょうか?

2-1.生活習慣の乱れ

規則正しい生活をしていれば、毎日大体同じ時間に眠気がきます。しかし、睡眠時間が日によって異なっていたり夜勤と日勤をくり返す勤務形態だったりすると、生活のリズムが乱れがちになり不眠になりやすくなるでしょう。

2-2.ストレス

ストレスが不眠の原因になることは珍しくありません。心配事があると眠れなくなったり眠りが浅くなったりする方も多いことでしょう。大抵の場合はストレスの原因を取り除けば不眠が改善することもありますが、過度なストレスを長期間受け続けると自力での回復は難しくなります。

2-3.精神的な病気

うつ病を発症すると、症状の一つとして不眠が現れることがあります。不眠症と思って病院を受診したら、うつ病だったという方も珍しくありません。規則正しい生活を送っているのに不眠が治らないという場合は、精神的な病気の可能性があります。

2-4.身体的な病気

睡眠時無呼吸症候群や脚むずむず症候群、関節リウマチ・アレルギー性皮膚炎・前立腺肥大などの病気を発症すると、入眠時に痛みやかゆみなどの症状が起き、不眠になることがあります。この場合は、眠れない原因がはっきりしやすいので対策も立てやすいでしょう。ただし、睡眠時無呼吸症候群の場合はよほど重症にならないと、自覚症状が現れないこともあります。睡眠時無呼吸症候群を発症するとひどいいびきをかくようになることが多いので、ひどいいびきを家族から指摘された場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

2-5.薬物の影響

コーヒーや紅茶・緑茶に含まれるカフェインには覚醒作用があり、取りすぎると不眠の原因となります。また、飲み過ぎると眠くなるイメージの強いアルコールも、睡眠の質を低下させて不眠の原因となるのです。
この他、特定の薬の副作用で不眠が現れることもあります。

不眠症のチェックリスト

  • 朝、すっきりと目覚められない
  • 日中耐えがたい眠気に襲われることが多い
  • 集中力の低下やイライラ・無気力などの自覚症状がある
  • 布団に入っても眠れない、もしくはすぐに目覚めてしまう状態が1か月近く続いている
  • 今日も眠れないのではないかと思うと不安だ

このような症状が出ている場合は、不眠症の可能性があります。一度病院を受診しましょう。

自分で行える不眠解消方法

この項では、自分で行える不眠の解消方法をご紹介します。不眠気味だという方は、一度試してみてください。

4-1.眠りやすい環境を作る

眠気というのは、脳がリラックスモードに入ったときに起こります。ですから、布団に入る1時間ほど前から部屋を暗くし、テレビやスマートフォンなどは極力見ないように心がけましょう。テレビやスマートフォンの液晶から出るブルーライトには覚醒効果があり、脳が目覚めてしまいます。また、携帯型のゲーム機も同様です。
何か音がないと寂しいという場合は、安眠効果のあるCDなどをかけましょう。安眠効果がある音楽を集めたCDなども発売されていますが、極端な重低音や高音がなく、静かでゆったりしたメロディの音楽であれば眠りを誘う効果があります。歌があると眠りが妨げられるので、歌詞のない音楽にしましょう。タイマーをかけておき、流しっぱなしにしないことも大切です。睡眠中に音が鳴っているとどんなに静かなものでも、眠りの妨げになります。

4-2.同じ時間に寝て起きる

睡眠時間がだんだんとずれていき明け方にならないと眠れないという場合は、毎日決まった時間になったら布団に入り、眠くても同じ時間に起きましょう。これによって体内時計を調節します。最初はつらいですが、そのうちに布団へ入ったら眠くなるでしょう。日勤と夜勤が交互に来る場合は、遮光カーテンなどを利用して眠りやすくなる環境を作ってください。

4-3.寝る前にものを食べない

満腹の状態で寝ると、眠っている間も胃腸は動き続けます。すると、どうしても眠りが浅くなるでしょう。眠る2時間前には食事を終え、できればやや空腹の状態で眠りについてください。そうすれば、熟睡できるでしょう。眠る前の飲み物は、ほうじ茶や麦茶・安眠効果のあるハーブティーがおすすめです。紅茶・コーヒー・緑茶は避けましょう。どうしてもお腹が空いて眠れないという場合は、はちみつ入りのホットミルクがおすすめです。

4-4.軽い運動をする

運動不足でも眠れなくなります。日中努めて階段を上り下りするなどして運動量を増やしましょう。また、筋肉が強張っていてもうまく眠れません。お風呂に入って温まった後は、肩を大きく回したり布団に仰向けに寝て足を片方ずつ垂直に上げてみるなど、ストレッチをしましょう。すると筋肉がほぐれて眠りやすくなります。

4-5.やってはいけないこと

アルコールは睡眠の質を下げて、不眠になりやすくなります。アルコールを飲むと眠くなりますが、眠りは浅くすぐに目が覚めてしまうでしょう。眠れないからといって、アルコールを飲んでから布団に入る習慣をつけないようにしてください。

不眠症の治療方法

この項では、不眠症を治療する診療科や受診の目安などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

5-1.受診の目安と受診する診療科

前述した自分で行える不眠の解消方法を実践しても眠れない場合や、不眠によって日常生活に支障が出ている場合は、病院を受診しましょう。身体的な症状がなく、不眠だけの場合は神経科や心療内科・精神科を受診してください。今は、不眠外来を設けている病気もあります。
かゆみや痛みなどの症状で眠れない場合は、該当の科を受診しましょう。アレルギー性皮膚炎の場合は皮膚科を受診し、関節リウマチの場合はリウマチ科を受診してください。睡眠時無呼吸症候群の場合は耳鼻咽喉科を受診します。なお、脚むずむず症候群は、不眠を解消する診療科で治療が行われる病気です。

5-2.検査方法・治療方法

不眠の検査は、主に問診で行います。身体的な症状がある場合やレントゲン検査や血液検査を行うこともあるでしょう。不眠は質の高い睡眠を取ることが大切なので、睡眠薬が処方されます。用法と用量をよく守って使用してください。ストレスや不安で眠れないという場合は、認知療法などが取られることもあります。
不眠の治療は人によっては改善に長時間かかることもあるでしょう。焦らずに治療してください。

5-3.注意点

睡眠薬は用法と用量を必ず守りましょう。眠れないからと多めに飲んではいけません。また、毎日同じ時間に布団へ入るなど、規則正しい生活を送りましょう。

眠れないことに関するよくある質問

Q.自分がなぜ眠れないのかよく分かりません。
A.まずは同じ時間に布団へ入り、目をつぶる習慣をつけてください。それでも改善しない場合は一度精神科や心療内科を受診しましょう。

Q.過眠症とは不眠症とどのような違いがありますか?
A.一般的な方の睡眠時間は6~7時間ですが、過眠症の場合は10時間以上寝続けることも珍しくありません。また、強い眠気によって日常生活にも支障が出ます。

Q.ドラッグストアでは睡眠薬は販売していないのでしょうか?
A.睡眠薬は医師の処方がないと購入不可能です。ただし、寝つきがよくなる薬の類は販売されています。これは、睡眠薬ではありません。

Q.睡眠薬に頼っていると薬がないと眠れなくなるのでは? と不安です。
A.まずはしっかりと質の良い睡眠を取ることが大切になります。その後は、医師の指示で減薬をしましょう。

Q.子どもでも不眠症になることはありますか?
A.思春期以降になると、受験のストレスなどで不眠症を発症するケースもあるでしょう。

おわりに

いかがでしたか? 今回は眠れない原因や対処方法をご紹介しました。眠気は案外デリケートで、環境に大きく左右されます。布団の中で眠る直前までスマートフォンや携帯ゲーム機をいじっていると、どうしても眠りは浅くなりがちです。また、布団以外の場所で眠っても安眠できません。不眠の自覚がある方は、時間をかけて眠る体制を調えましょう。