夜眠れない6つの原因と、不眠を解消するセルフ対策のポイント!

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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最近ぐっすり眠れていますか? 規則正しい睡眠は健康のために大切なものですが、眠りたくても眠れないという経験は誰にもあるでしょう。眠れない日が続くと、寝不足が蓄積して生活に支障をきたす恐れもあります。不眠対策のためには、まず眠れない原因を知ることが大切ですね。そこでこの記事では、眠れなくて困っている人のために、不眠の原因から対策までを説明します。

  1. 不眠について
  2. 眠れない病気について
  3. 眠れない原因について
  4. 眠れない、タイプチェック
  5. 眠れないときのセルフ対策法
  6. 眠れない症状の治療について
  7. よくある質問

この記事を読めば、どうして眠れないのか、その原因と対策のポイントがわかります。毎日必ずやって来る夜を安心して迎え、人生の1/3ともいわれる睡眠の時間を快適に過ごすために、ぜひお役立てください。

01. 不眠について

夜、寝たくても眠れないことを不眠といいますが、その症状はさまざまです。まずは不眠の状態について説明しましょう。

1-1.不眠とはどういう症状か

「眠れない」といっても、忙しくて寝る時間がないという状況ではなく、眠れる環境にあるのに眠ることができない状態のことを「不眠」といいます。具体的には、以下のいずれかの症状が続いた状態です。

  • 寝つきが悪く、布団に入ってもなかなか眠りに入れない
  • 眠りが浅く、長い時間寝ても寝た気がしない。深い眠りの時間が短い
  • 朝、起きる予定の時間よりも早く目覚めてしまい、そのまま眠れない
  • いったん眠りについても、夜中に何度も目が覚めてしまう

1-2.不眠の現状と最近の傾向について

ストレスが多い現代では、不眠に悩む人が多いのが現状です。厚生労働省では不眠について以下のような記述がありました。

日本では、一般成人のうち約21%が不眠に悩んでおり、約15%が日中の眠気を自覚しているとの調査結果があります。こうしてみると、成人の5人に1人、つまり1500万~2000万人の人が不眠に悩んでいると推計される

出典:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス

24時間型の社会環境やインターネットの発達で、夜寝て朝起きるというリズムが狂いがちな現代は、いつのまにか不眠に陥る可能性もあるのです。年代別では高齢者に多い傾向にあり、性格的には完璧主義者や心配性の人が不眠になりやすいといわれています。

02. 眠れない病気について

生活リズムの乱れなどで、一時的に眠れないことは誰にもありますが、中には病気によって眠れないという場合もあります。

2-1.睡眠障害について

睡眠に何らかの問題があり、その症状が週に3回以上かつ3か月以上続くような場合は、「睡眠障害」の可能性があります。睡眠障害は、不眠症のように夜眠れないという症状だけを指すのではありません。日中に異常に眠たくなったり、睡眠中に異常な行動をしたり、昼夜逆転のように睡眠リズムが乱れたりする症状も「睡眠障害」といいます。

2-2.不眠症のタイプ

睡眠障害の中でも「不眠症」は、以下のいずれかまたは複数の症状がある場合です。なおかつ、その症状を本人が苦痛に感じていたり、日常生活に支障をきたしたりしている場合を指します。

  • 入眠障害:布団に入り眠ろうと思っても30分以上寝つけない
  • 中途覚醒:一度眠りについたあと夜中に2回以上目が覚めて、再度眠りにつくことができない
  • 早朝覚醒:通常よりも2時間以上早く眼が覚めてしまい、そのまま朝まで眠れない

上記以外に、以前は熟眠障害(睡眠時間は確保できていてもぐっすり眠った感じがない)の症状も不眠症の診断基準に含まれていました。しかし、熟眠困難は患者の主観的な評価に頼ることになり、数値で表すことが難しいため、現在では基準から削除されています。これは、客観性の高い診断基準が求められているからです。

03. 眠れない原因について

眠れないときにはさまざまな原因があります。おもな原因は以下の6つです。

3-1.おもな原因とは

  • 精神的な原因:心理的なストレス・心配ごと・うつ病など
  • 環境的な原因:部屋が明るい・騒音・枕が合わない・暑い・寒いなど
  • 身体的原因:痛み・かゆみ・鼻づまり・いびき・睡眠時無呼吸症候群・頻尿など
  • 悪習慣が原因:寝る前スマホ・飲酒・カフェイン・満腹など
  • 体内時計の狂いが原因:昼寝のし過ぎ・交代勤務・昼夜逆転・時差ぼけなど
  • 自律神経の乱れが原因:緊張・ストレス・プレッシャー・自律神経失調症など

3-2.睡眠のメカニズム

睡眠はさまざまな生体機能が互いに作用しあいながら、協調しあってもたらされます。

3-2-1.睡眠欲求と覚醒力

睡眠は、睡眠欲求と覚醒力の二つが相互に作用しあって起こります。人間は起きている時間が長くなるほど、脳に疲労がたまるので睡眠欲求が高まるのです。一方、覚醒力は起床後から徐々に高まり、夜寝る時間の2~3時間前にピークを迎えますが、入眠を促すホルモンのメラトニンが分泌されるころに急速に弱まります。こうして、睡眠欲求が高く、覚醒力が弱まったところで、睡眠に入るのです。

3-2-2.体温とメラトニン

覚醒力のリズムを司っているのが体内時計です。わたしたちの体温は起床後に上昇して夜に最も高くなり、その後体温が下がり始めると眠気を催します。また、同じころにメラトニンが分泌を始め、入眠を促すのです。メラトニンは、日中の明るいときにはほとんど分泌されず、夜暗くなると分泌されます。

3-3.不眠を放っておくとどうなるか

前述のように、睡眠はさまざまな生体反応のバランスの上に成り立っています。このバランスがどこかで崩れると不眠に陥るのです。崩れた状態を放っておくと、眠れない状態が続き、不眠症をもたらしたり、不眠により他の病気を悪化させたりするリスクがあります。

3-4.最近の傾向

高齢化社会になり、最近では高齢者の不眠が増えています。また、肥満や高血圧・糖尿病など生活習慣病と不眠は密接にかかわっているため、生活習慣病患者の増加に伴い不眠になる人も増える可能性があるのです。

04. 眠れない、タイプチェック

4-1.チェック項目

不眠症の診断には、広く「アテネ不眠症尺度(AIS)」が使われています。これは、WHOが中心となって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」による国際基準の不眠症判定法です。インターネット上に無料で公開されているので、参考にしてみるといいでしょう。この診断では、過去1か月以内に少なくとも週3回以上経験した症状について、設問に答えていきます。

アテネ不眠症尺度

このほかにも、アメリカの精神医学会による「不眠障害診断基準(DMS-5)」も不眠症の診断に使われます。

4-2.注意点

インターネット上のチェックリストによる診断は、あくまでも自己診断のため、詳しく知りたい人は医師にご相談ください。

05. 眠れないときのセルフ対策法

いつもの習慣が、知らず知らずのうちに不眠を引き起こしているかもしれません。安眠のための習慣を意識して身につけましょう。

5-1.リラックス

ぬるめのお風呂にゆっくり入ると体の緊張もほぐれます。夏でも湯船につかりましょう。入浴は就寝1時間半前までに済ませます。体を締め付ける衣類は避け、パジャマなどゆったりとした服に着替えることも忘れずに。

5-2.体内リズム調整

朝起きたときに朝日を浴びることで、体内時計がリセットされます。毎日同じ時刻に起きることも大切です。ゆっくりと寝ていたい休日でも、平日との差は2時間以内に留めましょう。

5-3.環境を整える

寝る前には電気やテレビを消し、部屋を暗くしてください。枕は高すぎない物を選び、寝具は柔らかすぎず寝返りが打ちやすいものにするといいでしょう。

5-4.食事や飲み物

寝る3時間前には食事を済ませるのが基本です。しかし、おなかがすきすぎていても眠れないので、温かい飲み物を少量飲むのもいいでしょう。飲み物はホットミルクがおすすめです。ミルクに入っているトリプトファンは安眠効果があります。カフェインやアルコールの入った飲料は避けましょう。

5-5.呼吸法やストレッチなど

ゆっくりとした深い呼吸は副交感神経が働き、リラックスできます。さまざまな呼吸法がありますが、不眠を解消するとして話題の「4-7-8呼吸法」を紹介しましょう。やり方は簡単で、4秒で息を吸って、7秒間止めて8秒間でフーっと吐き出すだけです。これを3回繰り返します。慣れないうちは息が苦しく感じるかもしれませんが、呼吸に集中することで余分なことを考えずに済む点でもおすすめです。
軽いストレッチをしてもいいでしょう。ただし、布団の上でやるのはNGです。布団は「眠るための場所」なので、布団では運動してはいけません。ストレッチは寝る1時間前までに済ませましょう。

5-6.音楽

好みの音楽を聴きながら眠りたいという人もいるでしょう。これは、入眠前の段階ならOKです。しかし、睡眠中まで音楽を流しっぱなしだと、脳が刺激されて覚醒してしまいます。音楽を流すなら、タイマーを使い30分程度で切れるようにしておくといいでしょう。
おすすめの音楽は、静かでゆっくりとしたテンポのものです。歌が入っていないもの、旋律が単調なものを選びましょう。小川のせせらぎのような環境音も効果的です。

5-7.そのほかグッズなど

香りに抵抗がなければ、アロマオイルを用いる方法もあります。ラベンダー・バニラ・ビャクダンなどは鎮静効果があり、リラックスできると考えられているのです。そのほかには、サプリメントもありますが、持病がある場合は必ずかかりつけ医に相談しましょう。

5-8.やってはいけないこと、注意点

寝る時間の1時間前にはテレビやパソコンの画面など強い光が出るものを見ないようにしましょう。また、眠れないからと言って、布団に入ったままスマホを見たり、本を読んだりしてはいけません。布団に入ったら何もせず、目を閉じて休む習慣をつけましょう。

06. 眠れない症状の治療について

自分で対策をしても症状が改善されないときは、早めの受診をおすすめします。

6-1.受診すべき症状

眠れない状態が週に2回以上かつ1か月以上続くようなら、受診しましょう。また、睡眠中の激しいいびきや無呼吸、足のビクつきやムズムズ感がある場合は、早めに受診することをおすすめします。

6-2.何科を受診するか

睡眠障害の専門医がいる病院を受診しましょう。睡眠外来が近くにない場合は、心療内科や精神・神経科などでも診てもらえます。いきなり専門医に行くのが不安な場合は、かかりつけの内科医に相談して、専門医を紹介してもらってもいいでしょう。また、他の病気が原因となって不眠になっている場合は、原因となる疾患の治療が大切です。

6-3.検査方法

睡眠外来では、睡眠そのものに異常があるかどうか検査をします。以下は入院が必要な検査です。

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査:体のさまざまな部位に電極やセンサーを取り付け、睡眠中の脳波や心電図・呼吸状態などを調べる。睡眠時無呼吸症候群(SAS)や、睡眠時間誤認の診断に役立つ
  • 反復睡眠潜時検査(MSLT):指示された時間に昼寝をして昼間の眠気を測定する。通常、睡眠ポリグラフ検査の翌日に行われる
  • 覚醒維持検査(MWT):日中、眠気を誘う状況下で起きていられる能力を測定する

自宅で1~2週間かけて行う検査もあります。

  • アクチグラフ:腕などに測定器を装着し、睡眠・覚醒のデータを取る。睡眠効率・眠りに入るまでの時間などが計測できる
  • 睡眠日誌:毎日睡眠の状態を自分で記録する。入眠・起床時刻・就寝時間・日中の眠気などを記録し、睡眠を客観的に評価する。睡眠記録は治療にも役立てられる

6-4.治療法について

検査結果を踏まえて、主治医と相談のうえ治療法を決めましょう。主な治療法を紹介します。

6-4-1.生活習慣の改善

不眠治療にあたり、まず大前提となるのが生活習慣の改善です。定期的な運動・規則正しい食生活・室内環境・就寝前の過ごし方などを指導します。生活習慣の改善を徹底しても症状が治まらない場合には、いよいよ本格的な治療が必要でしょう。

6-4-2.非薬物療法

薬物を用いないで不眠症を改善する療法です。自分の睡眠の状態を客観的に見つめ直し、睡眠に対する理解を促していきます。期間が長くかかるため、根気よく続けることが大切です。

  • 認知行動療法(CBT-I)
  • 睡眠記録

6-4-3.薬物療法

睡眠を助ける薬は種類がたくさんありますが、最近は副作用や依存性の少ない薬が開発されています。複数の種類が同時に処方されることもあるので、医師の指示に従って適切に使いましょう。よく用いられるものは以下の種類があります。

  • 睡眠薬
  • 抗うつ剤
  • 抗精神病薬
  • 漢方薬

6-4-4.睡眠時無呼吸症候群の治療

前述の検査で「睡眠時無呼吸症候群」と診断された場合には、特別な治療が必要です。この疾患は、眠っている間に何度も呼吸が止まってしまうというもので、治療法には「シーパップ(CPAP)治療」があります。これは、鼻に装着したマスクから気道に空気を送り込み、気道が塞がれるのを防ぐ方法です。無呼吸症状はなく、肥満などにより気道が塞がれていびきがひどい場合は、横向き寝の指導が行われます。

6-5.カウンセリングなど

何らかの不安や心理ストレスを抱えている人には、薬物の治療と並行してカウンセリングが有効です。カウンセリングを受けることで、人間関係やさまざまな悩みの原因が整理でき、根本的な解決につながることがあります。また、認知行動療法の治療方針を決めるためにも大切です。

6-6.そのほか

最近は、睡眠記録アプリなど睡眠時間を記録できるツールが出てきました。しかし、アプリはまだ精度が低いので参考程度に留めておきましょう。睡眠記録のつけ方は専門家の指導を受けてください。

6-7.注意点

不眠の治療には時間がかかります。1回の受診や投薬ですぐによくなるものではないため、根気よく治療することが大切です。医師の指示に従って続けましょう。

07. よくある質問

Q.日中どうしても眠くなったら昼寝をしてもいいですか?
A.昼食後に短時間の昼寝をするといいでしょう。長時間寝てしまうと夜の睡眠に影響するので20分程度とし、遅くとも午後3時までに済ませましょう。

Q.睡眠記録はスマホのアプリで代用できますか?
A.アプリは寝ているときの振動で入眠や中途覚醒を計測しているものが多いです。脳波を測っているわけではないので、正確性に欠けます。ある程度の目安にはなるでしょう。

Q.交代勤務のときは、リズムのリセットはどうしたらいいですか?
A.夜勤の前には20分~1時間半の昼寝をしておきましょう。夜勤明けの朝はサングラスをするなどしてなるべく光を浴びないようにして、帰宅後は遮光カーテンなどで暗くした部屋で睡眠をとります。夜勤から日勤に切り替わる間の休日には、午前中に日光を浴びてリセットしましょう。

Q.眠ろうとすればするほど眠れなくなるのはなぜでしょう?
A.焦りや緊張で交感神経が働いてしまうためです。あまり思いつめず、「睡眠時間は短くても日中に支障がなければいい」という気持ちで、布団に入りましょう。

Q.年をとったせいか朝早く目が覚めてしまいます
A.年齢によって必要な睡眠時間が少なくなるのは自然なことです。日中に眠くならないようならそのまま早起きしてもいいでしょう。

08. まとめ

睡眠不足や昼間の眠気はつらいものです。自分の不眠のタイプを知って、不眠の悪習慣を改善してみましょう。一時的なものだと放置していると、いつのまにか習慣化して抜け出せなくなることもあります。不眠を自覚したら、こじらせる前に早めに専門家に相談することも大切です。