いびきには鼻炎の治療が有効!? いびきと鼻炎の意外な関係とは?

いびきには鼻炎の治療が有効!? いびきと鼻炎の意外な関係とは?

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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寝ているときに大きな音が鳴るいびき。このことが悩みの種になっている方も多いでしょう。いびきにはいくつかの原因がありますが、考えられる大きな要因のひとつは、鼻炎による鼻づまりです。

この記事では、いびきの原因となりうる鼻炎の種類との対策を明らかにし、家庭でできる鼻づまり対策についても取り上げます。

いびきと鼻炎ってどんな病気?

ひとくちにいびき、鼻炎といってもいくつかの種類があります。同じように聞こえるいびきでも、厳密には喉の奥のどこが振動しているのか、によって名前が異なるのです。それぞれについて見ていきましょう。

1-1.いびきとは?

いびきとは、様々な理由で睡眠中に気道(上気道)が塞がり、その狭くなったところを空気が通り抜けることによって起こるものです。

いびきを音響学的に分類すると、振動型と狭窄型の2つに分別されます。

1-1-1.振動型

振動型とは、喉の奥にある軟口蓋、口蓋垂(のどちんこ)などが喉の奥のほうに垂れ下がり、上気道を塞いでしまうことが原因で発生するいびきを指します。呼吸をすると、これらの組織が振動し、その音がいびきとなるのです。

1-1-2.狭窄型

狭窄型とは、気道が狭くなり、その狭くなった気道の中を空気が通り抜けることによって発生するいびきを指します。舌の付け根にあたる舌根(ぜっこん)が喉の奥のほうに落ちることや、鼻づまり、アデノイド(咽頭扁桃)肥大や扁桃肥大、鼻中隔湾曲症(鼻腔を左右に分ける鼻中隔が曲がっている)、副鼻腔炎による粘膜肥厚などが主な原因です。

こうしたいびきは、いずれも眠っている間に呼吸が止まってしまう、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の引き金にもなり得ます。

睡眠時無呼吸症候群は、60秒以上無呼吸の状態が続くこともあり、昼間の眠気の原因や身体の不調、注意力低下などの症状を引き起こす可能性もある危険な症状です。

1-2.鼻炎とは

鼻炎とは一般的に、鼻内部の粘膜が炎症を起こすことです。ただ、一口に鼻炎といっても、様々な種類があります。

1-2-1.アレルギー性鼻炎

ハウスダスト、イエダニ、ペットの毛などが原因で起こる鼻炎のことです。春になると起こりやすいスギやヒノキなどの花粉症も、このアレルギー鼻炎に分類されます。

厚生労働省が発表した「アレルギー疾患の現状等」によると、平成26年のアレルギー性鼻炎(花粉によるものを含む)の総患者数は66万3000人だとされており、そのうち43%が20歳未満の若年者です。

1-2-2.急性鼻炎(鼻かぜ)

急性鼻炎とは、主に風邪などによって鼻腔内の炎症が急激に発生したものです。症状としては鼻づまりやくしゃみなどがあります。風邪の原因となるライノウィルス、アデノウイルスなどのウィルスが原因であることが多いです。

1-2-3.慢性鼻炎

急性鼻炎とは違い、数ヶ月など長期間、鼻の粘膜に炎症が生じることが慢性鼻炎です。鼻炎の慢性化には様々な原因があり、急性鼻炎の慢性化、加齢や妊娠などに加え、寒い外気など、様々な外的要因が慢性鼻炎の原因になり得ます。

また、これらの慢性鼻炎を繰り返すうちに、鼻腔の中にある下鼻甲介(かびこうかい)という組織が肥大化してしまうことがあり、これが慢性肥厚性(ひこうせい)鼻炎です。

1-3.副鼻腔炎について

副鼻腔に炎症を起こし、重症化すると膿がたまる(蓄膿症)症状が起こります。鼻腔内の粘膜が炎症を起こす鼻炎とは区別されますが、併発することが多い病気のひとつです。

ここまで、いびきと鼻炎の各原因、分類について見てきました。

それでは、いびきと鼻炎にはどのような関係があるのでしょうか?

いびきと鼻炎の関係について

これから説明するのは、いびきの原因となる鼻炎の症状と、そのメカニズムについての解説です。また、いびきが引き起こす可能性のある深刻な症状についても取り上げます。

2-1.いびきの原因となる鼻炎の症状とは?

いびきの原因となる鼻炎の症状には、アレルギー鼻炎や慢性鼻炎による肥厚性鼻炎・鼻中隔湾曲症・鼻茸(はなたけ)・副鼻腔炎などが挙げられます。

2-2.メカニズム

上記のような症状によって、鼻づまりが慢性的なものとなり、睡眠中の呼吸が鼻呼吸ではなく口呼吸となります。そのことによって軟口蓋・口蓋垂が下の奥に落ち込み、振動型のいびきが発生しやすくなることがいびきのメカニズムです。

また、アレルギー性鼻炎や鼻茸、鼻中隔湾曲症などで狭くなった気道を空気が通り抜けるときに、鼻の粘膜が振動することによっていびきが起こるケースもあり、こうしたいびきは「鼻いびき」ともいわれます。

2-3.睡眠障害など、重篤な症状につながる恐れも

口呼吸の弊害はいびきだけにとどまりません。口腔内や気道が乾燥することにより、口臭や風邪の原因などにもなり得ます。

また、重篤化したいびきを放っておくと、前述の睡眠時無呼吸症候群などにも繋がりかねないです。

いびきと鼻炎の解消法

ここからは、鼻炎の解消方法や家庭でできる対策について見ていきます。手術の種類や費用についても調べていますので、参考にしてみてください。

3-1.鼻炎を解消すればいびきもなくなる?

これまで取り上げてきたように、いびきが起こる直接の原因は気道が狭くなることに由来します。従って、気道が狭くなる原因のひとつである鼻づまりを解消することで、いびきが改善される可能性もあるのです。

ただし、鼻づまりや鼻炎だけを解消したからといって、完璧にいびきをかかなくなるというわけではないことを念頭に置いてください。いびきにはいくつかの原因があるため、あくまで原因の一つと考えられるものを改善する、ということが重要です。

それでは、個人でできる鼻づまり解消法にはどのようなものがあるでしょうか?

3-2.鼻づまり解消法

鼻づまり解消法には、市販の点鼻薬に加え、口呼吸を抑えるテープや、鼻に挿し込むチューブなどを利用する方法があります。

3-2-1.市販の点鼻薬を利用する

スプレータイプのものが一般的に使用されています。点鼻薬の成分には血管収縮剤が含まれているものが多く、こうした点鼻薬は使用後数分で効き始めるという即効性が特徴です。血管収縮剤は、鼻の粘膜内部にある「海綿状静脈洞」という静脈が密集した部分に作用します。

ただ注意してほしいのは、点鼻薬にも副作用の危険性があるということです。

血管収縮剤が含まれた点鼻薬を長期間使用し続けることで、海綿状静脈洞が硬化するなどの悪影響があり、点鼻薬の使用を止めると逆に鼻づまりが強くなるリスクがあり、これを薬剤性鼻炎といいます。

目安として、血管収縮剤入りの点鼻薬を使用する場合は1日2回程度、かつ使用を止めると鼻づまりが悪化する場合は利用を中止し、専門医の指示に従ってください。 

3-2-2.口にテープを貼る

口呼吸の対策として、直接口にテープを貼ることで、鼻呼吸だけができる状態にして就寝するという方法もあります。使い捨てタイプのテープが薬局やインターネットで市販されており、中には1000円以下で購入できるものもありますが、鼻づまりの症状の度合いによっては注意が必要です。

3-2-3.鼻チューブ

鼻にシリコン製チューブを挿し込み、通りをよくすることによっていびきを防止するグッズがあります。中には高い効果が期待できるものもありますが、医療機関の指示書が必要なものもあるようです。

3-3.病院での治療について

症状が長引く、もしくは音で家族が迷惑しているなどの理由がある場合、専門医(耳鼻科)の診察を受けることも検討しましょう。

前述の扁桃肥厚・アデノイド肥大などは直接いびきの原因となっている場合があります。

3-3-1.鼻粘膜焼灼術

鼻粘膜焼灼術とは、文字通り下鼻甲介の腫れてしまった粘膜を、ラジオ波や高周波などで焼き切る手術のことです。アレルギー物質を感知する下鼻甲介部分の粘膜を直接焼灼することで、鼻づまりを解消させる効果が期待できます。

麻酔薬を含んだガーゼを鼻の奥に押し込んで麻酔し、それから電気メスで焼灼する、というのが手術の流れです。手術自体は一日で終わるのでその日のうちに帰れる、いわゆる「日帰り手術」となります。手術費用は病院にもよりますが、8000円~1万円程度で受けられる病院が多いようです。

ただし、一回で手術が完了するわけではなく、何度かに分けた処置が必要となります。また、あくまで鼻の粘膜を焼灼することで鼻炎を抑えるという目的のため、個人差はありますが手術後数ヶ月で鼻づまりが再発することもあるようです。

3-3-2.後鼻神経切断術

後鼻神経切断術とは、慢性鼻炎などのアレルギー改善を目的として、鼻の奥にある副交感神経を切断する手術です。アレルギー性鼻炎では過敏すぎる副交感神経が鼻汁や鼻づまりの原因となるので、その元を断とうという考え方となります。

こちらも、殆どの病院では、手術が1日で完了する「日帰り手術」です。費用は病院によって前後しますが、概ね8万円前後となります。

3-3-3.鼻茸(鼻ポリープ)切除

鼻茸をハサミや電気メスで切除、ワイヤーで絞断することで気道を確保し、鼻の通りをよくする手術で、日帰り手術となるところが多いです。費用は概ね5000円~1万5000円程度となります。

まとめ

いかがでしたか? 鼻炎といびきの原因、関係とその対策についてお分かりいただけたでしょうか。

病院での手術となる場合、ある程度の費用がかかりますが、専門家による根本的な治療となるため症状が改善する場合が多いといえます。症状と相談し、最適な方法を選択しましょう。