ぎっくり腰でお悩みの方必見!原因と予防方法を知り改善しよう

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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突然、ちょっとした動作がきっかけで腰に激痛が走り、歩くことも動くこともできない……「ぎっくり腰」はつらいものですよね。通常、ぎっくり腰は数日間安静にしていれば、痛みも引き歩けるようになります。けれども、忘れたころに再発することも多くやっかいな病気なのです。ぎっくり腰を繰り返さないためには、予防が大切になります。そこで、ぎっくり腰の基礎知識・原因・予防方法などをご紹介しましょう。

この記事を読んでいただければ、ぎっくり腰のお悩み解決方法がおわかりいただけます。ぜひ、お役立てください。

01. ぎっくり腰の基礎知識

ぎっくり腰の予防方法を知るためにも、まずは「ぎっくり腰とは?」という基礎知識を学びましょう。

1-1.ぎっくり腰とは

ひとくちに「腰痛」といっても、さまざまな種類があります。その中でも、一般的になじみが深いのが「ぎっくり腰」でしょう。でも、名前がメジャーな割には、「具体的な症状や原因などははっきり知らない」という人も少なくありません。

「ぎっくり腰」は通称で、正式名は「急性腰痛症」といいます。重い荷物を持ち上げようとしたときに、突然「ギクッ」となり動けなくなる……というイメージを抱いている人は多いでしょう。けれども、実はくしゃみやせきをした瞬間、落とし物を拾おうとした瞬間など、日常の何気ない動作で発症することもあるので注意してください。

1-2.ぎっくり腰の主な原因

ぎっくり腰の主な原因は、以下の2つです。

  1. 腰の筋肉に負担がかかっている状態が続いている
  2. 急激に腰に負担がかかった

具体的にはどのような状態なのかは、後の項で詳しくご紹介しましょう。

1-3.ぎっくり腰の主な症状

ぎっくり腰は、西洋では「魔女の一撃」と呼ばれるほど、腰に激しい痛みが走る症状です。痛みの状態は3つに分類できます。

  • 腰に痛みはあるけれども何とか歩ける
  • 人に支えてもらうか、壁や手すりなどで体を支えながらなら少しずつ歩ける
  • 動くのは困難で立ち上がることもできない

症状の重さにもよりますが、急性の場合、2〜3日(長い場合は1週間ほど)安静にしていれば徐々に痛みは軽くなります。

1-4.ぎっくり腰のこわい点

ぎっくり腰を「たかが腰痛だから」とあなどってはいけません。以下のような可能性もあるのです。

1-4-1.なりやすくなる

ぎっくり腰は、1回なると何度も繰り返すことが多くなります。というのも、一時的に治って痛みが消えると「元のぎっくり腰になりやすい生活に戻る」からなのです。

また、腰痛を恐れるばかりに運動をしなくなり、腰を支える筋肉がおとろえてぎっくり腰が再発しやすくなることもあります。さらに、仕事が忙しいなどの理由で無理をして働き続けると、再発するだけではなく慢性的な腰痛になることもあるのです。

1-4-2.病気が隠れている可能性も

腰の痛みを湿布や鎮痛剤などでごまかし、病院にい家内で放置している人も少なくありません。けれども、腰痛の陰には病気がひそんでいることもあるのです。

腰痛を引き起こす病気には、尿路結石・子宮内膜症・子宮がん・十二指腸潰瘍・肝炎・腎盂(じんう)腎炎・すい炎・すい臓がんなどがあります。

  • 常に腰が痛い
  • どんな姿勢をとっても痛みが軽くならない
  • 腰を丸くして安静にしていても痛みが増す
  • 腰の痛みとともに熱があったり冷や汗が出たりする
  • 下半身にしびれがある
  • 足に力が入らない
  • 排尿や排便に異常がある

上記の症状がある場合は、内科や整形外科の受診をおすすめします。

02. ぎっくり腰の原因について

「1-2.ぎっくり腰の主な原因」で、2つの原因をご紹介しましたが、具体的にはどのようなことなのか見ていきましょう。

2-1.どんなときになりやすいか

2-1-1.腰の筋肉に負担がかかっている状態

  • 長時間の立ち仕事や座り仕事が続いている

  • 重い荷物を持って歩く・運ぶことが多い

  • 仕事や家事などで、中腰の姿勢が多い

  • 猫背など日常的に姿勢が悪い
  • 筋肉疲労や背骨のゆがみがある

2-1-2.急激に腰に負担がかかった

  • 腕の力だけで重い荷物を持ち上げようとした

  • 座ったまま手だけを伸ばしてものを持ち上げようとした

  • 拾いものをしようとして急に前かがみになった
  • 大きなくしゃみをして体が前屈姿勢になった
  • 階段を上っている(下っている)途中になった
  • 転んで腰を打った

2-1-3.ストレスや疲労、生活習慣

仕事で休みが取れず体に疲労がたまっている状態や、運動不足で肥満気味の人はぎっくり腰になることが多いようです。また、ストレスが多い人も腰痛持ちの人が少なくありません。ストレスで自律神経のバランスがくずれ、血行が悪くなったり腰周辺の筋肉が緊張したりすることが原因だといわれています。

2-2.ぎっくり腰になりやすい人

ぎっくり腰はどのような人がなりやすいのでしょうか。

2-2-1.腰の筋肉が疲労して常に「こり」を感じている人

  • 1日中長時間デスクワークで座りっぱなしの人や立ち仕事の人
  • 1日中重い荷物を運ぶ仕事の人
  • 中腰の作業が多い人
  • 体が硬くて柔軟体操が苦手な人

2-2-2.下半身の血行不良を引き起こす生活をしている人

  • 慢性的な冷え性
  • 過度にお酒を飲んだりタバコを吸ったりしている人
  • 運動をしない人
  • 日常的にほとんど歩かない人
  • 常にどちらかの足を組んでいる人
  • 猫背で姿勢が悪い人

2-2-3.腰痛を引き起こしやすい生活習慣の人

  • 外食が多く栄養のバランスがくずれている
  • 常に高いヒールを履いている人
  • 柔らかいベッドや布団に寝ている
  • 寝るときに横向きで寝ている

2-2-4.そのほか

  • 妊娠中でおなかが大きい女性
  • 育児中で赤ちゃんを抱っこする時間が長い女性
  • 筋肉や骨がおとろえている高齢者

また、腰痛は女性のほうが多いといわれています。妊娠や出産で骨盤がゆがみやすい、ハイヒールを履くことが多い、家事や育児など腰に負担がかかる作業が多いなども理由として挙げられるでしょう。男性と比較すると、筋力が弱いことも原因です。その反面、男性は筋肉が多く腰痛を感じづらいために、多少痛みがあってもがまんする傾向にあります。重症化することも多いので注意が必要です。

2-3.再発について

「1-4-1.なりやすくなる」でもご紹介したように、ぎっくり腰は再発しやすい病気です。なった瞬間は激痛で苦しみますが、2〜3日もすると痛みも引くのでつい安心してしまいます。けれども、ぎっくり腰になりやすい生活習慣を改めないと再発してしまうでしょう。ぎっくり腰を繰り返さないためは、普段から予防に心がけることが大切です。

03. ぎっくり腰にならないための予防法

ぎっくり腰の予防法には、どのようなものがあるのでしょうか。

3-1.重要なのは

ぎっくり腰は、湿布や鎮痛剤で痛みを取っただけでは治ったことにはなりません。一時的には楽になりますが、根本的な原因を取りのぞかないと繰り返してしまうのです。重要なのは、前項でも挙げたように「ぎっくり腰になりやすい生活習慣」を改善することになります。

3-2.予防法について

ぎっくり腰を予防する方法をご紹介しましょう。

3-2-1.自宅でできる簡単な呼吸運動

ぎっくり腰を予防するためには、腰を支える筋肉の力をアップすることが大切です。腰への負担が少ない方法で腹筋・背筋を鍛えましょう。

  1. あお向けに寝てひざを立てます。
  2. おなかに手を当て、息を吐きながらおなかをへこませます。(10秒ほど)
  3. 次は、同じ姿勢で息を吸いながらおなかをふくらませます。(10秒ほど)
  4. 息を吸う・吐くを3〜5セット繰り返してください。

3-2-2.ジムでできる運動

腰への負担がないように足腰の筋肉をきたえるには、アクアサイズ(水中運動)がぴったりです。水泳や水中ウォーキング、アクアビクスなど自分に合った方法を取り入れてください。また、ジムが通いやすい場所にない・時間がないという人は、手軽にできるウォーキングもおすすめです。大またで速く歩くと腰に負担がかかるので、小またで早歩きをするようにしてください。

3-2-3.コルセット

腰に負担がかかりそうなとき・重い荷物を運ぶとき・腰に痛みや違和感があるとき、などはぎっくり腰予防のためにコルセットを着用するのもおすすめです。コルセットはドラッグストアや通販などで購入できます。ただし、慢性的に腰痛を感じている人は整形外科を受診して、自分に合ったコルセットの位置や巻き方を教わってから購入するほうがいいでしょう。

3-3.日常で気をつけること

ぎっくり腰を予防するには、日常生活でも気をつけたいことがたくさんあります。

3-3-1.正しい座り方

椅子に座るときには、背当てに腰がつくように直角に深くかけましょう。あごは軽く引いて首には余計な力を入れないようにしてください。椅子の高さは、足の裏がぴったり床に着くように調節しましょう。ひざの角度は直角になるようにします。また、足を組むくせがある人は直すように気をつけてください。

3-3-2.ひざを曲げるくせ

床に落ちたものを拾うとき、床にあるものを持ち上げるときは、「ひざを伸ばしたまま」だとぎっくり腰になりやすいものです。必ず、「ひざを曲げる」くせをつけるようにしましょう。また、洗面台で顔を洗うときには、腰だけを曲げすにひざも曲げて腰への負担を軽くしてください。

3-3-3.靴には中敷きを

ぎっくり腰を予防するためには、歩きやすいウォーキングシューズなどが最適です。けれども、仕事で毎日革靴などを履かなくてはならない人は、クッション性がある中敷きを入れましょう。

3-3-4.急な動きをしない

急に伸びをしたり腰をひねったりしないようにしましょう。常にゆっくりとした動作を心がけるようにしてください。朝起きるときも、急に体を動かさずに、腰を丸めた体勢をとったりゆっくり伸びをしたりして少しずつ起きるようにしましょう。

3-3-5.正しい歩き方をする

  1. おへその下に力を入れ、「頭のてっぺんから糸でつられているような気持ち」で立ちます。

  2. そのまま、おへそを前のほうに移動させるイメージで歩きます。
  3. 軽くあごを引いて目線は前を向き、手足に力を入れずに自然に振ってください。
  4. 姿勢を正そうとして胸を張りすぎると、逆に腰を痛めるので気をつけましょう。

3-4.やってはいけないこと・注意点

ぎっくり腰は治ったと安心していると、ある日突然再発することも少なくありません。前項でご紹介した方法で予防に努めるとともに、NG行為をしないようにしましょう。

3-4-1.コルセットに頼りすぎない

ぎっくり腰予防に使うコルセットは、痛みのあるときだけ使用してください。長期間コルセットに頼ってしまうと、腰周辺の腹筋・背筋がおとろえてしまいます。

3-4-2.マッサージはしない

ぎっくり腰になって痛みがある状態のときは、マッサージをしないようにしましょう。悪化する可能性があります。まずは整形外科を受診して、症状に合った治療を受けてください。

3-4-3.過激なダイエットはNG

運動不足で肥満気味の人にとって、過激な「食べないダイエット」は危険です。極端に食事を減らすと体重はすぐに減るでしょう。けれども、落ちるのは「水分」と「筋肉」だけです。ぎっくり腰予防のためには、腹筋や背筋をしっかり鍛えることが重要になります。そのためには、低脂肪・高たんぱく質で栄養のバランスがいい食事をすることが重要です。そして、筋肉を強化しつつ徐々に「脂肪」を落とすようにしてください。

3-4-4.疲労やストレスをためない

長時間のデスクワークや立ち仕事、作業台に中腰で向かう仕事など、腰に負担がかかる仕事をしている人は、腰に疲労をためないように気をつけましょう。こまめに休憩する・足腰のストレッチをする・作業中だけコルセットをつけるなど気を配ってください。

04. ぎっくり腰の予防〜よくある質問〜

ぎっくり腰や予防方法についてよくある質問をご紹介しましょう。

Q.ぎっくり腰になったときには、どのような湿布を選べばいいでしょうか。
A.ぎっくり腰になった直後は、腰を支えている組織が炎症を起こしている可能性があるので温めてはいけません。痛みが消えるまでは、柔らかく水分の多い「パップ剤の冷湿布」を貼ってください。痛みがないけれども、腰に重さが残るという場合は水分の少ないプラスター剤(テープ剤)に変えてもいいでしょう。また、日常的に痛みはないけれども腰が疲れているという場合は、温湿布のほうがおすすめになります。

Q.デスクワークなので腰痛が悩みです。ぎっくり腰にならないようにするにはどうしたらいいでしょうか。
A.「3-3.日常で気をつけること」でご紹介した方法の中で、取り入れやすいことを行いましょう。仕事中でも30分〜1時間に1度は立ち上がって、ストレッチをしたり歩いたりして体を動かすことが大切です。

Q.ぎっくり腰再発を予防するために、服装で気をつけることはありますか。
A.腰痛を引き起こしやすい服装は、「きゅうくつ」「自然な動きができない」「体を冷やす 」などです。体の血流がおとろえ腰痛の原因にもつながります。きゅうくつなスキニージーンズやタイトスカート、きついタイツやベルト、補正下着などはできるだけ避けましょう。また、おなかや腰、下半身を冷やすローライズやミニスカート、薄着もNGです。

Q.ぎっくり腰や腰痛の改善が期待できる栄養素を教えてください。
A.以下の栄養素を含む食材は積極的に食べましょう。

  • ビタミンB1:肉体疲労を回復する効果があり、筋肉や末梢(まっしょう)神経に必要なエネルギーを作る。豆腐・玄米・豚肉・ウナギなど
  • ビタミンE:血行を改善して疲労物資を体外に運び出す働きがある。ほうれん草・ゴマ・ナッツ類・かぼちゃ・豆腐など
  • ビタミンD:骨や歯の育成によい働きがある。さけ・さんま・マグロなど
  • コンドロイチン:軟骨が加齢ともにすり減るのを抑制する働きがある。納豆・山芋・オクラ・なめこなど

Q.腰痛を予防したり改善したりするには「腹式呼吸」がいいと聞きました。毎日続けられるコツを教えてください。
A.腹式呼吸を行うと、腹腔(ふくこう)内圧が上がり腹筋を強化できるので腰痛予防には最適です。また、冷え性の予防や自律神経を整える働きもあるので腰痛改善にはぴったりでしょう

  1. 目を閉じ、丹田(たんでん/おへその下)に片手を起きます
  2. おなかを引っ込ませるように意識しつつ口から息を吐き出す
  3. 丹田を意識しながら、おなかをふくらませて鼻から息を吸い込む
  4. おなかの中のものをすべて吐き出すような感じで、おなかがへこむまで息を吐き切る

常に丹田を意識しながら行うのがコツです。姿勢を正して1日10分くらいを行ってください。仕事中や電車に乗っている間、テレビを見ながら、お風呂の中などこまめに何度も行うようにくせをつけましょう。

05. まとめ

いかがでしたでしょうか。ぎっくり腰の原因や予防方法などがおわかりいただけたかと思います。ぎっくり腰は、なったときは痛いのですが数日で痛みが引くのでつい無理をしがちです。再発しないように日常生活で注意をしないと、何度も繰り返し慢性化する恐れもあります。生活習慣の改善・適度な運動・栄養バランスのいい食事などに気をつけて予防に努めてくださいね。