多発性硬化症の症状を改善

多発性硬化症の症状を改善したい! 原因・治療法について徹底紹介

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MSと呼ばれている多発性硬化症は、脳・脊髄(せきずい)・視神経のあちこちに病巣ができ、再発をくり返す病気です。症状が治まってきたかと思えば、すぐに悪化するなどをくり返すため、少々やっかいな病気といえます。病気になると、目の奥に痛みを感じる・目が揺れる・顔の感覚が麻痺するなどの症状が起こるのです。病気を改善するためには、原因や特徴などを把握しておかなければなりません。

そこで本記事では、多発性硬化症の基礎知識や原因・検査・治療法について説明します。

  1. 多発性硬化症の基礎知識
  2. 多発性硬化症の原因
  3. 多発性硬化症の検査
  4. 多発性硬化症の治療法
  5. 多発性硬化症に関してよくある質問

この記事を読むことで、多発性硬化症の基礎知識を身につけ、原因を知ることができます。治療したい方や症状が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

1.多発性硬化症の基礎知識

多発性硬化症(MS)を改善するためには、どんな病気か知識を深めておかなければなりません。主な症状や種類、なりやすい人・患者数、最近の傾向について説明します。

1-1.どんな病気か

多発性硬化症は、中枢神経系の脱髄(だつずい)疾患の1つです。脱髄とは、神経線維をおおっている髄鞘(ずいしょう)が何らかの原因で脱落・変性することを指しています。人間の神経活動は、神経細胞から出る神経の線を伝わる電気活動によって行われているのです。神経の線は髄鞘(ずいしょう)というものでおおわれており、電気のショートを防ぐ絶縁体のような役割を担っています。しかし、この髄鞘(ずいしょう)が壊れて、神経の線がむき出しになるのが、多発性硬化症の引き金です。多発性軟化症は、再発をくり返す特徴があります。

1-2.主な症状

多発性硬化症の症状は、脱髄病巣の部位によってさまざまです。主な症状としては、感覚の障害・運動や歩行の障害・脳の障害・排尿排便や性機能の障害・精神的な症状があります。それぞれの症状について、以下にまとめてみました。

  • 感覚の障害:痛みや温度の感覚がにぶくなる・しびれ感やひりひり感がある
  • 運動や歩行の障害:手足に力が入りにくい・ふらついて歩きにくい
  • 脳の障害:視力が急に低下する・目の奥に痛みがある・視野の中心に見えない部分ができる
  • 排尿排便や性機能の障害:残尿感がある・便秘が続く・勃起(ぼっき)不全になる
  • 精神的な症状:理解力の低下・忘れっぽくなる・うつになる
  • そのほか:顕著な疲れが出る・発熱や運動などで症状が重くなる

1-3.種類

多発性軟化症の種類は、再発寛解型MS・二次進行型MS・一次進行型MSの3種類に区別できます。それぞれの特徴を以下にまとめましたので、ぜひチェックしてください。」

  • 再発寛解型MS:急に症状が現れる。再発と再発の間では寛解しており、症状の進行は見られない。二次進行型MSに移行するまで10~20年かかる
  • 二次進行型MS:再発寛解型MSの後、少しずつ症状が進行していく
  • 一次進行型MS:再発寛解の時期がなく、初期から症状が進行していく

ほかにも、多彩な症状が2~3週間出現し、数か月のうちに寛解を見ることなく死に至る「急性(劇症型)MSがあります。

1-4.なりやすい人・患者数について

多発性硬化症は、20~30代の女性に多い特徴があります。中高年や高齢者よりも若年成人に発病することが多く、男女比は1:2ほどです。遺伝子の関与が分かっていますが、環境や外的な要因・食生活も関係しています。また、日照時間や紫外線量が少ない・ビタミンDの摂取量が少ない人も発症しやすいといわれているのです。さらに、患者数は全世界で約230万人、日本では約1万4,000人となります。

1-5.最近の傾向

最近、多発性硬化症にかかる人が増加してきました。女性は、近年の環境変化によるMS疾患感受性増加の影響を受けやすいといわれているため、今後も女性の患者数が増えると考えられています。再発をくり返す病気だからこそ、研究もすすんでおり、再発・新規病巣の出現を抑制できる疾患修飾薬が次々と開発されているようです。

20~30代の女性に発症しやすい病気なんですね。
はい。ただし、男性だから、高齢だからかからないわけではありません。

2.多発性硬化症の原因

多発性硬化症の主な原因や関連する病気・放置の危険性・病気の経過について説明します。

2-1.主な原因について

多発性硬化症の原因は、いまだハッキリとしていませんが、「自己免疫」が関係していると考えられています。ウイルスや細菌が体内に入ると、私たちの体にある免疫細胞が働き、外に出そうとするのです。しかし、免疫系が過剰に反応してしまい、自分の脳や脊髄(せきずい)を攻撃してしまいます。それが、自己免疫疾患であり、髄鞘(ずいしょう)が傷つくことで麻痺などの神経症状が出てくるでしょう。自己免疫の原因は、遺伝的な因子が関与していると考えられています。また、EBウイルスなどの感染も原因の1つです。

2-2.関連する病気

多発性硬化症に関連する病気としては、ギラン・バレー症候群や外傷性くも膜下出血があります。ギラン・バレー症候群は、急性・多発性の根神経炎の1つです。筋肉を動かす運動神経の障害が起き、四肢に力が入らなくなります。外傷性くも膜下出血は、ケガを原因とした脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の破裂です。

2-3.放置するとどうなるか

多発性硬化症を放置すると、どんどん症状が悪化します。再発をくり返すことが特徴であり、症状がやわらいだとしても、再び悪化する状態をくり返すのです。中には、再発したときから少しずつ進行するタイプもあり、永遠と付き合っていかなければならなくなります。ほとんどの場合は、再発を何度もくり返しながら増悪(ぞうあく)することが多いのです。ひどくならないうちに、治療を始めなければなりません。

2-4.病気の経過について

体質や症状によって異なりますが、ほとんどの方が急性に症状が出現しています。最初は、しびれ感や感覚低下・手足の脱力・飲みこみにくさ・視力低下・排尿障害などが現れるでしょう。そして、症状が改善したり悪化したりと、再発と寛解をくり返します。症状や病気の経過は、人それぞれ異なるため、注意しておかなければなりません。

多発性硬化症はまだ原因がはっきりと分からないんですね。
はい。自然に症状が軽くなることもありますが、放置していると再発をくり返しながら悪化していく可能性があります。

3.多発性硬化症の検査

多発性硬化症の症状を改善するためには、検査方法を知る必要があります。受診すべき症状や診療科・病院での検査方法・注意点についてチェックしておきましょう。

3-1.受診すべき症状

多発性硬化症とおぼしき症状が現れたときは、すぐに受診してください。特に、手足のしびれやものが二重に見える・目が揺れる・顔の感覚や運動の麻痺などは、脳幹部に障害が起きている証です。脳障害を放置していると、後遺症になる可能性が高まるので早めの受診をおすすめします。日常生活に少しでも異変を感じた場合は、病院に行ったほうが良いでしょう。

3-2.何科へ受診するか

さまざまな症状が出現する多発性硬化症は、どの診療科を受診すべきか悩むものです。多発性硬化症は、中枢性脱髄疾患となるため、専門の神経内科を受診してください。神経内科以外の診療科を受診しても、きちんと検査をして病気の可能性があれば、神経内科を紹介してくれます。診察を受けるときは、現れている症状を具体的に説明してくださいね。

3-3.病院での検査方法

主な検査方法は、核磁気共鳴画像(MRI)・髄液検査・神経生理検査の3つです。この中でも、最も重要となるのがMRIとなり、早期診断の可能性が高まります。MRI検査を受けると、MSの病巣がフレア画像やT2強調画像で白く映るのが特徴です。また、髄液検査では、脳や脊髄(せきずい)の病変・異常を判定することができます。局所麻酔をして、背中から第3・4腰椎の間に針を刺し入れ、膜下腔(まくかくう)の中にある髄液を採取する方法です。そして、神経生理検査は、視覚誘発電位・体性感覚誘発電位・運動誘発電位を用いて、MRIで描出されない潜在性病変の検出ができます。

3-4.そのほかの検査方法

ほかにも、神経学的検査という方法があります。神経学的検査は、医師が直接診察するもので、視力・運動・感覚・歩行障害などの有無程度を確認する方法です。神経学的検査を行うことで、病巣の場所や広がりが分かり、時期を変えて検査しながら病気の経過・治療効果の判定もできます。複数の検査方法から得た診断を組み合わせて、MSが判定されるのです。

神経内科で治療や検査が受けられるんですね。
はい。内科にかかりつけ医がある場合は、まず内科を受診し、神経内科に紹介状を書いてもらってもいいでしょう。

4.多発性硬化症の治療法

それでは、多発性硬化症の治療法とは、一体どのような内容になるのでしょうか。

4-1.主な治療法について

症状が悪化する再発時や増悪期には、副腎皮質ホルモン(ステロイド薬)を使用します。一般的に、500~1,000mg程度のステロイドを2~3時間かけて点滴する治療が主流です。大量投与するパルス療法もありますが、その際は安静が大きなポイントになります。また、再発予防や長期予後を改善することが目的の場合は、インターフェロンベータを投与するでしょう。しかし、インターフェロンベータを用いる際は、1日置きの皮下注射か、または毎週の筋肉注射を長年続けて行わなければなりません。治療を始める前に、医師と相談して治療方針を決めてください。

4-2.薬について

多発性硬化症の症状によって、用いる薬が異なります。寛解期は、MSの再発・進行抑制に使う薬と、MSの症状をやわらげる薬です。MSの再発・進行抑制には、飲み薬・注射剤・点滴剤を用いることが多く、インターフェロンベータやペプチド医薬品などを使います。MSの症状をやわらげる薬は、現れている症状に適した種類を処方されるでしょう。一方、症状が出ている再発期は、ステロイド剤や血液中に含まれるMSの関与物質を取りのぞく薬を使います。

4-3.注意点

多発性硬化症は、人によって現れる症状が異なります。そのため、きちんと症状に合った薬を使った治療法を受けなければなりません。症状や時期に適していない薬を服用すれば、逆に悪化するなどの副作用が起きる可能性があります。治療を受ける前に、きちんと医師からの説明を受けて納得してください。分からないことや不安なことがあれば、確認することが大切です。

多発性硬化症の治療は投薬治療が一般的なんですね。
はい。ただし、人によって症状や治療法に差があることもあります。よく主治医と相談しましょう。

5.多発性硬化症に関してよくある質問

多発性硬化症に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.多発性硬化症になると、脳はどうなるのか?
A.脳の容量が減少する、脳萎縮が起こります。脳萎縮が進行すると、集中力・理解力・記憶量の低下など認知機能障害が起きるので注意が必要です。認知機能障害にならないためには、早期診療・治療が大切になります。

Q.いつから治療を始めるべきか?
A.ほとんどの多発性硬化症は、再発と寛解をくり返す傾向があります。そのため、多発性硬化症を放置するほどに、体の機能障害が進行・悪化するものです。今以上に症状を悪化させないためにも、早いうちから治療を始めてください。「自然と症状がやわらぐから放っておこう」と考えてはいけませんよ。

Q.特定疾患とは?
A.特定疾患とは、厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の臨床研究分野対象に指定された疾患のことです。多発性硬化症は、この特定疾患に認定されています。難病の中でも、積極的に研究を推進する必要のある疾患になっているのです。

Q.日常生活で注意すべきことは?
A.多発性硬化症は、日常生活の要因も関係しています。たとえば、過労・ストレス・感染などです。不規則な日常生活を送っている人ほど、ウイルスや細菌をやっつける免疫細胞がうまく働かずに、感染しやすい状況となります。不規則な生活を送っている方は、正してください。

Q.精神状態は関係するのか?
A.ストレスなどの心理・精神状態は、病気に強く関係しているといわれています。多発性硬化症の症状にも、うつなどの精神疾患に見られる内容があるのでリラックスを心がけることが大切です。

まとめ

多発性硬化症は、MS(multiple sclerosis)と呼ばれており、 中枢神経系の脱髄疾患の1つです。さまざまな部位に症状が現れたかと思えば、症状が治まり、再び悪化するという流れをくり返す特徴があります。完治が難しいといわれているため、長期治療をしながら、症状をやわらげることを目的とした治療法になるでしょう。人によって症状が異なるため、経過や状態に合わせた治療内容を受けなければなりません。きちんと専門医療機関で診察を受けてから、治療を始めてくださいね。あらかじめ、多発性硬化症の基礎知識を身につけておけば、適切な治療で症状をやわらげることができます。