膝に水が溜まる

膝に水が溜まるとはどういうこと? 原因や治療法と共に紹介します。

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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膝に水が溜まってつらい、何度も水を抜く治療をくり返しているが一向に改善せずに悩んでいる…このような悩みを抱えている方はたくさんいます。膝にたまる水の正体は関節液と呼ばれる体液の一種です。関節液は本来、膝関節をスムーズに動かすためのものですが、それが増えすぎるとかえって膝に悪影響を及ぼします。

そこで今回は、膝に水が溜まる原因や対処法をご紹介しましょう。

膝に水が溜まる原因を知っていれば、予防対策を取ることもできます。膝に何度も水が溜まってつらいという方や、膝に水が溜まらないように予防対策をしたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

膝に水が溜まる原因とメカニズム

はじめに、膝に水が溜まる原因やメカニズムをご紹介します。なぜ、関節液が増えるのでしょうか?

1-1.膝に溜まる水の正体は?

は、私たちの体の中で最もよく動かす関節の一つです。膝の関節は、大腿骨(だいたいこつ)・脛骨(けいこつ)・膝蓋骨(しつがいこつ)という3つの骨を筋肉や腱が繋ぐことで成り立っています。この骨と骨との間に満ちているのが関節液です。関節液は骨の先についている軟骨に栄養を与えたり、関節にかかる圧力を分散したり、関節の動きをスムーズにする役割を担っています。

通常、この関節液は一定の量に保たれていますが、何らかの原因で過剰に分泌されて体内への吸収が追い付かなくなることもあるのです。すると、膝が腫れあがったり痛みが出たりします。なお、膝にケガをすると関節液ではなく血液がたまるケースもあるのです。

膝に水が溜まる原因

2-1.加齢

年を取るにつれて、膝の骨の先端についている軟骨がすり減っていきます。軟骨は自己回復能力がありますが、年と共にそれも衰えてくるのです。すると硬い骨同士がぶつかりやすくなり、その時に生じる骨のかけらが関節を包んでいる関節包という幕を刺激し、炎症が起きます。炎症が起きると関節液は過剰に分泌されるのです。

2-2.関節の損傷

半月板損傷や膝のはく離骨折などが起こると、やはり関節内に骨のかけらなどが飛び散ります。するとこれらが関節包を傷つけて炎症が起こり、水が溜まりやすくなるのです。膝は体中の関節の中でも酷使しやすく、特にスポーツをしている方にとっては膝関節のトラブルは珍しいことではありません。若い年代の方が膝に水が溜まる場合は、ほとんどが外傷による膝関節の損傷によるものです。

2-3.膝関節の病気

加齢により軟骨がすり減ると、変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)という病気を発症しやすくなります。この病気を発症すると膝に水が溜まりやすくなるのです。この他、

  • 関節リウマチ
  • 化膿性関節炎
  • 膝蓋前滑液包炎
  • 痛風

などを発症しても膝関節に炎症が起こりやすくなり、水が溜まることも多くなります。

膝に水が溜まりやすい人とは?

高齢になるほど膝に水が溜まりやすくなります。若い年代の方では、スポーツをしている方や事故などで膝を損傷した人が、膝に水が溜まりやすいでしょう。

なお、前述した関節リウマチはほぼ女性だけが発症する病気であり、痛風は患者のほとんどが男性の病気です。関節リウマチと通風を比べた場合、関節リウマチの方が関節が炎症を起こすことが多いので、女性の方が膝に水が溜まる症状に悩まされやすくなります。

膝に水が溜まっているかどうか調べる方法

膝の上部に片方の手を置き、膝蓋骨(膝のお皿)をすねの方向へ向かって軽く押さえます。そして、もう片方の手で膝蓋骨を上から同じように軽く押さえてください。何かが入っているような異物感があれば、水や血液などが溜まっている可能性があります。

ただし、素人判断は禁物です。痛みがなくても膝に違和感があったり膝が腫れたような感じがする場合は、病院を受診しましょう。

膝に水が溜まったときの対処法

この項では、膝に水が溜まったときの対処法をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

5-1.安静にする

に水が溜まると強い痛みを感じることもあります。膝に溜まった水を抜けば一時痛みは解消しますが、ここで無理をすると炎症が悪化してしまうのです。ですから、炎症が治まるまで安静第一に過ごしましょう。運動はお休みし、長期間の歩行も避けてください。膝サポーターなどをつけると、膝関節の負担軽減に効果的です。

5-2.冷やす

膝の炎症は冷やすことで軽減します。溜まっている水が少量の場合は、冷やすだけでも水がなくなることもあるでしょう。ただし、粘着性の保冷シートのようなものを膝に貼り付けて、ずっと冷やし続けてはいけません。1回につき10分~15分を目安とし、1日3回~5回冷やし続けてください。

5-3.市販の湿布薬などを乱用しない

に水が溜まるということは、膝関節が炎症を起こしている証です。ですから、炎症を抑えなければ根本的な治療にはなりません。市販の湿布薬や痛み止めを使って一時痛みを抑えても、効果が切れればまた膝は痛みだします。膝の痛みがずっと治まらない場合は、必ず病院を受診してください。

膝に水が溜まった場合の治療法

この項では、膝に水が溜まった場合の治療法をご紹介します。何科で治療を受ければよいのでしょうか?

6-1.受診する診療科

膝の炎症由来で関節に水が溜まっている場合は、整形外科で治療を行います。外傷の場合も同様です。関節リウマチや痛風の場合は、検査をして原因が分かった時点で治療ができる診療科を紹介してくれます。ですから、膝に水が溜まっている感じがしたり膝に痛みを感じたりしている時は、まず整形外科を受診しましょう。

6-2.検査と治療方法

に水が溜まっているとはっきりと分かった場合は、まず水を抜いて原因を調べます。関節液の状態を見れば、なぜ水が溜まったのかが分かるのです。膝に強い痛みを感じる場合は、水を抜いて痛みを抑えます。それから、水が溜まる原因となった病気やケガの治療を行うのです。

6-3.水を抜き過ぎるとくせになるって本当?

にたまった水を抜きすぎるとくせになる、という意見もあります。膝に水が溜まるのは、関節が炎症を起こしていたり損傷していたりするからであり、水を抜いても原因を治療しなければ、また水が溜まってしまうでしょう。しかし、水を抜くと痛みが治まります。ですから、水を何度も抜くとくせになるというのは間違いです。炎症が完全に収まるまで、複数回水を抜いても問題はありません。水を抜いて痛みを抑えながら、水が溜まる原因となった炎症や外傷の治療をしていきましょう。

6-4.治療法の種類

に水が溜まる原因となった炎症や外傷の治療は

  • 湿布薬などの薬
  • サポーターなどで膝の負担を抑え自然治癒を待つ
  • 手術を行う

といった方法があります。どの治療を選ぶかは医師とよく相談して決めてください。

6-5.再発を防ぐ方法

膝の炎症は、完治までに時間がかかることもあります。痛みが治まったからといって無理をしてはいけません。医師から完治を告げられるまで安静にしていましょう。

なお、加齢が原因で膝に炎症が起こった場合は、常時サポーターをつけたりするなど膝関節に負担がかからない生活を心がけてください。膝軟骨を再生するサプリメントなどを摂取するのもおすすめです。 

膝に水が溜まらないようにする方法は?

この項では、膝に水が溜まらないようにする予防法をご紹介します。日常生活では何を気を付ければよいのでしょうか?

7-1.運動をする前後はストレッチをする

運動をする前と後はストレッチをして、筋肉をほぐしましょう。筋肉に柔軟性があれば関節の負担が軽減できます。運動をした後もストレッチをすれば、筋肉痛が防げるでしょう。

7-2.サポーターなどで膝を保護する

加齢による関節の損傷は、どれほど気を付けていても避けられません。ですから、年を取ってきたら膝にサポーターをつけるなどして、関節の負担を減らしましょう。

また、膝を冷やすと筋肉が硬くなって関節の負担が増加します。膝が健康なときは、服装を工夫して膝を冷やさないように心がけてください。

5-3.食生活を見直す

体重が重いほど、膝には負担がかかりやすくなります。肥満と診断されたら食生活を見直してやせる努力をしましょう。特に、中年太りになってしまった場合は、運動だけで痩せるのは困難です。食事制限と運動を組み合わせてダイエットをしてみてください。

膝の水に関するよくある質問

Q.加齢による膝関節の摩耗は避けられないのでしょうか?
A.完全に避けることは難しいですが、摩耗を遅らせることは可能です。軟骨を作るコラーゲンやコンドロイチンなどを含むサプリメントや健康食品を摂取したり、適度な運動をして膝周りの筋肉を鍛えるとよいでしょう。

Q.リウマチや痛風由来の膝関節の炎症はどうやって治療をするのですか?
A.関節性リウマチや痛風の場合は、投薬による治療が基本となります。リウマチも痛風も一度発症したら現在の医学では完治できません。しかし、症状をコントロールすることは可能です。ですから、専門科で定期的に治療を受けてください。なお、関節が変形してしまった場合は人工関節の手術をすすめられることもあります。

Q.スポーツのやりすぎで膝に水が溜まってしまいました。もうスポーツはできないのでしょうか?
A.練習の方法を見直したり、サポーターをつけるなどすれば再開は十分に可能です。医師やトレーナーと相談しながらスポーツを再開していきましょう。

Q.健康食品やサプリメントで膝に溜まった水を軽減したり溜まるのを予防したりすることは可能ですか?
A.予防には一定の効果が期待できますが、軽減することはできません。病院で治療を受けてください。

Q.膝関節の手術を受ける場合は、入院になるのでしょうか?
A.はい、入院をして手術を受けることになるでしょう。その後、理学療法士の指導でリハビリを行っていきます。

おわりに

いかがでしたか? 今回は膝に水が溜まる原因やその対処法をご紹介しました。膝に水が溜まるという症状は、決して珍しいことではありません。しかし、その原因をしっかりと治療しないと再発をくり返すことになります。膝の関節を強く痛めてしまうと歩くことだけでなく座ることも困難になるでしょう。ですから、無理をせず、膝に違和感を覚えたらできる限り早く病院を受診してください。膝をケガした場合も同様です。無理をして動かしていると、状態が悪化してしまいます。まずは安静にして医師の指示に従ってください。