胃腸が弱っている時の原因と対処法

胃腸が弱い方必見! 原因と胃腸が弱っている時の対処法を紹介!

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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胃腸は食べ物を消化・吸収する大切な器官です。胃腸が弱いと食事が楽しめません。また、胃腸が弱っていると便秘や下痢・膨満感・腹痛など様々な症状が出ます。生まれつき胃腸が弱い方もいますが、食生活や生活習慣を改めることで改善が望める胃腸の不調も多いのです。

そこで今回は、胃腸が弱る原因や改善方法をご紹介します。年末年始にかけて食生活が乱れやすくなる方も多いでしょう。こんな時は胃腸も弱りやすいのです。

胃腸が弱った時の対処法や予防法を知っていれば、症状の悪化を防ぐこともできます。胃腸の不調で悩んでいる方や胃腸の弱さを改善したいという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

胃腸が弱っているとどうなる?

はじめに、胃腸が弱っているときに表れやすい症状や胃腸が弱る原因をご紹介します。どのような時に胃腸は弱りやすいのでしょうか?

1-1.胃腸の役割と消化吸収のメカニズム

は口から食道を経由し、入ってきた食べ物を胃酸で吸収されやすいように溶かす役割を担っています。胃酸は大変強力な酸性の液体で、多少の細菌なら溶かしてしまえるほどです。この一連の行為を消化といいます。消化が終わると胃は食べ物を腸へと送り出すのです。

は、胃で溶かされた食べ物から水分や栄養素を吸収する役割を担っています。栄養を吸収しつくされた食べ物の残骸は、大腸で胆汁や老廃物とまじりあって便となり体外へ排出されるのです。

胃腸の働きが滞るようになると、この消化吸収のメカニズムがうまく行かなくなります。その結果胃腸を中心に様々な不調が現れるのです。

1-2.胃腸が弱ると表れやすい症状

何らかの原因で胃腸の働きが鈍くなると、前述したような消化吸収のメカニズムがうまく働かなくなります。すると

  • 食事後の胃のもたれ
  • 食欲不振
  • 便秘
  • 下痢

などの症状が出るのです。また、胃腸の調子が悪くなると胃の中も荒れます。胃酸が胃の皮膚(胃壁)を溶かさないのは、胃壁からでる胃粘液がガードをしているからです。しかし、胃腸の調子が悪くなると胃粘液の量が少なくなって胃壁が胃酸でダメージを受けます。その結果、

  • 空腹時に胃が痛む
  • 吐き気
  • 胃酸の逆流

などの症状が出るのです。これらのような症状に悩まされている方は、胃腸が弱っている可能性があります。

1-3.胃腸の強さ・弱さはどこで決まる?

胃腸の状態は健康と密接な関係があります。生まれた時から食が細く、体が弱いという方は胃腸も弱い傾向にあるのです。小さいころから病気知らずで健康に育ったという方は、胃腸も丈夫というケースが多いでしょう。

しかし、胃腸が丈夫な方も生活習慣や食生活の乱れれば胃腸は弱ります。また、年を重ねるにしたがって胃腸の働きも低下していくのです。そのため、年を取ると脂っこいものが食べられなくなったり食事の量が減ったりします。

1-4.真面目な人ほど胃腸が弱りやすいって本当?

胃腸はストレスの影響を受けやすい臓器です。緊張すると胃が痛くなったり下痢気味になったりした経験のある方もいるでしょう。真面目な人は、何事も完ぺきに行わなければ気がすまないという方も多いのです。そのため、ストレスもたまりやすく胃腸もその影響を受けてしまいます。また、我慢強い方も弱音をはけないのでストレスをためて胃腸を弱らせやすいのです。

1-5.胃腸を弱らせる病気

病気によって胃腸が弱ってしまうこともあります。ここでは代表的なものをいくつか紹介しましょう。

1-5-1.感染症

食中毒やノロウィルス・ロタウィルスによる感染症にかかると胃腸に強く症状が出ます。症状が出なくなっても、胃腸が完全に回復するまでに時間がかかるでしょう。これらのウィルス性感染症は幼児や高齢者が感染すると、特に症状が長引くことがあります。

1-5-2.炎症や潰瘍

胃潰瘍や胃炎・腸炎などを発症しても胃腸が弱ります。これらの病気はストレスが原因でも発症するのです。ストレスを解消することも病気の予防や治癒には大切になります。

1-5-3.悪性腫瘍

早急に治療が必要なのは悪性腫瘍、いわゆるがんです。胃がんはかつて日本人のがんによる死因第1位でした。現在は医療技術の進歩によってがんの中では治りやすくなってはいますが、病気が進行すれば命にかかわります。

中でもスキルス性胃がんは進行が早く、若い年代に発症しやすいがんですので注意が必要です。腸にできる悪性腫瘍、大腸がんは年々患者が増え続けています。

胃腸を弱くする生活習慣は?

この項では、病気以外で胃腸が弱りやすくなる原因をご紹介します。こんな生活をしている方は要注意ですよ。

2-1.ストレスを暴飲暴食で解消している

食欲は睡眠欲・性欲と共に人間の三大欲求といわれています。ですから、食欲が満たされると一時的に満足感が得られるのです。ストレスがたまると思い切り食べて発散をするという方もいるでしょう。しかし、これではストレスで負担がかかった胃腸にさらに負担をかけることになります。

2-2.だらだら食べ

1日中常に何かを食べているという方はいませんか? 常に胃に食べ物がある状態ですと、胃腸は休む暇がなくなります。また、寝る前にお腹いっぱい食べてから布団に入ると睡眠時間中も胃腸は動きっぱなしになるのです。これも胃腸に負担がかかり、弱る原因になります。

2-3.不規則な生活

起床・就寝時間が日によって大きく異なると、それ自体がストレスになります。また、昼夜逆転生活も体にとっては強いストレスになるのです。仕事などでどうしても生活が不規則になってしまうこともありますが、できる限り規則正しい生活をしないと年と共に胃腸はますます弱りやすくなるでしょう。

2-4.便秘

便秘は多くの方が悩んでいる体の不調です。便秘が長期化すると腸に大きな負担がかかります。また、腸内環境も悪化しやすいので胃腸が弱りやすくなるのです。

2-5.食の嗜好

香辛料を多用した料理は胃腸に負担がかかります。揚げ物など油脂をたくさん使った料理も同様です。また、濃いコーヒーや紅茶・緑茶も胃に負担がかかります。辛いものや脂っこいものが好きという方は、胃腸が弱くなりやすいので注意が必要です。

胃腸の状態をセルフチェック

  • 空腹時に胃が痛むことが多い
  • 腹部の張りや胃もたれを感じることが多くなった
  • 食事があまり食べられなくなった
  • 便秘や下痢がひんぱんに起こる
  • 何もないのに吐き気を感じることが増えた
  • 胃酸が逆流してくることがある

このようなことに当てはまる方は胃腸が弱っている可能性があります。

弱っている胃腸の回復方法

この項では弱った胃腸を回復させる方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

4-1.胃腸を冷やさない

胃腸は冷えると血流が滞るようになり、動きも鈍くなります。ですから、冷たい飲み物や食べ物の食べ過ぎに注意しましょう。夏でも温かい飲み物がおすすめです。また、外からを腹部を温めるとさらに効果的。胃腸が弱っているときは腹巻をすると回復が早まります。

4-2.食生活を見直す

胃腸が弱っているときは、食生活にも気を配りましょう。油脂類や消化が悪い食物繊維などはできるだけ避けます。胃腸が回復するまでは温かくて柔らかい食べ物がおすすめです。また、食事時間も大切。毎日できるだけ決まった時間に3食規則正しく食事を取るようにすると、胃腸も消化・吸収のリズムができてきます。

4-3.よくかんで腹八分を心がける

よくかんで食べると胃は食べ物の消化がしやすくなります。食べ物は30回以上かんで飲みこみましょう。そうすれば、少ない量でも満腹感が得られます。どうしてもたくさん食べてしまうという方は、食事の最初にスープなどの汁物を食べると食べ過ぎ防止になるでしょう。腹八分目を心がけてください。

4-4.生活習慣を改善する

早寝早起きを心がけていると、胃腸の動きを司る自律神経の働きも整ってきます。また、睡眠に勝る回復手段はありません。きちんと睡眠時間を確保できればストレスも睡眠中にある程度解消できます。日頃からストレスを感じている方は、暴飲暴食以外で解消できる方法を探してみてください。

4-5.体質的に胃腸が弱い場合は?

体質的に胃腸が弱い方は、普段から胃腸に負担をかけない生活を心がけましょう。胃腸は鍛えて強くすることはできませんが、普段の生活を前述してきたように気をつければ胃腸の調子が悪くなりにくくなります。また、胃腸の調子を整える食べ物を努めて取るようにすれば、胃腸の機能が回復していくこともあるのです。

弱った胃腸の機能を回復させる食品

この項では、弱った胃腸を回復させる食品をご紹介します。どのような食品が効果的なのでしょうか?

5-1.ビタミンAとビタミンU

ビタミンAは胃壁を保護する胃粘膜を修復する効果があります。また、ビタミンUは胃酸の過剰な分泌を抑えたり胃腸粘膜の新陳代謝促進効果が期待できるのです。ビタミンAはにんじんやうなぎ・ビタミンUはキャベツに多く含まれています。緑黄色野菜をたくさん食べれば、ビタミンAやUを十分に摂取できるでしょう。胃腸に負担をかけないために、しっかりと火を通して食べるのがおすすめです。

5-2.消化酵素を含む食品

ジアスターゼやアミラーゼなどに代表される消化酵素は、食べ物の消化を助けます。ジアスターゼは大根・アミラーゼは山いもなどねばねばした食品に多く含まれているのです。

5-3.腸内環境を整える食品

ヨーグルトに代表される発酵食品は、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を調えます。食生活が乱れがちな場合は、努めてヨーグルトや納豆・ぬか漬けなどを取りましょう。

5-4.サプリメントや健康食品

ビタミン類や消化酵素は食べ物から摂取するのが一番ですが、仕事などが忙しいと中々食事にまで気を配っていられません。そのような場合は、サプリメントや健康食品で不足している栄養素を補いましょう。ビタミン類や乳酸菌・ヴィフィズス菌のサプリメントならばドラッグストアなどで簡単に手に入ります。

5-5.注意して取りたい食品

ショウガは体を温める効果がありますが、その一方で香辛料と同じように胃壁を刺激する成分が含まれています。ですから、使う場合は少量をすりおろして使いましょう。油脂類も取りすぎには注意してください。

胃腸が弱ってきたなと思ったら

胃腸が弱ってきたなと思ったらまず食事を見直しましょう。脂っこいものや香辛料を多用したものを避け、消化吸収のよいものを食べます。食事を小分けするのもひとつの方法です。仕事などが忙しく自炊している暇がないという場合は、レトルトのおかゆや冷凍うどんなどを活用しましょう。

なお、サプリメントでビタミン類を取っているからといって無理をしてはいけません。これからの季節は忘年会や新年会で飲み会に誘われる方も増えてきますが、胃腸の調子が悪いときはお酒も控えましょう。

胃腸が弱い方のよくある質問

Q.漢方薬に胃腸を強くする効果はありますか?
A.漢方薬は体質を変える効果が期待できますが、劇的に胃腸が強くなることはありません。漢方薬を試してみたい方は医師や漢方薬剤師と相談してみましょう。

Q.コーヒーが好きなのですが、胃に負担がかからない飲み方はありますか?
A.アメリカンコーヒーなど薄めに入れたコーヒーに牛乳を加えて飲みましょう。牛乳のタンパク質が胃壁を保護してくれます。

Q.病院を受診した方がよい場合はどのような時でしょうか?
A.胃の痛みが2週間以上続く場合や体重の減少が著しい場合・食べたものを吐いてしまうことが多い場合は病院を受診してください。

Q.ノロウィルスやロタウィルスに感染した後、中々胃腸がすっきりしません。
A.感染症にかかると胃腸は大きなダメージを受けます。症状が回復してもしばらくは消化の良いものを食べてお酒も控えてください。

Q.お酒を飲む前にやっておいたほうがよいことはあるでしょうか?
A.牛乳やチーズ・ヨーグルトを食べると脂肪分やタンパク質が胃壁を保護してくれます。

おわりに

いかがでしたか? 今回は胃腸が弱っているときの対処法や胃腸が弱い原因などをご紹介しました。胃腸の強さには個人差もあります。強い人に無理に合わせる必要はありません。また、胃腸の弱い方は夏でも胃腸を冷やさないため温かい飲み物や食べ物を食べましょう。冷たいものを食べる場合は少量を少しずつ食べると胃腸に負担がかかりにくいですよ。