年をとると歯が抜けるという方は、少なくありません。
その原因の第1位が歯周病なのです。
現在、40歳以上の日本人は7割が歯周病と言われています。
つまり、とてもポピュラーな病気。
しかし、その割にどのような症状は出るかはあまり知られていません。
そこで、今回は歯周病の初期症状についてご説明します。
いったいどのような症状が出れば、歯周病の疑いがあるのでしょうか?
また、歯周病の治療方法についてもご説明します。
最近歯茎の様子が気になるという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
目次
1.歯周病ってどんな病気?
歯周病とは、歯を支えている歯周組織が細菌に感染して歯肉(歯周)がはれたり出血したりして、最終的には歯が抜けてしまう病気のことです。
高齢になると歯が抜けてしまうという方が多いですが、その原因の第1位がこの歯周病。
実は、虫歯で歯が抜けることは、現代ではあまりありません。
また、歯周病というのはとてもありふれた病気です。
歯周病の原因となる細菌は、歯垢(しこう)の中にあるため歯みがきが不十分な人ほど歯周病になりやすいでしょう。
一説によると40代以上の日本人は7割が歯周病にかかっているといわれています。
しかし、「歯周病の治療で歯医者に通っている」という方は少ないのではないでしょうか?
実は、歯周病は初期症状がほとんどありません。
テレビCMで有名な「歯茎のはれ」や「痛み」が起こったときは、すでに症状が進んでいることが多いのです。
2.歯周病の恐ろしさとは?
歯周病はありふれた歯茎の病気です。
しかし、だからといって放っておいてよいことはありません。
歯茎がはれたり出血したりするということは、家の土台がぐらついているのと一緒です。
ですから、症状が進めば家に当たる歯が倒れてしまいます。
また、歯は一本抜けるとほかの歯とのバランスも悪くなるのです。
なので、一本歯が抜けると周りの歯も次々と抜けてしまうことも少なくありません。
最先端の歯科治療に「インプラント」があります。
これは、歯茎にねじを埋めこんで人工の歯をかぶせる治療のこと。
入れ歯よりもより天然の歯に近く、見た目も悪くないことから治療を受ける人も増えています。
しかし、歯周病で歯茎がダメになってしまえばインプラントは行えません。
つまり、歯を失うだけでなく、再生のための治療法も限られてしまうのです。
また、歯周病は初期のころだと気づかないことも少なくありません。
知らないうちに進行していくので、別名サイレント・ディジーズ(静かなる病気)と言われています。
3.こんな症状が出たら要注意
では、歯茎にどのような症状が現れたら歯周病の可能性が高いのでしょうか?
この項では、すぐに歯医者に行って治療を受けたほうがよい症状の一例をご紹介します。
3-1.歯茎が赤くなり、出血する
歯周病と聞くと、この症状を思い浮かべる人は多いでしょう。
歯周病以外でも歯茎が赤くなったり出血したりすることはあります。
しかし、歯周病の場合は何もしなくても歯茎が赤くなっていることが多いのです。
また、ちょっとした刺激で出血するため、歯みがきをするたびに歯茎から出血する人も少なくありません。
3-2.冷たいものや熱いものがしみるようになる
歯周病が進行すると、歯茎がやせて歯茎の中に埋まっていた歯の部分が出てきます。
ここに、冷たいものや熱いものがしみるようになるのです。
虫歯の場合も冷たいもの等がしみますが、歯周病の場合はもっと広範囲でしみた感じになるでしょう。
3-3.歯が伸びた感じがする
歯周病になると歯茎がやせて下がってきます。
すると、歯が伸びたように感じられるのです。「何だか出っ歯になった気がする」と思う方もいるでしょう。
3-4.硬いものをかむと歯が痛くなる
歯茎は歯の土台です。
歯周病になると、歯が浮いてくることも珍しくありません。
そうなると、硬いものをかむと神経にさわって痛みを感じることもあります。
また、歯周病が進むと硬いものがかみにくくなってくるでしょう。
3-5.口臭がしたり膿(うみ)が出たりする
歯周病が進んでくると、歯茎全体が腐ってきます。
ですから、膿(うみ)が出たりひどい口臭がしたりするのです。
ここまで歯周病が進行すると、歯がぐらぐらとしてくる場合もあるでしょう。
歯が抜ける日も遠くないかもしれません。
4.歯周病を予防するにはどうしたらいいの?
では、歯周病を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?
この項では、歯周病を予防したり早期発見したりする方法をご説明します。
4-1.定期的に歯医者に通う
歯医者が好きという方は少ないと思います。
あの機械の音を聞くだけで嫌になる、という方もいるでしょう。
しかし、歯医者は虫歯になってから通うだけのものではありません。
「予防歯科」といって、定期的に歯や歯茎の状態をチェックしてもらうことにより、虫歯や歯周病を予防することも可能です。
虫歯や歯周病のチェックは健康保険が使えます。
ですから、40代になったら3か月に1回は歯医者に通って歯と歯茎をチェックしてもらいましょう。
そうすれば、歯周病も早期発見できます。
4-2.歯科医師の指導に沿って治療を受ける
前述したように、歯周病は初期症状がほとんどありません。
ですから、「初期の歯周病です」と診断を受けて治療を開始しても、途中でやめてしまう人も多いのです。
しかし、それでは歯周病が進行してしまいます。
歯科医師が「これで大丈夫でしょう」と言うまで、治療に通ってください。
4-3.歯みがきを念入りに行う
歯垢(しこう)は、歯みがきがいいかげんな人ほどたまりやすいのです。
ですから、朝晩しっかりと歯をみがきましょう。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシなども使うとより効果的です。
さらに、歯周病予防の歯みがき粉を使うとよいでしょう。
歯だけではなく、歯茎も念入りにブラッシングすると歯周病を予防できます。
ただし、力任せにこすれば歯茎を痛めてしまうでしょう。
歯ブラシは普通にするか、柔らかめのものを使ってください。
4-4.糖尿病に気をつける
40代以上になると発症率が上がるのが糖尿病です。
糖尿病の合併症のひとつに、歯周病があります。
糖尿病になると、歯周病になる確率がぐんとはね上がるのです。
ですから、歯周病を予防したい場合は糖尿病にも気をつけましょう。
そのためには、定期的な健康診断を受けてください。
5.おわりに
いかがでしたか?
今回は歯周病の初期症状や予防法などをご説明しました。
まとめると
- 歯周病は初期症状がほとんどない。
- 歯茎から出血したり口臭がするようになってきたりすると、相当進行している場合がある。
- 歯周病を早期発見するためには定期的に歯医者に通おう。
ということです。
今は、歯周病を予防する商品がたくさん出ています。
しかし、素人が行うには限界があるでしょう。
やはり、定期的に歯医者に行くのが一番です。
今は、街中に歯医者がたくさんできています。
中には休日診療を行っていたり、夜遅くまで診療してくれたりするところもあるでしょう。
かかりつけの歯医者を一軒作っておけば、末永く利用できます。
また、歯茎から頻繁に出血するようになったり充血がなかなか収まらなかったりする場合は、すぐに歯医者に行って歯茎の状態をチェックしてもらってください。
発見が早いほど歯周病の治療は順調に進むでしょう。