虫歯が痛いとき、気がついたら肩がパンパンに張っていたという経験はありませんか? 虫歯が原因で肩こりになると聞くと不思議な気がしますが、実は虫歯と肩こりは相互に関係しあっているのです。この記事では、虫歯と肩こりの関係について掘り下げ、対処法を紹介します。
この記事を読めば、なぜ虫歯で肩がこるのか、どう対処したらいいのかが分かります。虫歯も肩こりも放っておいても自然には治りません。不快な虫歯と肩こりを撃退するために、ぜひ参考にしてください。
1.虫歯と肩こりについて
虫歯と肩こりは密接な関係があり、虫歯が原因で肩こりになることも、肩こりが原因で歯痛になることもあります。
1-1.虫歯が原因で肩こりになる?
虫歯が痛むとき、首や肩から肩甲骨など背中にかけて痛みを感じることがあります。虫歯が原因で肩こりになるのはなぜでしょう? それは筋肉や神経の働きと関係があります。虫歯の痛みをかばったり、かみ合わせが変わったりすることにより無理な力が首から肩に伝わり、肩こりになるのです。
1-2.肩こりが原因で歯が痛むことも
虫歯がなくても、肩こりが原因で歯が痛むことがあるのです。筋肉痛から歯痛が起きる症状は、「筋・筋膜性歯痛」といわれています。顎の筋肉が慢性的に疲労すると、関連痛として歯が痛いと感じてしまうのです。この現象は、かき氷を食べるとこめかみがキーンとするのと同じで、痛みがある部分とは違う部分に痛みを感じてしまいます。
1-3.メカニズム
1-3-1.虫歯が原因の場合
歯の役割は、食べ物をかみ砕いてのみ込みやすくすることです。アゴと首、肩の筋肉と神経はつながっているので、咀嚼(そしゃく)するたびに連動します。虫歯によってかむバランスが崩れると、周辺にも影響することになるのです。かみ合わせは大変繊細なバランスで成り立っていて、髪の毛1本の高さの差でも変化するといわれています。バランスが悪いまま動かし続けると、過剰に負荷がかかって痛みに発展するのです。
1-3-2.肩こりが原因の場合
人間は、頭部の重さを首と肩の骨や筋肉で支えています。体にまっすぐな状態で頭が載っていれば余分な負荷はかかりませんが、顎が前に出た姿勢(パソコンやデスクワークの姿勢)になると、首と肩の筋肉は緊張し、肩こりを引き起こすのです。また、首が前傾すると、下顎は首につられて後ろへ引っ張られます。つまり、顎に乗っている歯も後ろへズレるので、かみ合わせに変化が出るのです。こうして無理なかみ合わせで、ますます筋肉が緊張し、悪循環に陥ります。
このとき、同時に肩こりの関連痛として、歯に痛みを感じることがあるのです。関連痛は、痛みが電気信号となって脳へ伝わるときに、複雑に絡み合った神経が混線し、脳が痛みの場所を勘違いすることにより起こります。
2.虫歯で肩こりが起こる原因
虫歯による肩こりについて詳しく見ていきましょう。
2-1.原因
2-1-1.痛みをかばうことによる偏り
虫歯になった歯は痛みを感じたり、冷たいものや熱いものがしみたりします。すると、何か食べるときには、無意識のうちに痛みがない方の片側でかむようになり、かみ方もいつもとは変わってしまうのです。こうした食べ方を続けていると、顎から首・肩の筋肉が不自然に緊張した状態が続き、筋肉が疲労して肩こりを生みます。
2-1-2.痛みをこらえることによるもの
虫歯の部分を軽く圧迫すると、痛みが和らぐように感じることがあります。そのため、奥歯をかみ締めて痛みをこらえようとすることもあるでしょう。常に歯をかみ締めたままでいると、筋肉が緊張した状態が長く続き、肩こりの原因となるのです。奥歯をかみ締めるのが癖になってしまうこともあるので、上と下の歯が触れ合わないよう、奥歯を緩めることを意識しましょう。
2-1-3.神経の炎症
奥歯は虫歯になりやすく、神経や歯茎が炎症を起こすこともあります。この症状が進行すると、顎関節周辺の筋肉やリンパ腺にまで炎症が広がり、首や肩の痛みにつながる可能性があるのです。
2-1-4.そのほか
虫歯の痛みにより姿勢が悪くなり、首や肩の筋肉が緊張することで肩こりにつながることもあります。痛みのある方に首を傾ける、猫背になるなど、同じ姿勢を続けないように気をつけましょう。
また、虫歯の痛みはなくても、治療の詰め物の違和感によりかみ合わせが悪くなっている場合もあります。治療後の違和感は、歯科医師に相談してみましょう。
2-2.注意点
虫歯も肩こりもつい我慢してしまいがちですが、虫歯は治療しない限り治りません。放置すると炎症が広がり歯茎が腫れたり、全身に影響を及ぼしたりすることもあるのです。また、他の病気が隠れていることもあるので、早めに歯科を受診しましょう。
3.虫歯による肩こりの応急処置、対処方法
忙しくてすぐに歯医者に行けないときや、夜中に急に痛みが出たときにはどうしたらいいでしょう? いざというときのための対処法を知っておきましょう。
3-1.応急処置
虫歯が原因の肩こりの場合、虫歯を治すのが先決ですが、なかなか歯医者に行けない場合もあるでしょう。そんなときは、鎮痛剤を飲んでおくと、肩こりと虫歯の両方に効くので効果的です。首筋や肩をマッサージしたり、痛む箇所にシップを貼ったりしておいてもいいでしょう。
応急処置はあくまでも一時しのぎなので、仮に一時的に痛みが引いたとしても、必ず歯科を受診しましょう。
3-2.NG行為
普通の肩こりであれば、血行を良くするために入浴が推奨されますが、虫歯を併発している場合には温めることは逆効果です。余計に虫歯が痛くなって肩こりも増す可能性があるため、患部を温めるのは避けましょう。
3-3.こんなときは病院へ
肩こりがひどくても、虫歯がある場合には、まずは、虫歯を治すのが先決です。整体やマッサージに行く前に、歯医者へ行きましょう。
肩こりという症状が出ている時点で、虫歯はかなり進行していることが予想されるので、先延ばしにしないことが大切です。特に、激痛が走る、痛みがどんどん強くなる、という場合には、すぐに受診することをおすすめします。
3-4.虫歯治療の流れと歯医者選びのポイント
3-4-1.歯医者の選び方
歯の治療は1回で終わることは少ないので、安心して通うためにも信頼できる歯医者を選ぶことが大切です。ここでは歯医者選びのポイントをご紹介しましょう。
- 治療前に丁寧に説明してくれる(インフォームド・コンセント)
- 施設が清潔で設備が新しい
- 虫歯の治療実績が豊富
- 料金が明瞭
- 治療方法が選べる
- 口コミや評判がいい
肩こりを併発している場合、虫歯の治療と同時にかみ合わせの治療が必要になることも多いものです。静岡歯科では、口腔外科出身の歯科医も複数在籍しているため、かみ合わせや顎関節の治療も積極的に行っています。セカンドオピニオンにも対応しているので、些細な悩みでも相談してみるといいでしょう。
3-4-2.治療の流れ
歯科では、まず問診票の記入をします。どの歯がいつからどんな風に痛いのかを記入してください。このとき、肩こりについても記入しておくといいでしょう。
治療にあたっては、痛みがある場合は痛みを取り除くことが最優先です。痛みの原因を特定するために、レントゲン撮影をして、現在の状態、治療の見通しなどの説明を受け、納得してから治療に入ります。保険診療・自費診療についても、十分な説明を求めましょう。治療中は、怖い・痛いなど、遠慮せずに申し出てもかまいません。治療後は、アフターメンテナンスが大切です。静岡歯科では、治療後の定期検診やクリーニングも随時受け付けています。
4.よくある質問
Q.虫歯と肩が両方痛い場合は何科にいけばいいですか?
A.虫歯が原因で肩まで痛くなっている可能性があるので、まず歯科に行ってください。
Q.虫歯の治療で肩こりもよくなるのですか?
A.虫歯が原因の場合は、虫歯の治療をするだけで改善されることがあります。治療後にまだ痛みが残るようなら、整体やマッサージを利用するといいでしょう。
Q.虫歯の治療費はいくらくらいかかりますか?
A.虫歯の程度や治療方法にもよりますが、保険適用の場合は、初期の虫歯なら1本あたり~3,000円程度、中度になると~10,000円程度でしょう。さらに、土台や被せものが必要な場合には、材質にあわせた費用がかかります。
Q.虫歯を治療した後に必要なことはあるでしょうか?
A.定期検診を受けることをおすすめします。治療した歯だけでなく、全体を定期的に見てもらうことで、新たな虫歯の早期発見にもつながるのです。
Q.虫歯の治療を途中でやめてしまいました。痛みはないので、そのままでもいいでしょうか?
A.痛みがなくても治療を再開してください。そのままだと、症状が徐々に進行してしまう可能性があります。
まとめ
虫歯と肩こりは相互に影響しあって、放置すればするほど、連鎖的に両方の痛みが増してしまいます。厄介な二つの痛みを解消するには、まず歯医者に行くことが先決です。虫歯を放置すると治療期間も長引き、痛い思いもするのでいいことはありません。すぐにでも治療に行きましょう。