虫歯も肩こりも、多くの人が悩んでいるものです。一見すると何の関係もなさそうなこの2つの体の不調ですが、実は関連がある場合もあります。特に、虫歯が原因で肩こりが発生する例は珍しくなく、ひどい場合は肩と歯の痛みで日常生活に支障が出ることもあるでしょう。
そこで、今回は虫歯と肩こりの関係について解説します。
この記事を読めば、虫歯治療の大切さや肩こりを放置しておく怖さなども分かるでしょう。興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。
虫歯が原因で肩がこる理由
はじめに、虫歯が原因で肩こりが起こる原因などについて解説します。なぜ、虫歯になると肩こりが起こることがあるのでしょうか?
1-1.虫歯が原因で肩こりが起こる理由
虫歯とは、ミュータンス菌が歯を溶かしていく病気です。虫歯が進行するにつれて強い痛みが出てくるのが特徴で、歯医者で適切な治療を受けない限り、治ることはありません。初期の頃は熱いものや冷たいものがしみる程度なので、我慢する人もいるでしょう。
歯は、ものをかむ時に体重の2~3倍の力がかかるものです。すべての歯に均等に力がかかっていれば、あごや首の筋肉にも均等に力がかかります。しかし、虫歯になるとその部分で食べ物をかめなくなり、と力のかかり方がいびつになるのです。そのため、肩から首の筋肉に余計な負担がかかり、肩こりが発生します。
1-2.治療中も要注意
さて、虫歯の治療中も注意が必要です。虫歯の治療は、進行しているほど時間がかかります。治療中の歯も力を入れると痛むことがあるので、ものを噛むときに力の偏りが出やすいでしょう。そのため、肩こりが出やすくなります。なお、虫歯以外でも親知らずを抜いたときや、入れ歯・差し歯を使い始めた時などは肩こりが発生しやすいでしょう。また、痛みをこらえるための姿勢も、肩こりを誘発することがあります。
1-3.歯ぎしりでも肩こりが起こる
これまで、虫歯が原因で噛み合わせの不具合が生じ、肩こりが発生するメカニズムを解説しました。これ以外にも、歯ぎしりが原因で肩こりが起こることもあります。歯ぎしりとは、寝ている間に歯を強くかみ合わせることですが、起きているときも無意識に歯を強くかみ合わせる癖がある人も珍しくありません。
歯ぎしりをすると、食べ物がない分歯や首、肩の筋肉に余計な負荷がかかります。そのため、肩こりが起こりやすいでしょう。また、歯の割れやすり減りといったトラブルも起こりやすくなります。
肩こりが歯の痛みを引き起こすことがある?
1でご紹介した例とは逆に、肩こりが原因で歯が痛むことがあります。これは、関連痛と言われるもので、痛みによって神経が混乱し、痛みとは関係のない場所に痛みを感じるのです。かき氷を食べると頭痛が起こることがありますが、あれも関連痛の一種になります。肩こりは筋肉の強張りや血行不良で起こるもので、ひどい場合はかなりの痛みを伴うでしょう。
そのため、歯にも痛みが出ることがあり、これを非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)といいます。非歯原性歯痛は肩こり以外でも、口呼吸・歯ぎしり・過度のストレス・帯状疱疹などでも起こることがあるので、歯痛を感じて歯医者を受診したが虫歯でなかったという場合は、整形外科や内科などを受診してみてください。
虫歯による肩こりの対処方法
この項では、虫歯による肩こりの対処方法を解説します。ぜひ、参考にしてください。
3-1.虫歯が急に痛み出した場合
虫歯が進行すると、急に痛みが出る場合があります。この場合は口に氷を含んだり、冷やしたタオルを患部の外からあてたりして冷やしましょう。そうすることで、痛みが和らぎます。逆に、温めると血圧が上がって痛みがひどくなるので、気をつけましょう。
肩こりもひどい場合は、痛み止めの薬を塗ってください。お風呂に入って痛みをやわらげようとすると、虫歯が痛みだします。また、市販の痛み止めを使用して痛みを一時的に止めましょう。
3-2.歯医者を受診する
虫歯は自然治癒することはありません。ですから、歯が痛みだしたら必ず歯医者にいきましょう。歯が痛むからといって必ず虫歯であるとは限りません。歯槽膿漏(歯周病)などでも歯は痛みます。また、非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)の場合は重大な病気が隠れている可能性もありますので、注意が必要です。虫歯は、早く治療するほど簡単に治療ができ、通院期間も短くなります。
なお、口腔外科や歯科矯正を行っている歯科医の場合は、かみ合わせや歯ぎしりの相談も可能です。家族から歯ぎしりの大きさを指摘された場合や、かみ合わせに不具合を感じている場合も、歯医者にいきましょう。
3-3.肩こりの解消方法
肩こりは、肩や首の筋肉が血行不良になったり、凝り固まったりして起こります。解消するには患部を温めて血行をよくしたり、運動をして筋肉をほぐしたりしましょう。虫歯が原因で肩こりが起きている場合は、前述のとおり温めるのは危険です。ですから、湿布薬などを貼りましょう。肩こりがひどい場合は、一度整形外科を受診し、肩や首の様子を診てもらってください。整体やマッサージで筋肉をほぐすのもおすすめです。
3-4.歯痛の応急処置でやってはいけないこと
虫歯の穴の中に、痛み止めの薬を詰めるという民間療法がありますが、余計に神経を傷つけ、虫歯を悪化させます。気をつけましょう。もし、どうしても痛みが我慢できない場合は、歯科医の救急診療を受診してください。大きな都市ならば、夜間・休日に診療をしている歯医者があります。
虫歯と肩こりに関するよくある質問
Q.虫歯が発生すると必ず肩こりになるのですか?
A.そんなことはありませんが、虫歯が進行すると痛みがひどくなり、肩こりも起こりやすくなるでしょう。
Q.歯を差し歯にしたりブリッジにした場合も、かみ合わせで肩こりが起こることはありますか?
A.はい。その可能性は十分にありますので、この場合は担当医に相談してください。
Q.歯科矯正中に肩こりが起こりやすくなときはありますか?
A.歯科矯正器具になれずに痛みを感じる場合、肩こりが起こることがあるでしょう。この場合も医師に相談し、調整してもらってください。
Q.虫歯を治療している最中、痛みを防ぐにはどうしたらいいでしょうか?
A.できるだけ固いものを避け、柔らかいものを食べるようにするといいですね。
Q.ストレスで歯が痛くなるいうのは本当でしょうか?
A.はい。その可能性もあります。特に、急に強いストレスを受けた場合は要注意です。
おわりに
いかがでしたか? 今回は虫歯と肩こりの関係などについて解説しました。虫歯の治療は早いにこしたことはありません。また、虫歯の早期発見のためにも、定期的に歯医者に通って検査してもらいましょう。