「口を開けると顎が痛い、音がする」「口が大きく開けられない」といった悩みを抱えている人はいませんか? これらは、顎関節症(がくかんせつしょう)の代表的な症状です。顎関節症は多くの人が1度は悩んだことがある病気で、2人に1人は経験したことがあるとも言われています。重症化すると、頭痛や肩こりなどの症状が現れることもあるでしょう。
今回は、顎関節症の原因や症状・病院で行う治療について解説します。
この記事を読めば、顎関節症を予防する方法も分かるでしょう。顎の痛みや異音に悩まされている人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.顎関節症の基礎知識
はじめに、顎関節症の症状や原因を紹介します。
1-1.顎関節症は顎の関節に異常が出る病気
顎関節症は、顎の関節に異常が出て口を開けると異音や痛みが出たり、口が大きく開けられなくなったりする病気です。顎関節症は以下のような4つのタイプがあります。
- 筋肉の障害
- 関節包・靭帯(じんたい)の障害
- 関節円板の障害
- 骨の変形
この中でも、関節の間にあってクッションの役割を担う「関節円板」の障害による顎関節症が、最も患者数が多いのです。また、顎関節自体が痛むことはありませんが、関節を動かす下顎の筋肉がうまく動かなくなり、痛みを覚えることもあるでしょう。
1-2.顎関節症の症状
顎関節症になると、以下のような症状が現れます。
- 口を開け閉めしていると痛む
- 口の開閉時に音が出る
- 口が大きく開かなくなる
なお、重症化すると頭痛や肩こりなどの症状が共に現れることもあるでしょう。
1-3.顎関節症の原因やなりやすい人
前述したように、顎関節症は顎関節のずれや筋肉・靭帯(じんたい)の損傷などによって起こります。以下のような習慣がある人は、顎関節症になりやすい可能性があるでしょう。
- 歯ぎしりをしているとよく指摘される
- ものをかむとき、片方の歯ばかり使う
- 気がつけば歯を食いしばっている
- 重いカバンを片側でもつ習慣がある
- 歯並びやかみ合わせが悪い
2.顎関節症のセルフチェック
自分が顎関節症かもしれないと思ったら、以下の項目をチェックしてみましょう。
- 口を開けるたびに耳のあたりで音がする
- 口を開閉するたびに痛みがある
- 口を大きく開けたとき、中指・人差し指・薬指の3本を入れることができない
- 口を開けようとするとき、引っかかったように開かなくなることがある
- 口を動かしていると疲れたりだるさを感じたりすることが多い
- 頭痛や肩こりが起こりやすくなった
当てはまる項目が多いほど、顎関節症の可能性が高くなります。
3.顎関節症の治療方法
この項では、顎関節症を治療する診療科や治療方法を紹介します。
3-1.顎関節症は歯科や口腔外科で治療する
顎関節症は、歯科や口腔外科で治療を行うのが一般的です。整形外科を受診する人もいますが、口腔外科などへの紹介状を書かれることも多いでしょう。かかりつけの歯科医がある人は、まずそこを受診してください。なお、顎の痛みだと思ったら親知らずが虫歯だったり、中耳炎など耳の病気だったりすることもあります。ですから、顎関節症が疑われる場合は、親知らずなど歯の検査をしたり、耳鼻咽喉科での診察を受けたりすることもあるでしょう。
3-2.顎関節症は関節の負担を軽減する治療が行われる
顎関節症は、軽度ならば痛み止めを投与して様子をみます。痛みがなくなるだけでものをかむ場所が均等になったり、筋肉の緊張がゆるんだりして、症状が回復することもあるでしょう。かみ合わせや歯ぎしりが原因の場合は、歯列矯正を行ったりマウスピースを入れて歯ぎしりを予防したりします。治療には時間がかかることもあるので、根気強く通いましょう。
3-3.顎関節症の治療は健康保険が適用される
顎関節症の治療には健康保険が適用になります。通常、歯列矯正は自費診療になりますが、顎関節症の治療目的の場合は、健康保険が適用されるのです。ですから、自費で治療を受けるよりずっと安価で行うことができるでしょう。
3-4.歯医者の選び方
顎関節症の治療で歯医者や口腔外科に通う場合、治療実績が豊富なところを選びましょう。歯医者によっては、顎関節症の治療を行っていないところもあります。かかりつけ医が顎関節症の治療を行っていない場合、紹介状を書いてもらうことも可能です。
4.顎関節症の予防方法やケア方法
この項では、顎関節症の予防方法やケア方法を紹介します。
4-1.顎関節症のセルフケア方法
顎関節症が軽度の場合は、痛み止めと共に以下のようなセルフケアをするように指導されることがあります。
- ものは、両側の歯で均等にかむ
- 歯を食いしばる癖をやめる
- 顎周りの筋肉のストレッチ
- 顎周りのマッサージ
このようなことを行えば、症状の悪化や再発を防げるでしょう。
4-2.セルフケア方法は予防方法でもある
前述したセルフケアは、顎関節症の予防方法でもあります。歯ぎしりを指摘されたり歯を食いしばっていることを自覚したりしたら、歯科医師に相談してもいいでしょう。また、片方の肩だけに重いカバンをかけたりすると片方にだけ負荷がかかりすぎ、顎関節症になりやすくなります。カバンなどは時々担ぐ肩を変えましょう。
5.顎関節症に関するよくある質問
この項では、顎関節症に関するよくある質問を紹介します。
Q.顎関節症は音だけで痛みがない場合は、放置してもかまいませんか?
A.2~3日で音が消える場合は問題ありませんが、1週間以上音が続く場合は、念のために歯医者を受診しましょう。
Q.顎関節症と紛らわしい病気はありますか?
A.前述したように、親知らずや奥歯の虫歯、中耳炎などの耳の病気になっていると顎のあたりに痛みが出やすくなるでしょう。
Q.顎関節症で顎が外れやすくなることはありますか?
A.重症化すれば外れやすくなる可能性もありますが、過剰に心配することはありません。
Q.硬いものばかり食べていると顎関節症になりやすくなりますか?
A.食べ物の硬さより、片方の歯ばかりでかんでいるとなりやすくなるでしょう。
Q.顎関節症は再発しますか?
A.はい。だからこそ顎の筋肉をマッサージしたりかみ合わせを矯正したりすることが大切です。
まとめ
今回は、顎関節症の症状や治療方法などを紹介しました。顎関節症は誰でも発症する可能性がある病気です。歯の治療だけでなく顎関節症の相談もできるので、ぜひかかりつけの歯医者を作っておきましょう。