入れ歯とインプラントはどこが違う? 分かりやすく比較してみました。

事故や加齢によって歯を失った場合、今までは「入れ歯」を作るのが一般的でした。
しかし、今は「インプラント」というもうひとつの選択肢があります。
では、入れ歯とインプラントを比較した場合、どのような違いがあるのでしょうか?
そこで、今回はインプラントと入れ歯の比較やそれぞれメリット・デメリットをご紹介します。
それぞれの特徴が分かれば、選ぶときの参考になるでしょう。
一概に「どちらの方が上」ということはありませんが、ケースによっては「こちらの方がよい」ということはあるのです。
インプラントか入れ歯かどちらにしようか迷っているという方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

目次

  1. 入れ歯とインプラントの違いとは?
  2. それぞれのメリットやデメリットとは?
  3. 入れ歯の方が向いている人、インプラントの方が向いている人とは?
  4. インプラント治療を受ける際の注意点
  5. おわりに

1.入れ歯とインプラントの違いとは?

まず始めに、入れ歯とインプラントの違いについてご説明します。
どちらも「人工の歯を入れる」という点では同じですが、やり方が全く異なるのです。

1-1.入れ歯とは?

入れ歯とは、取り外しができる人工の歯のことです。
高齢者が使うものというイメージがありますが、何らかの事情で歯を失った人も使用します。
部分入れ歯と総入れ歯があり、健康保険が適用になるものと自由診療で作るものがあるのです。
また、ドラッグストアに行けば入れ歯専用の接着剤やクリーナーなどもたくさん売られています。

1-2.インプラントとは?

インプラントとは歯茎に人工の歯根(しこん)を埋めこみ、その上に義歯をかぶせる方法です。
入れ歯と違い、一度作ったインプラントは取り外せません。
さらに、見た目だけでは天然の歯と区別がつかないでしょう。
また、入れ歯のようにぐらついたりかむ力が弱まったりすることはありません。
限りなく、天然の歯に近い働きをしてくれるのです。

2.それぞれのメリットやデメリットとは?

では、入れ歯とインプラントにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
この項では、その一部をご紹介します。

2-1.入れ歯のメリット・デメリットとは?

入れ歯は、昔から使われてきた義歯です。
ですから、歯科医の方でもノウハウが蓄積されているでしょう。
いろいろな症例にも対応してくれます。
さらに、取り外しが自由ですから不具合があっても調整が簡単です。
値段も健康保険が適用になるものならば、それほど高くありません。
デメリットとしては、やはり天然の歯に比べてかむ力が弱く違和感もあることです。
さらに、入れ歯がしっくりくるまで時間がかかる場合も多く、その間は食事が楽しめないこともあるでしょう。
また、部分入れ歯を作る際に健康な歯を削らなければならないこともあります。
健康な歯を削れば、それだけ歯の寿命が短くなる可能性もあるのです。

2-2.インプラントのメリット・デメリットとは?

インプラントのメリットは、天然の歯に近い状態まで歯の状態を回復できることです。
見た目が分からないのはもちろんのこと、かむ力も天然の歯とそれほど変わりません。
また、食べている最中に食べかすが入れ歯と歯茎の間に挟まるようなこともないでしょう。
さらに、健康な歯を削らずにすむので、残った歯の寿命が短くなることもありません。
デメリットは値段が高いこと。
インプラントは自由診療ですから、1本当たり10万円以上かかるのが相場です。
ですから、総インプラントにしようと思ったら、100万円以上かかる場合もあるでしょう。
また、インプラントはまだ新しい治療法です。
歯科医によって技術に差があります。
毎年インプラントの不具合で、たくさんの方が大学病院の口腔(こうくう)外科を受診されているのです。
ですから、インプラントを行う際は歯医者選びから慎重に行う必要があります。

3.入れ歯の方が向いている人、インプラントの方が向いている人とは?

年齢や体調、歯の状態によって入れ歯の方が向いている人、インプラントの方が向いている人がいます。
この項では、その一例をご紹介しましょう。

3-1.入れ歯の方が向いている人とは?

骨粗しょう症や高血圧、糖尿病など持病がある人はインプラント治療ができない場合があります。
また、インプラント治療は歯茎に人工の歯根(しこん)を埋めこみますから、歯茎がしっかりしていないと行えません。
あごの骨がもろかったり、重度の歯周病だったりする方もインプラントより入れ歯の方が向いています。
インプラント治療を行う前は、いろいろな検査があるのです。
その際に「インプラントよりは入れ歯の方が」と歯科医から勧められる場合もあるでしょう。
また、インプラントは天然の歯や入れ歯よりもメンテナンスに手間がかかります。
このメンテナンスを十分に行えない人も、入れ歯の方がよいでしょう。

3-2.インプラントの方が向いている人とは?

人が歯を失う理由はさまざまです。
加齢や歯周病だけでなく、交通事故などでたくさんの歯を失ってしまう人もいるでしょう。
特に、若いうちに歯を失ってしまった人は入れ歯に抵抗がある方も少なくありません。
このような方は、インプラントの方が向いているでしょう。
また、「お金はかかってもよいので、できるだけ天然の歯に近い状態にしたい」という方にも、インプラントはお勧めです。
さらに、人前にでる仕事をしている方も、インプラントの方が見た目に違和感がでにくいでしょう。

4.インプラント治療を受ける際の注意点

では最後に、インプラント治療を受ける際の注意点をご紹介します。
インプラント治療を行う歯医者は増えてきましたが、どのような歯科を選べばよいのでしょうか?

4-1.実績が豊富で、アフターケアが手厚いところを選ぶ

インプラント治療は自由診療です。
ですから、「安さ」を売りものにしている歯医者もあるでしょう。
しかし、インプラント治療は外科治療です。
安ければよい、というものではありません。
また、インプラント治療はまだ新しい治療法です。
なので、実績が豊富な歯医者を選んだ方が失敗は少ないでしょう。
さらに、インプラントは治療して終わりではありません。
定期的な検診も必要です。
ですから、「治療後、このくらいの頻度で定期点検を行います」といってくれる歯医者を選びましょう。

4-2.説明をよく聞く

インプラント治療には、前述したようなメリット・デメリットがあります。
また、体調によってはお勧めできないこともあるのです。
ですから、インプラント治療を行おうと思ったら、まずは検査をして歯科医師に詳しく説明をしてもらってください。
「大丈夫でしょう」という見切り発車は危険です。
インプラントは入れ歯のように「失敗したからやり直します」ということはできません。気をつけてください。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は、入れ歯とインプラントを比較してみました。
まとめると

  • 入れ歯は安価で調整も簡単である。
  • 入れ歯は天然の歯に比べるとかむ力が弱く、不具合も起こりやすい。
  • インプラントは、天然の歯とほとんど見分けがつかない。
  • インプラントはかむ力も天然の歯と比べてそれほど変わらない。
  • インプラントは値段が高く、体調やあごの状態によっては治療ができない場合もある。

ということです。
最近は、インプラントを行っている芸能人も多く、その自然さに興味をひかれる人もいるでしょう。
しかし、インプラント治療をしても、天然の歯と全く同じように使えるわけではありません。
また、メンテナンス方法も手間がかかります。
そのあたりもよく考えて、治療を受けるかどうか決めてください。