肩や背中の痛みと筋肉疲労

肩や背中の痛みは筋肉疲労の症状? 疲労を早く回復させる方法

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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運動している人はもちろん、たまに体を動かすだけでも、筋肉疲労を感じることがありますよね。首や肩筋が痛いといった症状から始まり、背中の筋肉に痛みを感じる場合もあるでしょう。

そこでこの記事では、筋肉疲労と回復について紹介します。筋肉疲労が回復するコツを知り、治療すべき症状も覚えておいてください。また、筋肉疲労は運動だけが原因ではないことも、この記事を読むことで理解できるでしょう。

筋肉疲労は誰でも起こります。早く回復するためのポイントなどを知っておき、予防にも生かしましょう誤った方法でかえって悪くならないように、この記事を参考にしてください。

筋肉疲労とは? 

そもそも筋肉疲労はなぜ起こるのかを考えたことはありますか? 筋肉の使いすぎ、激しいスポーツをしたからといった理由なら、すぐに思い浮かぶでしょう。筋肉疲労は、運動以外でも起こる可能性があります。

1-1.筋肉疲労の症状

筋肉疲労の症状は、人によって現れ方がさまざまです。ズキズキした痛みや重くだるい痛みなど、中には長引くケースもあります。出現部位は首や背中を中心に腰まで広がり、全身に疲労感をもたらすのです。

  • 首が凝る
  • 肩筋が痛い
  • 背中の筋肉に痛みを感じる
  • 腰痛

筋肉疲労は筋肉の炎症によるものです。筋肉が損傷を受け、腫れやむくみなども起こします。

1-2.筋肉疲労が起こるメカニズム

筋肉疲労が起こるのは、筋肉に疲労物質である乳酸が蓄積されるからだという説があります。本来、筋収縮で酸素がきちん供給されるべきところ、体内のブドウ糖が燃焼されずに残り、乳酸として筋肉内に溜(た)まるのです。

もう1つささやかれている、「乳酸が疲労物質ではない」という説があるのをご存じでしょうか? ヒスタミンやセロトニンといった痛み物質が、筋膜に痛みを感じるよう働きかけていることが、筋肉疲労の原因となっているというものです。

1-3.筋肉疲労の主な原因は? 

筋肉疲労の原因となるのは、肉体的な要因と精神的な要因があります。肉体的要因は、運動・長時間同じ姿勢を続ける・重たいものを持ち上げるなど、負担が大きい動作です。

精神的要因は、ストレスや人間関係による悩みといったものがあります。筋肉疲労以外にも、自律神経の乱れによって胃腸の不調やだるさといったものが現れるのが、精神的要因で起こる筋肉疲労の特徴でしょう。

1-4.筋肉疲労の種類

先にも述べたように、筋肉疲労には2種類あります。また、痛みが慢性化した場合、血流停滞やリンパの流れを圧迫し、慢性筋肉疲労へと発展するでしょう。筋肉が硬直し、栄養がきちんと行き渡らなくなります。従って、ほかの病気を招きやすいです。

精神不安は軽視せず、ストレスを発散するようにしてください。自律神経失調症といった症状に陥り、より治りにくくなってしまいます。悩みやストレスがある人は気分が沈み、背中を丸める姿勢になりがちです。背中や肩筋が痛いのは、姿勢の悪化が影響しています。背中の筋肉をほぐすストレッチや軽いトレーニングを、日常生活にも取り入れてください。

1-5.どんな人が筋肉疲労を起こしやすいのか? 

普段あまり体を動かさない人は、急な動作で筋肉疲労を起こします。また、毛細血管が細めな人も血流が滞(とどこお)りやすく、注意が必要です。体質として、乳酸が蓄積しやすい人もいます。もともと筋力が弱い方も、筋肉に炎症を起こすリスクが高いです。

1-6.筋肉疲労を放置したらどうなる? 

血流停滞により、筋肉内部が酸性に傾きます。疲労物質が排出されないまま、体内に留(とど)まって悪影響を及ぼすのです。体内が酸性状態が続いた場合、さまざまな疾患を招きやすいため、筋肉疲労だけだから大丈夫と軽視せず、早く回復するよう促すようにしましょう。

筋肉疲労の原因について

筋肉が固まった状態が継続した場合、血行不良を起こします。慢性腰痛を患う方は、同じ姿勢が続けているなら症状は改善されません。

2-1.運動だけが筋肉疲労の原因ではない

運動による筋肉疲労の場合は、主に使った筋肉だけが痛みます。例えば、ランナーは足が疲れるといったところです。筋肉は休息が必要ですから、休まず使えば炎症による疲労が起こります。従って、運動に限らず、筋肉が硬直した状態や同じポーズの繰り返しは、筋肉の痛みとなって現れるでしょう。

2-2.どんなことがきっかけで筋肉疲労なる? 

デスクワークばかりしている人は、背中の筋肉や肩筋を痛めやすいです。パソコンに集中していると前傾姿勢になりやすいため、自然と背中が引っ張られる形になります。デスクワークをしていない人でも、猫背気味の人は要注意です。どちらも腰痛になりやすく、体全体のバランスが崩れることでほかの疾患にもなりやすいでしょう。

冷え性の方は、なるべく体を温めて血流改善を促してください。手足の冷えは、体を巡る毛細血管の血流を悪くします。背中・肩筋・腰の痛みの多くは、冷えと関連していることが多いです。

筋肉疲労の回復方法

筋肉疲労が起こるメカニズムは、乳酸の蓄積による説と痛み物質の働きかけによる説があります。乳酸は、疲労物質とも呼ばれているものです。どちらが正しいかは、まだはっきり解明されていません。しかし、筋肉疲労を放置しておいては危険です。早めに回復するよう、自分に合った方法を見つけてください。

3-1.自分でできる回復方法

筋肉疲労の回復方法は、人によって違います。心地いいと感じられる方法が一番です。

3-1-1.軽い運動で筋肉をほぐす

ストレッチや軽いトレーニングなら、筋肉を柔らかくほぐすことができます。痛みがある間は無理せず、ゆったりした動きを意識すると痛みがぶり返すことなく安心です。動かすことができる範囲で、少しずつ体をほぐしてください。ストレッチは背中の筋肉をほぐす効果があり、とても気持ちがいいと感じるでしょう。腰痛持ちの方も、普段からストレッチをしておき、再発しないよう筋肉を鍛えることもおすすめです。

3-1-2.筋肉の疲労回復を促す栄養素とは? 

クエン酸の疲労回復効果は、現在、広く知られるようになりました。クエン酸は、梅干しやレモンといった食材に含まれており、疲れたときにとてもおいしく感じます。運動後、2時間以内に食べるとより回復が早いでしょう。黒酢は特にクエン酸を多く含み、BCAAというアミノ酸も豊富です。BCAAは筋肉の疲労回復とともに、痛みからも解放してくれる栄養素で、積極的に食べるといいでしょう。

黒酢は柑橘(かんきつ)系と相性がよく、おいしく筋肉の疲労回復を促すことができる食べ物です。日ごろの食事に加え、タンパク質やビタミンB群を多く取ることも意識してください。栄養バランスを考えるのが面倒な方は、筋肉疲労回復に必要な栄養素が詰まったサプリを活用してもいいでしょう。

3-1-3.マッサージで筋肉をほぐす

マッサージで筋肉に溜(た)まった乳酸を押し流し、血流を改善するのもおすすめです。血液循環が悪くなった場合、疲労物質である乳酸以外にも、老廃物が体内に滞(とどこお)ります。心臓に向かって血液を戻すイメージで、足元から上方へさすっていきましょう。腕も同様です。手首から始め、首や肩までマッサージしてください。

3-1-4.入浴で筋肉疲労回復

筋肉疲労を感じるときは、入浴方法を少し変えてみてください。冷水と温水を使いわけます。交互に5回ずつかけることによって、血流改善を促すと痛みの緩和につながり、徐々に疲れが取れるでしょう。熱感を持っている部位にも有効で、炎症を鎮めてくれます。

サウナに行く機会があるなら、サウナで体を温めた後に水風呂に入るというのを繰り返す方法も試してみてください。

3-2.筋肉疲労回復が期待できる医薬品

筋肉疲労に効果があるとされる医薬品は、ビタミンB類を補完できるものや滋養強壮剤などです。食生活で補うことが理想ではあるものの、十分に取れない場合もありますよね。

リョウシンJV錠」は、6つの有効成分が疲れた身体の内側から働きかけ、必要な栄養を補給しつつ、滞った血行を促進して、痛みを緩和することができる医薬品です。フルスルチアミン・ピリドキシン塩酸塩・シアノコバラミンなどのビタミンB群が、ひざ・肩・腰などの関節痛、神経痛の緩和を促します。ビタミンB2由来の鮮やかな黄色が効き目の証。病中病後や、妊娠・授乳期の栄養補給にもおすすめです。

3-3.筋肉疲労が早く回復するためのポイント

筋肉疲労に限らず、疲れているなと感じたら睡眠は十分に取るようにしてください。特に、夜10時から深夜2時は成長ホルモンが活発に分泌される時間帯です。成長ホルモンは疲労回復を促す物質で、質のいい睡眠を取ることにより、翌朝にはすっきりした体に戻ることができるでしょう。早く回復したい方は、睡眠時間を調整してみてください。

3-4.筋肉に炎症がある場合

炎症がある部位は、熱感を持つことがあります。まず、湿布で冷やす方法がおすすめです。急性期は冷やし、慢性化した痛みは温めます。炎症の具合に応じて、湿布を使いわけてください。

3-5.筋肉疲労回復でやってはいけないこと

痛みがあるとき、無理に運動を行わないことが大切です。軽いストレッチなどに留(とど)め、炎症が静まるのを待ってから温めるなどして回復を促しましょう。痛みが強いうちは、入浴で温めるのも避けてください。

医療機関へいったほうがよい症状は?

「いつもの筋肉疲労と違う」「いつまでも痛みが治まらない」といった場合、速やかに医療機関を受診しましょう。長引く原因は、病気やケガの可能性もあります。 

4-1.受診すべき筋肉疲労症状

5日ほど市販薬や湿布を使用してもなお、回復が見込めない場合は受診しましょう。多くは安静に過ごすことで回復します。しかし、関節の変形やリウマチといった病気は、筋肉疲労が長引いた印象を受け、症状を勘違いしやすいです。慢性化した痛みがいくつかの場所に現れるようなら、リウマチ専門医や整形外科に相談してください。発熱がある場合も、速やかに受診しましょう。

4-2.筋肉疲労と間違えやすい病気

筋肉疲労と間違えやすい病気には、下記のようなものがあります。

  • 変形性関節症
  • リウマチ
  • 繊維筋痛症
  • 椎間板ヘルニア

病気が原因による痛みの場合、専門治療を受けることが必要です。

4-2-1.変形性関節症

変形性関節症は、関節の軟骨成分が変形またはすり減る病気です。関節にある滑膜が炎症を起こし、変形が進行します。治療には、痛み止めの処方と軽い運動を平行し、病気の進行を食い止める治療方法が主流です。軽い運動が必要となるのは、固まった関節の可動域を広げる目的があります。

4-2-2.リウマチ

リウマチは、原因の特定が難しく、治療方法も特別であるため、リウマチ専門医を受診すべきです。 リウマチは難治性疾患であり、長くつきあうことになる病気ゆえ、専門医の指導に従って生活を送りましょう。治療は、投薬で痛みのコントロールを行い、抗炎症作用があるステロイドも服用も行われます。症状に応じ、免疫抑制剤や生物学的製剤といった薬の服用も必要です。リハビリを同時に取り入れていき、関節が変形したまま固まるのを避ける治療が行われます。また、リウマチにおいては、過度の運動は危険です。軽い運動と休息を交互に行いましょう。

4-2-3.繊維筋痛症

繊維筋痛症は、原因がまだわかっていません。そのため、完治は難しい病気です。首・背中・腰・足といった広い範囲に痛みを感じ、しびれや筋肉の硬直を覚えるでしょう。リウマチと似ている病気ではあるものの、関節の変形はありません。主な治療法は、痛み止めと電気や温熱療法を行い、リハビリやマッサージを並行します。軽い有酸素運動を取り入れることで、筋肉を鍛えることができるでしょう。

4-2-4.椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、仙骨・第4腰椎・第5腰椎が狭まり、軟骨成分が露出することで痛みを発症する病気です。腰痛に加え、足や背中にしびれといった神経障害による痛みを感じます。腰痛が続き、姿勢が悪くなって日常生活の動作にも影響が出るため、早期治療がベストです。痛みを薬で止めるか、トリガーポイント注射などで痛みの緩和を行い、動かしやすい状態にします。なるべくストレッチで筋肉をほぐし、腰痛が再発しないよう筋肉を鍛える方法で治療するのが一般的です。

4-3.筋肉疲労回復の治療院選びのポイント

実績豊富な治療院を選んでください。病気の可能性もあるので、きちんと見極められることが大切です。病気による痛みなら、専門医療機関の受診をすすめてもらえますし、早期発見につながります。その場しのぎの治療をせず、治療経過をきちんと把握してくれているかも注目したいポイントです。接骨院や整体院などはたくさんあります。

中でも、スポーツ外傷の取扱数などが多い治療院を選んでください。また、病気の可能性を指摘された場合は、適切な医療機関で詳しい検査を受けましょう。

筋肉疲労の予防方法

筋肉の痛みは、日常生活の動作や仕事に支障をきたすことがあり、普段から予防策を講じることが大切です。デスクワークの方でも筋肉疲労は起こりますから、予防方法を知って背中や肩の筋を痛めないようにしてください。

5-1.日常生活で気をつけること

急な運動は避け、運動前はウォーミングアップを兼ねたストレッチやトレーニングをしましょう。体が十分に温まってから運動するだけでも、筋肉疲労の度合いが違います。

また、デスクワークが多く、猫背になりやすい方は、1時間に1回は背筋を伸ばすようにしてください。立ち上がって歩くという動作も取り入れ、姿勢が固まらないようにしましょう。

5-2.普段から軽い運動をしておく

運動不足の方は多いです。しかし、筋肉は使わないとどんどん退化していき、弱くなってしまいます。近年寝たきりが増えているのも、筋力低下が原因です。整形外科でも寝たきり防止のため、軽い運動をすることを推奨しています。普段から、できる範囲で体を動かすようにしましょう。ウォーキングや水泳といった、負荷の少ない運動がおすすめです。

5-3.運動後にしておきたいこと

ウォーミングアップと同じくらい重要なのは、クールダウンです。ストレッチで体の筋肉をほぐすか、軽い運動で筋肉の緊張を緩めましょう。運動後は筋肉が熱を持っており、クールダウンで血液の循環を促すことで、乳酸が溜(た)まるのを防ぐことができます。痛みの発生を抑える効果が期待できるのです。

筋肉疲労に関するよくある質問

体の痛みはつらいですよね。小さな動作もしにくく、運動どころか普段の生活にも影響が出ます。筋肉疲労にかんする質問を参考に、疲労回復のポイントにしてください。

Q.指圧よりマッサージの方がいい?
A.筋肉疲労は、筋肉が損傷している状態です。炎症がある場所を指圧で刺激するより、マッサージで血流を促す方が回復が早いでしょう。さするように、優しくマッサージしてください。

Q.筋トレは普段からしておくべきか? 
A.筋力がある人とそうではない人では、筋肉疲労の感じ方が違います。やはり、筋力がある人が痛みを感じにくいです。そのため、日ごろから筋トレをすることは、体にとてもいいでしょう。筋肉疲労を感じたら休息し、痛みが治まったらまた始めるといったサイクルで取り組んでください。休む時間を作ることは、筋肉の成長を促す効果があります。

Q.首の筋が痛いと頭痛や吐き気がする
首の筋は頭とつながっているため、肩こりと同時に頭痛を感じることがあります。デスクワークによる眼精疲労から来る場合もあるでしょう。痛み止めの薬を服用しても改善せず、長期化する場合は病院を受診してください。

Q.肩筋が片側だけ痛い
左右どちらかの肩筋が痛い人は、姿勢が偏っています。座り癖や歩き癖によるもので、体の歪(ゆが)みに発展していくため、上半身を起こして姿勢を正す習慣を持ちましょう。

Q.ストレスで筋肉疲労を感じやすい場所は?
精神不安やストレスも筋肉の硬直を起こし、痛みを感じやすくなります。特に、首・肩筋・背中が症状が出やすい場所です。ストレスを抱え込み、自律神経の不調を招くこともあります。ストレスを解消できる方法を見つけましょう。

まとめ

いかがでしたか? 筋肉疲労は、運動以外に座りっぱなし・立ちっぱなしといった同じ動作の連続により、筋肉の硬直が原因で起こります。姿勢が悪い人も、首・肩筋・背中が痛いと訴えることが多いです。時々姿勢を正すようにし、筋肉をほぐして疲労が蓄積しないようにしてください。運動前はウォーミングアップをし、筋肉にかかる負担を軽くする方法もおすすめです

普段からなるべく体を動かし、筋肉を柔らかくするのもいいでしょう。筋肉の疲労回復には、ビタミンB群を含む食べ物やクエン酸の摂取が回復を促進してくれます。食事の中に取り入れてみてください。筋肉疲労は放置すると痛みが長引きやすいです。食事やマッサージで早く回復するように働きかけ、慢性化しないように注意してください。