風呂で寝るのは危険! 原因や正しい対策法などをご紹介

【必見】風呂で寝るのは危険! 原因や正しい対策法などをご紹介

十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「入浴中によく眠気がやってくる」「浴槽の中で寝てしまうことが増えた」などに当てはまる方は、非常に危険です。風呂に入ると眠くなる現象は、普通の眠気とまったく異なります。風呂の中で寝ることは、死につながる危険があるため注意が必要です。実際に、入浴中の死亡者は、年間1万4,000人と言われています。入浴中の事故を防ぐためにも、眠くなる原因を突き止めなければなりません。そこで、本記事では、風呂で寝る原因や危険性・対策法などについて説明します。

この記事を読むことで、風呂で寝る原因を知ることができ、適切な対策法が実践できます。風呂で寝てしまうことが多いという方は、ぜひ参考にしてください。

風呂で寝る原因とは?

湯船につかると眠たくなる・風呂で寝ることが多くなったなどの状態は、注意すべきことです。放置すれば、意識がないまま湯船の中にもぐってしまい溺れ死ぬ可能性があります。風呂で寝ることのないように、原因などをチェックしておきましょう。

1-1.眠くなる原因とは

風呂で眠くなるのは、一体何が原因なのでしょうか。考えられる原因をいくつかピックアップしてみましたので、ぜひ参考にしてください。

1-1-1.血圧の低下

1番に考えられるのは、血圧の低下です。湯船につかると体が温まり、同時に血管が拡張します。血管が拡張すれば血圧が下がり、脳に十分な血液が回らなくなるのです。脳が血液不足状態に陥ってしまうと、意識障害が起こり、眠くなるという流れになります。特に、高血圧の方は血圧が急激に低下するため、失神するリスクも高まるでしょう。

1-1-2.血圧低下によるリラックス状態

湯船につかる時間が、1番のリラックスタイムとなっている方は多いでしょう。しかし、血圧の急激な低下によるリラックス状態は非常に危険です。一般的な睡眠は、筋肉の緊張がほどよくほぐれ、脳が睡眠物質であるメラトニンを分泌しています。けれども、血圧低下によるリラックス状態は、意識障害の始まりです。立ちくらみと同じように気持ちよくなるからこそ、眠気がやってきます。入浴中の眠気と一般的な眠気は異なるものであることを、覚えておきましょう。

1-1-3.熱過ぎる湯温

湯の温度が熱過ぎるのも、入浴中に寝る原因の1つです。急激に体が温まるため、血管が広がるスピードも速まります。そのため、血圧が下がりやすくなるのです。42℃以上の湯につかったときは、血圧が上昇しやすい傾向があるので気をつけてください。

1-2.寝てしまうのはいいか、悪いか

「気持ちいいから寝るのは仕方がない」「寝ても気をつけておけば問題ない」と、甘く考えてはいけません。寝てしまうのはいいか、それとも悪いのか、説明します。

1-2-1.疲れとの関係

体が疲れていると自律神経の交感神経が活性化し、自律神経が乱れます。自律神経が乱れているときに、誤った入浴をすれば、めまいがずっと続き、起き上がれないほどひどくなる恐れもあるのです。入浴中の眠気は、疲れが大きく関係している可能性があります。疲れが癒(い)えるかどうかは、入浴の方法がポイントになるでしょう。

1-2-2.高齢者について

高齢者の場合は、特に気をつけておかなければなりません。寒くなる冬場は、冷えた体と湯船の温度差が激しくなり、血管が広がりやすく血圧が下がりやすくなります。実際に、1人暮らしの高齢者が湯船の中で寝てしまい、そのままおぼれて亡くなったケースも起きているようです。さらに、脱衣所との温度差によるヒートショックにも注意してください。脳の血流が低下して、脳梗塞・心臓発作を起こすリスクが高まります。

風呂で寝る危険性について

風呂で寝ないように意識を高めるためには、危険性をきちんと把握することが大切です。風呂で寝ることの危険や注意が必要な人などについて説明します。

2-1.どんな危険性があるか

あなたが考えているよりも、風呂で寝る行為は危険です。一体、どのくらい危険なのか、一緒に確認していきましょう。

2-1-1.風邪を引く

風呂は体を温める効果がありますが、長時間の入浴は、逆に体を冷やしてしまいます。長風呂をして風邪を引いたという方も、多いのではないでしょうか。また、風邪だけでなく、体に疲労がたまるデメリットもあります。湯の中では体温が下がらないため、汗を出して下げようとするでしょう。体温が下がらない→汗をかく→下がらない→汗をかくという悪循環に陥り、疲労がたまるというわけです。

2-1-2.おぼれる

風呂で寝る行為において、最も危険視されているのがおぼれることです。意識を失った場合、体が湯船の中に沈み込んでしまいます。最終的に、全身が湯船の中に入り、呼吸ができなくなるのです。自分が気づかないうちにおぼれて、亡くなったというニュースをよく聞きます。

2-1-3.血圧

入浴の際、血圧の急激な変化に注意しなければなりません。入浴中の眠気は、血圧の低下となるため注意が必要です。最高血圧が100以下になると、脳に血液が行き届くなってしまいます。意識障害の始まりとなるため、血圧低下を防ぐ入浴法が大切です。

2-1-4.のぼせ

熱い湯に数時間つかり続けた結果、のぼせた……という方も多いのではないでしょうか。のぼせは、体が温まり、血管の拡張・血流増加によって起こる症状です。顔がほてる・頭がぼーっとする・立った瞬間に立ちくらみがするなどが、のぼせの1種として挙げられます。のぼせた結果、浴室で倒れる危険もあるため、熱い湯における長時間入浴は危険です。

2-1-5.失神

意識障害がひどくなれば、そのまま浴槽で失神するリスクが高まります。風呂でうとうとする・寝る行為は、失神や気絶をしている状態です。気持ちいいと思っている間に、いつの間にか気を失ってしまうため、十分に注意しなければなりません。

2-2.危険な理由

先ほど話をしたとおり、入浴で寝ることはさまざまな危険がつきまとう行為です。平成25年度に実施された東京都の調査によると、入浴中の死亡者数は1,312人もいることが分かりました。入浴中の死亡原因のおよそ6割が、溺死と考えられています。実際に、事故が起きているように、入浴中の眠気は死につながるリスクを抱えていることが分かるでしょう。

2-3.特に注意が必要な人

入浴中、特に注意が必要な人は、高血圧な人と高齢者です。高血圧の傾向がある人は、ほかの人よりも血圧が急激に下降する傾向があります。高齢者も体温調節機能が正常に働かず、外気温の影響を受けやすいところがあるのです。脱衣所と浴室の温度差で、体温が急激に変化します。心臓発作・脳梗塞・心筋梗塞のリスクが高まるだけでなく、失神で倒れて頭を強打する2次災害にも要注意です。

風呂で寝ない方法は?

それでは、風呂で寝ないようにするためには、どのような工夫をすればいいのでしょうか。

3-1.おすすめの入浴方法

入浴する際に、ほんの少し気をつけるだけでも対策することができます。簡単にできる、おすすめの入浴方法をいくつか紹介しましょう。

3-1-1.温度

まずは、風呂の温度に気をつけてください。理想的な温度は、38~40℃と言われています。「ぬるい!」「まったく体が温まらない」と思うかもしれませんが、この湯温に10~15分ほどつかり続けると、自然と深部体温が温まるはずです。また、湯船につかる→頭を洗う→湯船につかる→体を洗う→湯船につかるなど、くり返すことで体が温まりやすくなるでしょう。ぬるめの温度は、急激な血圧低下防止につながります。

3-1-2.入浴前の注意点

ご飯を食べてからすぐに風呂へ向かう方は多いでしょう。しかし、食後は消化が促進されるため、血液が内蔵に集中してしまい脳は休息状態に入っています。食後に眠気がやってくるのは、脳が休めるように指令を出しているからなのです。そのため、眠気が増す食後すぐに入浴をしないでください。できれば、食後1時間以内は入浴しないほうがいいです。

3-1-3.水分補給

入浴中は、体温を下げようと汗をかくため、体内の水分が失われます。水分がすべてなくなれば、脱水症状になるので注意が必要です。脱水症状を防ぐためには、こまめな水分補給がポイントとなります。入浴前にコップ1杯の水分を補給してください。できれば、炭酸飲料やアルコールなどの飲みものではなく、白湯(さゆ)または常温がいいでしょう。また、風呂上がりにもコップ1杯飲むと、失われた水分が補給できます。

3-2.寝ない対策について

入浴中に寝ない対策をいくつか紹介します。自分で気軽に試せるものから、ぜひ実践してみてください。

3-2-1.タイマー

お湯につかる前に、タイマーをオンにしておきましょう。入浴時間を長引かせないためにも、タイマーの利用は有効です。入浴時間は10~15分が理想とされており、長くなるほど血圧降下が激しくなります。防水加工が施されているタイマーを利用してくださいね。

3-2-2.1人入浴を避ける

どうしても寝てしまう……という方は、1人入浴を避けることも大切です。たとえば、家族に入浴することを伝えておく・声かけを頼む・子どもと一緒に入るなど、1人入浴を避ける工夫はたくさんあります。特に、高齢者は付き添いが必要です。転倒などの2次災害を防ぐためには、家族が付き添い、きちんと声かけをしていかなければなりませんね。

3-2-3.睡眠不足

体が疲れているときは、入浴を控えてください。風呂の眠気は、疲れが大きく関係しているため、癒(い)やそうと長風呂をするのは大変危険です。日ごろの疲れがたまっている場合は、マッサージや整体を利用して解消すること、睡眠を最優先にすることが大切なポイントとなります。

風呂で寝る危険性に関するよくある質問

風呂で寝ることに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.風呂から上がるときに注意すべきことは?
A.風呂で寝ないようにすることはもちろんですが、上がるときに気をつけなければならないこともあります。それは、急に立ち上がらないことです。急に立ち上がれば、立ちくらみで倒れる可能性が高まります。浴槽から出るときは、ふちに腰かける・ゆっくり立つなどして慌てないようにしてください。

Q.普通の眠気と気絶を見分けるコツとは?
A.普通の眠気でうとうとしているのか、それとも気絶しているのか、見分けるポイントは様子で区別できます。声をかけて普通に返事ができる・意識がすぐに戻るのであれば、ただの眠気でうとうとしていた証拠です。しかし、ろれつが回っていない場合は、気絶の可能性があります。

Q.浴槽内でできるマッサージが知りたい。
A.浴槽内でマッサージすることも、入浴中の眠気を防ぐポイントです。簡単にできるマッサージ法としては、両手で左右両方のふくらはぎをもんでいきます。もんだ後は、心臓の方向に血流を押し戻す感じで、マッサージしてください。1~2分するだけでも、足の下にたまった老廃物が流れ、意識もハッキリします。

Q.風呂で寝たときはどうすればいいか?
A.もし、風呂で寝てしまったときは、浴槽からすぐに上がりましょう。一瞬、目が覚めた瞬間に行動しなければ、再び寝てしまう可能性があります。また、上がったときは、部屋を暖める・常温の水を飲む・1枚多く羽織って体が冷めないようにするといったことも大切です。

Q.湯船に肩までつかって大丈夫?
A.適温の湯であれば、肩までつかっても大丈夫です。肩までつかる場合は、熱過ぎない38~40℃のぬるま湯に設定してください。ただし、体に大きな水圧がかかるため、高齢者や心臓・肺・循環器系に持病を持っている方はおすすめしません。

まとめ

いかがでしたか? 風呂で寝る行為は、血管の拡張と急激な血圧低下による症状です。普通の眠気で寝てしまうこともありますが、ほとんどは血圧低下による気絶・失神と言われています。いつの間にか目を閉じてしまうのは、気絶・失神している証拠なのです。そのままおぼれてしまい、浴槽内で死亡した方が近年増加しています。事故を未然に防ぐためには、正しい入浴方法と対策をきちんと把握することが大切です。ほんの少しの注意が、入浴中の事故を減らすポイントとなります。基礎知識を身につけて、自分でできることを実践していきましょう。