全身が痛い原因は?考えられる病気と線維筋痛症の症状・受診目安

全身が痛い、体のあちこちが重く感じる、痛みが長く続いて日常生活に支障が出ている。こうした状態が続くと、「何か大きな病気ではないか」と不安になることがあります。

全身の痛みは、風邪やインフルエンザなどの感染症でも起こります。一方で、関節リウマチ、甲状腺の病気、膠原病、神経や筋肉の病気、線維筋痛症などが関係している場合もあります。

痛みの原因は一つとは限りません。発熱、体重減少、しびれ、息苦しさ、強い倦怠感などを伴う場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。

この記事では、全身の痛みで考えられる原因、注意したい症状、線維筋痛症の特徴、受診の目安、日常生活でできる工夫を紹介します。

  1. 全身の痛みで考えられる主な原因
  2. 早めに受診したい症状
  3. 線維筋痛症とは
  4. 線維筋痛症の診断と治療
  5. 全身の痛みがあるときの生活上の工夫
  6. 全身の痛みで病院を受診するときのポイント
  7. 全身の痛みと線維筋痛症でよくある質問
  8. まとめ

1.全身の痛みで考えられる主な原因

全身の痛みは、感染症のように一時的なものから、継続的な治療が必要な病気まで、さまざまな原因で起こります。

風邪・インフルエンザなどの感染症

風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などでは、発熱、寒気、だるさとともに、全身の筋肉痛や関節痛が出ることがあります。

感染症による痛みは、発熱やのどの痛み、鼻水、咳などの症状と一緒に出ることが多く、体調の回復とともに軽くなる場合があります。

ただし、高熱が続く、水分が取れない、息苦しさがある、意識がぼんやりする場合は、早めに医療機関へ相談してください。

関節リウマチや膠原病

関節リウマチや膠原病では、関節の痛み、腫れ、こわばり、発熱、倦怠感などが出ることがあります。

関節リウマチでは、朝に手指がこわばる、左右対称に関節が痛む、関節が腫れるといった症状がみられることがあります。

現在は、病気の進行を抑える治療薬や治療方法があります。関節の腫れやこわばりが続く場合は、自己判断で様子を見すぎず、リウマチ科や内科、整形外科などに相談しましょう。

甲状腺や内分泌の病気

甲状腺の病気やホルモンの異常でも、全身のだるさ、筋肉痛、疲れやすさ、気分の落ち込み、体重変化などが出ることがあります。

たとえば、疲労感が強い、寒がりになった、体重が増えた、動悸がある、汗をかきやすいなどの変化がある場合は、血液検査で確認が必要になることがあります。

痛みだけでなく、体調全体の変化を一緒に記録しておくと、受診時に説明しやすくなります。

がんや重い病気が隠れている場合

全身の痛みだけでがんと判断することはできません。

ただし、原因不明の体重減少、発熱が続く、夜間の強い痛み、食欲低下、強い倦怠感、血尿や血便、しこりなどを伴う場合は、重い病気が隠れている可能性もあります。

不安をあおる必要はありませんが、いつもと違う症状が続く場合は、早めに医療機関で相談しましょう。

線維筋痛症

検査で大きな異常が見つからないにもかかわらず、広い範囲の痛みが長く続く場合、線維筋痛症が考えられることがあります。

線維筋痛症では、全身の痛みだけでなく、強い疲労感、睡眠障害、頭痛、しびれ、集中しにくさ、過敏症状などを伴うことがあります。

全身の痛みは原因が幅広いため、痛みの場所、続いている期間、伴う症状を分けて考えることが大切です。

2.早めに受診したい症状

全身の痛みがあるとき、すぐに病院へ行くべきか迷うことがあります。ここでは、早めの受診を考えたい症状を整理します。

発熱や強い倦怠感が続く

発熱、寒気、強い倦怠感、食欲不振が続く場合は、感染症や炎症性の病気が関係している可能性があります。

数日たっても改善しない場合や、症状が悪化している場合は、内科などで相談しましょう。

水分が取れない、尿が少ない、意識がぼんやりする場合は、早めの対応が必要です。

関節の腫れや朝のこわばりがある

関節の痛みに加えて、腫れ、熱感、朝のこわばりがある場合は、関節リウマチなどの病気が関係していることがあります。

特に、手指や手首の関節が左右対称に痛む、こわばりが長く続く場合は、早めに専門医へ相談するとよいでしょう。

早い段階で治療を始めることで、関節の変形や機能低下を防ぎやすくなる場合があります。

しびれや麻痺を伴う

全身の痛みに加えて、手足のしびれ、力が入らない、歩きにくい、ろれつが回らない、顔の片側が動きにくいなどの症状がある場合は注意が必要です。

神経や脳、脊髄に関わる病気が隠れている可能性があります。

急に症状が出た場合は、迷わず医療機関を受診してください。

痛みが3か月以上続いている

広い範囲の痛みが3か月以上続いている場合は、慢性疼痛や線維筋痛症などが関係していることがあります。

「検査で異常がないから大丈夫」と我慢し続けると、睡眠、仕事、家事、気分にも影響が出やすくなります。

痛みが長引く場合は、痛みを専門に扱う医療機関や、リウマチ科、整形外科、内科、ペインクリニックなどに相談してみましょう。

3.線維筋痛症とは

線維筋痛症は、広い範囲の痛みが慢性的に続く病気です。検査で明確な異常が見つかりにくいため、診断まで時間がかかることもあります。

広範囲の痛みが続く病気

線維筋痛症では、体の広い範囲に痛みが出ます。

痛みの場所や強さは日によって変わることがあり、首、肩、背中、腰、腕、脚など、複数の部位に痛みを感じる人もいます。

痛みの表現も、「ズキズキする」「焼けるように痛い」「こわばる」「触れるだけで痛い」など、人によって異なります。

疲労感や睡眠障害を伴うことがある

線維筋痛症では、痛みだけでなく、強い疲労感や睡眠障害がみられることがあります。

十分に寝たはずなのに疲れが取れない、朝から体が重い、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めるといった状態が続くこともあります。

また、集中しにくい、物忘れが増えたように感じる、頭がぼんやりするなどの認知面の症状を訴える人もいます。

検査で異常が出にくい

線維筋痛症では、血液検査、レントゲン、CT、MRIなどで、痛みを説明できる明確な異常が見つからないことがあります。

そのため、「異常なし」と言われても痛みが続き、本人がつらさを抱え込んでしまうことがあります。

検査で異常がないことは、痛みが存在しないという意味ではありません。痛みが続く場合は、慢性疼痛や線維筋痛症に詳しい医師へ相談する選択肢があります。

原因は一つに決まっていない

線維筋痛症の原因は、まだ完全には分かっていません。

現在は、痛みを感じる神経の働きや脳の痛みの処理、ストレス、睡眠、感染症、けが、心理的要因など、複数の要素が関係している可能性が考えられています。

「気のせい」や「努力不足」ではなく、痛みの感じ方や神経系の過敏さが関係する病気として理解することが大切です。

4.線維筋痛症の診断と治療

線維筋痛症は、問診、診察、症状の経過、ほかの病気の除外などを組み合わせて診断されます。

診断は症状を総合して行われる

線維筋痛症の診断では、広範囲の痛みがどのくらい続いているか、疲労感や睡眠障害、認知症状などがあるかを確認します。

以前は、全身18か所の圧痛点のうち11か所以上に痛みがあることが診断の目安として使われていました。

現在は、それだけで判断するのではなく、痛みの広がり、症状の重さ、ほかの病気の可能性などを含めて総合的に評価されます。

ほかの病気を除外することも重要

線維筋痛症に似た症状は、関節リウマチ、膠原病、甲状腺疾患、感染症、神経疾患、うつ病、睡眠障害などでも起こることがあります。

そのため、必要に応じて血液検査、画像検査、尿検査などを行い、ほかの病気がないか確認します。

「検査で異常がないから終わり」ではなく、症状が続く場合は、どの診療科で相談するかを考えることが大切です。

薬物療法と非薬物療法を組み合わせる

線維筋痛症の治療では、痛みや睡眠、気分の状態に応じて薬物療法が行われることがあります。

使われる薬には、神経の痛みに関わる薬、抗うつ薬の一部、睡眠を整える薬などがあります。どの薬が合うかは個人差があり、医師と相談しながら調整します。

また、運動療法、認知行動療法、リハビリテーション、生活リズムの調整など、薬以外の方法も重要です。

治療には時間がかかることがある

線維筋痛症は、すぐに痛みがゼロになる病気ではない場合があります。

治療では、痛みを完全になくすことだけを目標にするのではなく、睡眠を整える、活動量を少しずつ増やす、生活への支障を減らすなど、現実的な目標を立てることがあります。

症状には波があるため、よくなった日に無理をしすぎると、翌日以降に痛みや疲労が強くなることもあります。自分のペースを知ることが、治療を続ける手がかりになります。

5.全身の痛みがあるときの生活上の工夫

全身の痛みが続くと、動くことも休むことも難しく感じることがあります。日常生活では、無理を減らしながら体調を整える工夫が大切です。

痛みの記録をつける

痛みがある場所、強さ、時間帯、きっかけ、睡眠時間、薬の使用状況を簡単に記録してみましょう。

毎日詳しく書く必要はありません。1日1回、痛みの強さを10段階でメモするだけでも、体調の波が見えやすくなります。

受診時にも、痛みの経過を説明しやすくなります。

少しずつ体を動かす

痛みがあると、動くことが怖くなる場合があります。

ただし、長く動かない状態が続くと、筋力や体力が落ち、さらに疲れやすくなることがあります。

医師に運動を止められていない場合は、短時間の散歩、ストレッチ、軽い体操など、無理のない範囲から始めましょう。痛みが強い日は、休むことも必要です。

睡眠の環境を整える

睡眠不足は、痛みや疲労感を強めることがあります。

寝る前のスマートフォン使用を控える、就寝時間をなるべくそろえる、寝室の明るさや温度を調整するなど、できることから整えてみましょう。

眠れない状態が続く場合は、我慢せず医師に相談してください。

無理な予定を詰め込みすぎない

痛みが軽い日に予定を詰め込みすぎると、後から疲労や痛みが強くなることがあります。

家事や仕事は、短い時間に分ける、休憩を入れる、優先順位を決めるなど、負担を分散させましょう。

「できる日」と「休む日」を分けるより、毎日続けられる小さな範囲を探すほうが、体調を安定させやすくなります。

6.全身の痛みで病院を受診するときのポイント

全身の痛みで受診するときは、症状を整理して伝えることで、診察が進みやすくなります。

痛みの場所と期間を伝える

いつから痛いのか、どこが痛いのか、痛みが移動するのか、片側だけなのか、全身なのかを整理しておきましょう。

「なんとなく全身が痛い」だけでは伝わりにくい場合があります。

首、肩、背中、腰、腕、脚、手指など、痛む場所を紙に書いておくと説明しやすくなります。

一緒に出ている症状を伝える

発熱、体重減少、寝汗、関節の腫れ、しびれ、息苦しさ、眠れない、気分の落ち込み、胃腸症状などがあれば、痛みと一緒に伝えましょう。

痛み以外の症状が、原因を探る手がかりになることがあります。

市販薬を飲んでいる場合や、サプリメントを使っている場合も伝えてください。

受診する診療科の選び方

発熱やだるさが強い場合は、まず内科で相談しやすいでしょう。

関節の腫れや朝のこわばりがある場合は、リウマチ科や整形外科が候補になります。神経症状がある場合は、神経内科の相談が必要になることもあります。

検査で大きな異常が見つからないのに痛みが長く続く場合は、ペインクリニック、リウマチ科、慢性疼痛を扱う医療機関、線維筋痛症の診療経験がある医療機関を探してみましょう。

緊急性がある症状はすぐ相談する

強い胸痛、呼吸困難、意識障害、急な麻痺、ろれつが回らない、激しい頭痛、高熱が続く、水分が取れないなどがある場合は、早めの受診が必要です。

全身の痛みがあっても、すべてが線維筋痛症とは限りません。

いつもと違う強い症状がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。

7.全身の痛みと線維筋痛症でよくある質問

全身の痛みや線維筋痛症について、よくある疑問をまとめました。

筋肉痛と病気の痛みは見分けられますか?

筋肉痛は、運動や作業の後に出やすく、数日で軽くなることが多いです。

一方で、運動していないのに痛みが続く、痛みが3か月以上続く、発熱や関節の腫れ、しびれ、強い倦怠感を伴う場合は、病気が関係している可能性があります。

線維筋痛症は男性でも発症しますか?

男性でも発症します。

女性に多いとされていますが、男性や子どもでも線維筋痛症と診断されることがあります。性別だけで可能性を否定せず、症状が続く場合は医師へ相談しましょう。

線維筋痛症は自然に治りますか?

経過には個人差があります。

症状が軽くなる人もいますが、長く続く人もいます。自然に治るのを待つだけでは生活への影響が大きくなる場合があるため、痛みが続くときは医療機関へ相談しましょう。

線維筋痛症は再発しますか?

症状には波があり、よくなったり悪くなったりすることがあります。

睡眠不足、ストレス、無理な活動、体調不良などをきっかけに痛みが強くなることもあります。症状が軽い時期も、無理をしすぎないことが大切です。

がんの痛みには特徴がありますか?

痛みの感じ方だけで、がんかどうかを判断することはできません。

ただし、原因不明の体重減少、発熱、夜間の強い痛み、食欲低下、血尿や血便、しこりなどを伴う場合は、医療機関で確認しましょう。

まとめ

全身の痛みは、風邪やインフルエンザなどの感染症から、関節リウマチ、膠原病、甲状腺疾患、神経や筋肉の病気、線維筋痛症まで、さまざまな原因で起こります。

発熱、関節の腫れ、しびれ、体重減少、強い倦怠感などを伴う場合や、痛みが長く続く場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。

線維筋痛症は、広い範囲の痛みが慢性的に続き、疲労感、睡眠障害、集中しにくさ、しびれなどを伴うことがある病気です。検査で大きな異常が見つからないこともありますが、痛みがないという意味ではありません。

治療では、薬物療法だけでなく、運動療法、認知行動療法、生活リズムの調整などを組み合わせることがあります。症状には個人差があるため、医師と相談しながら自分に合う方法を探すことが大切です。

全身の痛みに悩んでいる場合は、まず痛みの場所、続いている期間、伴う症状をメモしてみましょう。記録を持って受診することで、原因を整理しやすくなります。